週刊データセンターWatch:

【データセンター用語集】VPNとは

 「Virtual Private Network」の略語。日本語では「仮想専用線」「仮想私設網」などと訳される。2020年の現時点では「インターネット上で、通信内容を第三者へ盗み見されないための技術ないし手順」という説明が最も適当だろう。

 インターネットは、不特定多数のユーザーが相互に接続しあうパブリックなネットワーク(公衆網)である。通信内容は(暗号化されていない限り)100%すべて第三者が閲覧できるといってよい。そのため、開発中の製品図面といった企業秘密をインターネット経由で送るのは本来適切ではない。

 しかし東京本社と大阪支社といった複数の拠点がある企業の場合、VPN技術で拠点間を接続することにより、“仮想的な専用回線”をインターネット上で運用できる。あくまでソフトウェア技術を用いて実現した仮想的な通信路ではあるが、第三者のアクセスを防ぐことができ、一定のセキュリティ効果が期待される。また数百kmにおよぶ専用回線を物理的に敷設するより、コスト面でも優位がある。

 こうした遠距離拠点間を常時VPN接続する方法の一方で、例えばテレワーク中の従業員が一時的に勤務先ネットワークへする際にもVPNは用いられる。特に後者の場合は、拠点側にまずVPN用の設備を準備しておき、従業員側は接続するPC・スマートフォン・タブレットなどから「PPTP」「IPSec」などの設定を行うことでVPNが確立できる。

 このように、VPN技術にはさまざまな形態がある。インターネットを一切使わず、通信事業者が独自に用意した回線に相乗りする形での「IP-VPN」などの手法も存在する。