週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】データレジデンシーとは

 英語表記は「Data Residency」で、直訳すれば「データの居住地・所在地」などを意味する。IT・インターネットの領域では、例えばクラウド上に保存したデータが実際にどの地域・国に設置されたサーバー内にあるのか、確認したり指定できる機能(もしくは権利)という文脈で用いられる。

 PCやスマートフォン上で扱われるデータは、なにかしらの形でデバイス上に保存されている。目の前にあるPCか、社内のサーバーか、あるいは会社が契約しているデータセンターなのか。いずれにせよ、どの場所にあるかユーザーは容易に確認できる。

 対してクラウドでのデータ保存は、膨大な数のサーバー群をクラウドの総体として扱い、どのサーバーに保存されているか意識させないという特徴がある。それで運用上の問題はほとんどないが、しかし機密性が厳に高いデータなどをクラウドで取り扱いたい場合、少なくともどの国にデータを保存しているか分からなければ、法制面での対応や、データの強制差し押さえリスクなどが高まってしまう。極論すれば、突然の政変によってインターネットが一夜にして遮断され、以後まったくデータにアクセスできなくなる可能性も、考慮しなければならない。

 よって、近年のクラウドサービスはデータ保存を行っている国を明示したり、あるいは設定で変更できるようになっているケースがある。ただし、データレジデンシーを真に追求するならば、クラウドを一切使わず、所在地が明らかなデータセンターを選択するのも有効な手段である。