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Windows Server 2022リリース!
デル・テクノロジーズに聞く、ハイブリッドクラウド時代のWindows Server戦略

2021年9月1日(米国時間)に正式リリースされたWindows Server 2022。同OSはセキュリティ、クラウド連携、コンテナーの強化・改良などを主な特徴とするが、このうちクラウド連携に関しては、サーバー製品を日本企業に販売してきたOEMベンダー各社のビジネスにも影響を与えるものと思われる。そこで今回は、デル・テクノロジーズ株式会社の渡辺浩二氏に、同社のWindows Server市場における戦略についてお聞きした。(文中敬称略)
デル・テクノロジーズ株式会社 サーバーCoC, フィールド マーケティング マネージャー, コンサルタント 渡辺浩二氏

最新世代は動作検証済み

 デル・テクノロジーズのDell EMC PowerEdgeは、1996年から販売されているサーバーのブランドで、x86サーバーでトップクラスのシェアを持つ。まずは、Windows Server 2022への対応状況からお聞きした。

  渡辺: 2021年10月に発表された第15世代のDell EMC PowerEdgeサーバーは、ラック型もタワー型もWindows Server 2022にすべて対応しています。

第15世代タワー&エントリーラックサーバー

 Windowsサーバー市場におけるデル・テクノロジーズの強みとして、渡辺氏はまず市場シェアを挙げる。

  渡辺: 世界市場では以前からシェアNo.1ですが、直近のIDC社の調査によると、日本のx86サーバー市場でも、着実にシェアを上げてきて上位に食い込んできています。よりたくさんのお客様に選ばれ続けているという実績が反映されていることとして、真摯に受け止めています。

輸送中までファームウェアやハードウェア設計の改ざんを防ぐ

 続いて渡辺氏は、Windows Server 2022の特徴の1つとなっているセキュリティの分野のSecured-core Serverのコンセプトへの対応を説明した。

  渡辺: Secured-core Serverは、OSが起動する以降だけではなく、OSを起動する前の部分でもセキュリティの基準を決めてより強固にするというコンセプトだと思います。この点において、Dell EMC PowerEdgeサーバーは、ファームウェアの改ざんやハードウェア設計の改ざんを防ぐためなどのセキュリティ機能を持っています。

 たとえば、ファームウェアを改ざんされないようにセキュリティロックをかけて、ロックをかけた人でないとファームウェアをアップデートしたり、ファームウェアのパラメータを変更したりできないようにする機能です。また、指定したバージョンのファームウェアでないとブートできないようにする、署名入りのファームウェアでないと更新できないようにするといった機能があります。

ファームウェアやハードウェア設計でも攻撃を防ぐ

 さらに、輸送中の改ざんなどを防ぐ機能もDell EMC PowerEdgeサーバーでは備えているという。

  渡辺: 工場で製造した後に、輸送途中においても、ファームウェアが改ざんされたり、変なチップが仕込まれたりしていないことを保証する、というセキュリティ機能もあります。工場の中やお客様のデータセンターに設置されたあとでは、内部の人でないとなかなか改ざんはできません。しかし、輸送途中には、内部の人でなくても、関係者でない人が手に触れてしまう余地があります。そこも含めて、改ざんされていないかどうかトラッキングできるような機能も持っているのです。

 いままでは、ファームウェアより上、OS以上のレイヤーでの攻撃が中核となっていましたが、いまやその下のレイヤーで攻撃が増えています。そのため、Microsoftも、自社の扱うOS以上のレイヤーだけでなく、それ以外の下のレイヤーでセキュリティを強固にしたコンセプトを発表しています。そのコンセプトに期待以上の精度でいろいろな機能を提供しているのがデル・テクノロジーズのDell EMC PowerEdgeだといえます。

 つまり、製造段階から、出荷、納品、電源を投入して起動するまで、一気通貫にセキュリティを考慮していることが、当社の強みだと考えます。

WACからiDRACの情報も表示

 もう1つ、Windows ServerにおけるDell EMC PowerEdgeサーバーの特徴として渡辺氏が挙げるのが、Windows Admin Center(WAC)との連携だ。

  渡辺: Dell EMC PowerEdgeには、OpenManage Enterprise(OME)という標準の管理ツールを提供していますが、他社製の管理ツールを使いたいというお客様もおられます。そこで他社製管理ツール向けのプラグイン開発にもかなり力を入れていて、当然ながらWAC用のプラグインが提供されています。これによって、ハードウェアからWindows Serverまで一元的に管理できます。

 技術的には、Dell EMC PowerEdgeでは、ハードウェアにiDRACというコントロールチップが埋め込まれていることがポイントです。WAC用プラグインはこのiDRACを使って情報を吸い上げて表示します。通常WACが可視化できるのはOSが取得できる情報ですが、プラグインによりハードウェアを含めたサーバー全体の管理ができるのです。

