トピック
クラウド時代の“新常識”オンプレ回帰で指向すべきハイブリッド環境のインフラ基盤とは?
- 提供:
- 株式会社ネットワールド
2023年4月19日 08:00
クラウドの利用が加速する中にあって、一度はクラウドに切り出した社内システムをオンプレミスに戻す、いわゆる“オンプレ回帰”の動きが顕在化しているという。そこで注目を集めているのが、クラウドライクなシステム基盤を実現するHCI(Hyper Converged Infrastructure)だ。それはなぜか。また、その整備法とは。レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社の池亀正和氏と、株式会社ネットワールドの大倉和仁氏が、クラウド時代のIT基盤の整備の在り方について語り合った。(文中敬称略)
クラウドファースト時代になぜ “オンプレ回帰”なのか
――クラウドファーストが叫ばれる中、オンプレミスでサーバーを導入する機会は多くの企業で確実に減っている。ただし、サーバー市場に目を転じれば、いまだ動きは堅調だ。一見すると矛盾するようだが、それはなぜだろうか。
池亀 サーバー市場は22年度も対前年比1~2割増と好調に推移しているようです。これは何ら不思議ではありません。クラウドを支えるのも、サーバーにほかなりませんから。
サーバー仮想化が流行り始めた2000年代前半も、サーバー統合を通じて、サーバーは売れなくなると言われました。しかし、現実はそうはなっていません。仮想化によりサーバー調達の容易性が増し、逆に各種システム導入が活発化したことで、より多くのサーバーが求められるようになりました。
現在、DXを追い風にIT投資も活発化し、従来なかったシステム活用も広がっています。クラウドが必要とするサーバーリソースの急増という状況からも、サーバー市場の拡大はむしろ自然と言えます。
大倉 一方で、一般企業のオンプレでのサーバー利用がここにきて盛り返しているのも事実です。背景には、実際に使ってみて、クラウドに対する誤解が解けていることがあります。振り返ればクラウドは、極めて低廉なコストでのリソース利用や、運用の外部への切り出しによる作業負荷の軽減で大きな期待を集めました。
しかし、現実はどうか。コスト面では、クラウドの特性を理解しないまま利用を進めた結果、予想外の高額な料金が請求されるケースも少なくありません。
また、運用面でも、ハードのお守りこそなくなりましたがシステム自体の運用は依然として残ります。クラウドの管理作業にはオンプレとは異なる知見が必要で、多くの企業がオンプレとクラウドの双方にシステムを抱えている現状では、二重管理がどうしても発生してしまいます。これによる負担は多忙なIT部門にとって決して小さくありません。
想定外でクラウドのコストがかさむ理由
大倉 セキュリティの問題もあります。仕様が固定され、運用も事業者のルールに従わざるを得ないクラウドは、オンプレのような自社の都合に合わせた細かな対策が本来的に困難です。
これらの“現実”への理解が進んだことで、一度はクラウドに切り出したシステムについて、「合わない」と判断したものから順次オンプレに戻し、クラウドと併存させるスタイルへの揺り戻しが起こっています。
――オンプレ回帰の理由は概ね理解できる。ただ、クラウドは利用料が明示され、アセスメントツールで月額料金の試算も可能だ。にもかかわらず高額な請求が生じてしまう理由とは。
大倉 まずは、クラウドへの知見不足です。実際にあった話ですが、ダウンロードデータ量に応じて課金されるクラウドを、コンテンツの大規模配信に用いたケースがありました。ダウンロードに応じて収益が増えるのでなければ、これは、理解不足による明らかな誤用です。また、大量データのダウンロード時の料金を高く設定されているなど、見逃しやすい罠もあります。
それから、クラウドは気軽に試せる分、新たな利用が進みやすいこともあります。予測と実績の乖離がそれだけ生じやすく、DXがそれに拍車をかけている側面もあります。
さらに、オンプレ感覚が抜けない運用も問題です。オンプレでは一度導入すれば、あとはどれだけ利用してもコストは変わりません。しかし、サブスクリプション形式のクラウドではそうではありません。無駄なコストを負わないためには余剰リソースの返却が必要となりますが、縮退に対するルール作りの考え自体が多くの企業で抜け落ちています。これではコストは膨らむ一方です。
池亀 表には出にくいですが、運用にまつわるコストも小さくはありません。オンプレとクラウドを並行管理するとなれば、工数は従来よりも確実に増します。可用性やセキュリティについても何らかの対策が求められ、そのために外部から人材を調達するにしても、社内で人材を育成するにしても、結局はコストに跳ね返ります。
クラウドライクなオンプレの現実解はHCI
――現在進行形でオンプレ回帰は進む。ただ、クラウドを経験した企業はその良さも知っている。そうした企業が目指すべきIT基盤は、従来型のオンプレでよいのか――。
大倉 現状のオンプレ回帰のアプローチは2通りあります。サーバー関連はクラウドに残しつつ、DXで鍵となるデータのみをオンプレに戻すやり方が1つ。システム全体をオンプレに戻すのがもう1つです。問題となるのは後者の方法です。
池亀 コスト面だけを重視したSPOF(単一障害点)が存在する設計の3Tier型(サーバー群と共有ストレージをネットワークファブリックで接続するシステム形態)でないことだけは明白ではないでしょうか。ただし、全ての提案において3Tier型がダメだと言っているわけではないことは正しくお伝えしておきたいのですが、適切な課題への対策などを考慮した上でも、大規模になるほど複雑さが増し、見直しの都度、サーバー、ストレージ、ネットワークの担当者による議論で長いリードタイムが生じたり、ハードの世代などの問題で高額なリプレースコストが生じたりといった状況には誰も戻りたくはないと考えていると、某調査会社の資料からも読み取れます。
目指すべきは、やはりクラウドライクな仮想化基盤の採用です。その観点から今、HCIが評価を大きく高めているようです。事前に検証済みのサーバーとストレージ、ネットワークの機能をソフトウェアで実装して1つの筐体に収め、仮想化ミドルウェアと一体で提供されるHCIは、IT基盤の構成を格段にシンプル化します。専門的な知識が乏しくともノードの追加で簡単にリソースを拡充でき、クラウドに近い拡張性を実現します。
大倉 当社でもHCIへの引き合いが増しています。大規模システムのオンプレ回帰では、3Tier構成と一緒にHCIへの置換提案を依頼されるケースが増加しています。
池亀 すでにハードウェアベンダー各社が多様なHCI製品を提供しています。注目してほしいのが、それらに採用されている仮想化ミドルウェアです。それらには異なるメリットがあります。
まず、MicrosoftのAzure Stack HCIの一番の強みは、Microsoft Azureとの親和性です。Azureと同じポータル、同じ機能を使用してオンプレも管理でき、Azureを基軸としたハイブリッド環境を容易に構築できます。
また、VMware ESXi とVMware vSANを中核とするVMwareのHCIは、すでに仮想化基盤としてVMwareを運用する企業であればVMware vCenterでの統合管理ができるなど、扱いやすさが魅力です。
ただ、クラウドライクとなると重視すべきは柔軟性や拡張性でしょう。その点で特徴的な機能を提供しているのがNutanixです。
Nutanixがクラウドライクな“3つ”の理由
――Nutanixが最もクラウドライクな理由とは。
池亀 グーグルの大規模ストレージ環境を構築していたエンジニアが、オンプレ環境でも同様の使い勝手を実現すべく開発した経緯から、Nutanixは設計思想そのものがクラウドライクです。それは管理インターフェースなども同様です。
分かりやすいところでは、まずはハイパーバイザー(サーバー仮想化ミドルウェア)を自由に選択できる点でしょう。Azure Stack HCIとMicrosoft Azureのように、クラウドとハイパーバイザーには利用プロトコルも含めて相性が存在します。Nutanixでは、自社開発のNutanix AHVに加え、VMwareESXiの2つのハイパーバイザーが利用でき、自社のクラウドの利用状況や計画を踏まえ、最適なものを選択できます。また、Nutanix AHVのライセンスは製品にバンドルされるため、これを採用すればそれだけイニシャルコストを削減できます。
必要なタイミングで必要な分だけ、リソースを追加するための柔軟性もそうです。HCIだから当然と思われがちですが、Nutanixは異機種、異構成、異世代の混在にも対応します。どのリソースをどれだけ追加するかは状況に応じて変わり、オールフラッシュノードとハイブリッドノードの混在(*1)や、GPUの有無などを問わずノードを追加できることは、既存の投資を無駄にしないという点でとても有効です。ストレージ専用ノードといったノード追加なども対応することが可能です。