Windows Admin Center(WAC)とOMEの連携

新しい丸の内センターの最新環境で検証

 既存システムをWindows Server 2022へ移行するとなると、必ず何らかの検証が必要となる。パートナーや顧客が最新のOSを搭載したDell EMC PowerEdgeで検証するために、デル・テクノロジーズは「Executive Briefing & Solution Center」を設けている。

  渡辺: いままで三田に旧デルの、新宿に旧EMCの検証施設があったのですが、それらを本社の大手町への移転(2021年9月) にあわせて、集約し、さまざまなお客様、パートナー様にご利用いただけるセンターとしてオープンしました。

 本センターは無償で利用でき、さまざまな技術検証が可能です。サーバー製品だけでなく、ストレージ、クライアント製品までまとめて利用できます。例えば、Windows Serverの利用用途で多いファイルサーバーでは、Windows Server 2022を最新のDell EMC PowerEdgeで稼働させ、Windows 11搭載のPCからアクセスを行った性能検証といったことも可能になります。

 また、品川の日本マイクロソフトのオフィス内にも、日本マイクロソフト、インテル、デル・テクノロジーと共同で「DEJIMA」というブランドで96コア / 4ノード / オールNVMe構成のDell EMC PowerEdge を利用したAzure Stack HCIを中心にした検証環境を持っています。

 これだけの規模を持つ最新機器を揃えた検証センターは多くないと自負していますので、ぜひ、最新の環境でお試しください。

エグゼクティブブリーフィングセンター(EBC)

アプリケーションの多彩さに対応する製品ポートフォリオ

 最後に、Windows Server 2022にともなうデル・テクノロジーズのスタンスについて聞いた。

  渡辺: Windows Server2022の特長は、セキュリティと、ハイブリッドクラウド、アプリケーションプラットフォームの3つです。

 セキュリティはさきほど話したとおり、当社は、ハードウェアレイヤー、特に輸送まで含めてセキュリティを強化しているのがポイントです。

 2つめのハイブリッドクラウドに関しては、従来から、ちょい足しクラウドと銘打って、Azure BackupやAzure Monitorなど、オンプレミスのWindows ServerとAzureとの連携で、ビジネスを展開しています。これは、Windows Server 2022でも変わりがありません。さらに大規模なハイブリッドクラウドの活用においては、Azure Stack HCI向けに、Dell EMC Solutions for Microsoft Azure Stack HCIをリリースしています。デル・テクノロジーズの統合基盤を活用するオールインワンの検証済みHCIシステムです。この統合システムは、さきほど紹介したWACとOMEの統合だけでなく、必要な構成を設定して工場出荷することで、導入時間と複雑さを軽減しています。

 3つめのアプリケーションプラットフォームについては、大容量メモリーサポートしたSQL Serverやコンテナープラットフォームとしての親和性から、デル・テクノロジーズのDell EMC PowerEdgeのポートフォリオにより、用途や規模に応じて、最適なプラットフォームを選定可能になります。

 これだけ多彩のサーバー製品ポートフォリオを持っているのは、デル・テクノロジーならではだと思います。たとえばエンタープライズ向けの1U2ソケットサーバーでは、インテルおよびAMD のCPUを搭載したモデル、R650xsという若干機能を絞り込んだぶんコストを抑えたモデルと、3種類を提供しています。他社は提供モデルをどんどん絞る傾向がありますが、Dellは広げる傾向があります。これによって、お客様がアプリケーションにちょうどよいサイズのモデルを選んで使っていただけることになります。

 それに加えて、GPUによるアクセラレーションの選択肢の強化や、NVMe SSDでのハードウェアRAID構成、さらにOSブート専用のSSDではRAID対応に加えてホットプラグ対応にするなど、パフォーマンスの向上と可用性の強化をするコンポーネントを多彩に持っています。そうした製品を活用して、いろいろなアプリケーションに適切に使っていただけるよう、製品戦略を進めています。

 ハイエンドのサーバーとエントリーのサーバーしか選択肢がないとお客様は、価格の高い機種を購入して、少し性能を余らせてしまったり、安価な機種を購入したあとで、リソースが足りなくなり、増設や台数追加で苦労したりすることがあります。適切な構成を組めるサーバーがあれば、最小のコストでいちばん欲しいものを選択できます。これは少数のサーバーのコストをできる限り抑えたいというニーズにはもちろん有効ですが、それが何十台や何百台ということになると、ハードウェアコスト、電力コスト、冷却コスト、管理コストなどに極めて大きなインパクトがあります。そのため、ニーズにより細かく対応できる選択肢があるという点は非常に重要なファクターだと思っています。

 ぜひ、Windows Sever 2022とDell EMC PowerEdgeを用途にあわせて、ご選択いただきたいと思います。