*1 オールフラッシュノードとハイブリッドノードの混在には両タイプのノードが最低で2ノード以上あることなどいくつかの条件があるため、製品知識に詳しい構築パートナーに事前にご相談いただきたい。
また運用の手間も大きく抑えられます。Nutanixでは仮想マシンが稼働するサーバー内に利用データを必ず配置すると同時に、クラスタを組む他サーバーにもデータを分割配置して冗長性を確保します。冗長化設定はより細かく指定が可能ですが、一連の作業の完全自動化を通じ、オンプレで手を煩わされてきたデータ保護の手間が大幅に軽減されます。
関連して、クラウドに匹敵する可用性も実現します。ハードウェアの陳腐化に伴う定期更新は必ず発生しますが、異機種、異構成、異世代の混在が可能なNutanixなら、クラスタ内のサーバーを1台ずつ順番に入れ替えていく、玉突き方式のリプレースが可能です。その際にもデータは確実にバックアップされており、サービスを止める必要もありません。ソフトウェアにおけるローリングアップデートと同じことが、Nutanixならハードウェアでもできるわけです。
すでに、2017年~2018年に導入をされたシステムがこの手法で、データの移行(移動)が発生しないハードウェアリフレッシュを実行し、Nutanix HCIの恩恵を体感しているお客様が増えてきています。
“世界第一位”のレノボの信頼性をフルラインナップで提供
――NutanixのHCIソリューションは各社から提供されている。その中でのレノボ製品の特長とは何か。
池亀 レノボが展開するHCI製品「ThinkAgile」のうち、Nutanixを採用しているのが「ThinkAgile HX」シリーズです。魅力の1つは、各種ベンチマークで世界第1位の評価を数多く獲得してきた「ThinkSystem」をサーバーベースとすることでの信頼性の圧倒的な高さです。
ThinkSystemはIBMのSystemXの後継機であり、現在も米国ノースキャロライナのラーレにある開発拠点で、設計・開発を継続しています。Nutanixではノード交換がそもそも簡単ですが、高い信頼性によりその手間も大きく削減できます。停止時間をいかに最短にするか、という考え方も設計に活かされており、メモリなどはポートごとにLEDランプがあり、交換対象は一目瞭然ですし、工具レスでも交換ができるような工夫が、目立つ部分ではありませんが作業をされる方の目線でも喜ばれています。
また、用途別の最適な製品選択のための、現時点で39機種というラインナップの充実ぶりもポイントです。DXが進む中、いわゆる現場にもIoTの利用が広がっており、小規模な環境に向けたエッジ向けサーバー「ThinkEdge」シリーズにもNutanix対応モデルを用意しています。SAP HANAに対応した専用モデルもあります。
ThinkAgile HXシリーズは提供方法にも工夫を凝らしています。当社やネットワールドのようなディストリビュータがライセンスを提供し、Nutanixがサポートする「認定ノードモデル」に加え、ハードウェアとソフトウェアを共に当社製品として提供し、サポートまでを一元化して行う「アプライアンスモデル」を用意したのがその代表です。万一の障害時に、問題の切り分けに手間取ることは珍しくありません。しかし後者であれば全国のサービス拠点網により、原則、当日中に対応を実現しています。
アプライアンスモデルのソフトウェアサポートは当社とNutanixサポートチームが対応をしますので、品質面でも差はありませんので安心してお任せください。また、国内においてこの両モデルを提供しているOEMメーカは当社のみとなります。
大倉 HCIを企業に直接提案する当社にとって、ThinkAgile HXはやはりラインナップの豊富さが魅力です。用途や予算などの面から、それだけニーズに沿った提案が行えますから。
もう1つ、外せないのが、米沢工場での事前の検品作業です。一定の割合で発生する初期不良は、お客様だけでなくサーバーの提供側である当社にとっても悩ましい問題です。しかし、レノボ製品は電源投入後のチェックまで実施しており、お客様からも他メーカーサーバより初期不良率が少ないと高い評価を頂戴しています
池亀 レノボとしてもネットワールド様は昔からNutanixビジネスに取り組んでいて豊富な導入実績がありますので安心して任せられるパートナーになります。
<お問合せ先>
株式会社ネットワールド
URL:https://www.networld.co.jp/product/lenovo/
お問い合わせフォーム:https://www.networld.co.jp/forms/product/lenovo.html