トピック

ニューノーマル時代に求められるテレワークソリューションを考える

 ニューノーマルへの対応に向け、多くの企業がテレワークの導入など、働き方やITの活用を見直している。テレワークを導入する上での課題、そして課題を解決するサーバーソリューションを紹介する。

ニューノーマル時代に求められるIT環境

 多くの企業がテレワークをすでに導入している。「テレワークが導入できるのは大企業だけでは」と思われる方もいるかもしれないが、日本マイクロソフトの調べでは、中小企業でもピーク時には約89%(2020年5月11日)、その後も約68%(同年8月17日)がテレワークを導入しているという。

テレワークの現状(出典:日本マイクロソフト)

 今後については予断を許さない状況が続いており、企業はニューノーマルに対応していく必要がある。

 では、ニューノーマル時代に求められるIT環境とはどのようなものだろうか。デル・テクノロジーズ データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 製品本部&プランニング部の渡辺浩二氏は次の3点を挙げる。

 まずは、コミュニケーション環境だ。会議や打ち合わせで直接顔を合わせることができなくても、円滑にコミュニケーションを取れるようWeb会議などを開催できる環境が必要となる。

 次に共同作業のできる環境だ。テレワークでもファイルの共同編集を複数の関係者で直接行うといったケースは多いだろう。それと同時にファイルの保存と共有環境も必要だ。ビジネス文書をクラウドに保存、社内外で安全に共有できる環境がなくては安心してテレワークを行うことはできない。

 最後に社内外にあるサーバーやデバイスの管理だ。テレワークでは社内だけでなく社外にも管理すべきデバイスが存在することになる。さらにIT管理者もテレワークとなるケースも考慮し、社内に配置されたサーバーの運用管理のための環境を整えることが求められる。

デル・テクノロジーズ データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 製品本部&プランニング部 渡辺浩二氏

テレワークの課題解決に「RDS」の導入を

 ニューノーマルに対応していくためにテレワーク環境を整備しようとはいっても、「簡単に導入できるのか」「うまく運用できるか」「セキュリティは大丈夫か」などと懸念を持たれるかもしれない。補助金などを利用できるケースもあるとはいえ、テレワーク環境の構築には投資が必要となる。導入したものの使い物になりませんでしたでは済まされない。

 実際、テレワーク環境では多くの課題が発生しているという。

テレワークの現状における課題(出典:デル・テクノロジーズ、以下同じ)

 最後に社内外にあるサーバーやデバイスの管理だ。テレワークでは社内だけでなく社外にも管理すべきデバイスが存在することになる。さらにIT管理者もテレワークとなるケースも考慮し、社内に配置されたサーバーの運用管理のための環境を整えることが求められる。

課題を解決する取り組み

 「まずVPNの負荷を下げることです。例えば、Microsoft Teamsのようなコミュニケーションツールについては、社内にログインした状態で利用するのではなく、パブリックなインターネット回線を利用することです。そして、サーバー構成やネットワークを大きく変更するとなるとコストや工数の関係でなかなかテレワークの導入を実施できなくなりますので、すぐにできるソリューションから始めることが大切です」と渡辺氏は強調する。

 そして、このステップを実現し、テレワークの課題解決にデル・テクノロジーズが提案するソリューションが「RDS(Remote Desktop Service)」である。渡辺氏は、「ニューノーマル対応に向けたテレワーク環境の構築、課題の解決というニーズにRDSは非常に適しています。そのため、実際のWindows Server 2019が搭載されたPowerEdgeサーバーの販売台数とRDS CALの販売も伸びています」と語る。さらに、日本マイクロソフトからの話として「RDS CAL(RDSを利用するためのライセンス)のアクティベーション数が4月以降、非常に伸びている」とのことも付け加えた。

 RDSは、特定のアプリケーションをリモートから利用可能にする機能を持つ。VDI(Virtual Desktop Infrastructure)が各ユーザーのデスクトップ環境を仮想OS上に構築するのとは異なり、集約度が高く、容易に構築可能な点が特徴となる。

RDSとVDIの違い

 「Windows Server 2019をご利用の場合、RDS CALを導入すれば、環境を変更することなくRDSを使うことができます。設定もGUIベースで容易ですので、担当者のスキルが高くない場合でも導入がしやすいことが特徴です」と渡辺氏は言う。

 人事や経理などの特定の業務アプリケーションをすぐにテレワークで利用できるようにしたい、テレワーク導入の手間をなるべく少なくしたいといったケースでRDSは特に有効といえる。

「PowerEdgeサーバー」でRDSを活用してテレワーク環境を改善

 デル・テクノロジーズでは現在、RDS環境の構築に最適なソリューションとして、「PowerEdgeサーバー」の提供に注力している。

 PowerEdgeサーバーがRDS環境構築に適している理由を、渡辺氏は次のように挙げる。「まずは販売実績です。出荷台数・金額ともに世界No.1(※『IDC Quarterly Server Tracker, 2020Q3 Share by Company, Product Category:x86』)で、多くのお客さまにすでにご利用いただいております。安心してご導入いただけるトップブランドです」と渡辺氏。
 そしてテクノロジー面では、PowerEdgeサーバーに搭載している「iDRAC(integrated Dell Remote Access Controller)」を強調する。iDRACは多様なサーバー管理機能を提供する管理チップだ。「目の前にサーバーの管理コンソールがあるかのように遠隔で表示・操作が可能です。障害の予知・検知から解決までの手間と時間を大きく短縮し、多数サーバーの監視・自動通報も一元化します」と渡辺氏。iDRAC搭載のサーバーの管理を統合し、作業の自動化やライフサイクル管理を実現することも可能だという。

 そして各種セキュリティを実装していることもPowerEdgeサーバーの特徴だ。近年はファームウェアの書き換えなどハードウェアのセキュリティについても強化する必要があるが、PowerEdgeサーバー防御から検知、迅速な復旧まで多様なセキュリティ機能でニーズに応えている。

 デジタル化推進の流れにあわせ、デル・テクノロジーズでは「デジタル化推進キャンペーン」を実施している。ニーズにあわせてPowerEdgeサーバーを特別価格で導入できるキャンペーンだ。

 「売れ筋としては2ソケットラックサーバーのPowerEdge R640やR440ですが、小さい規模でRDSを始めたいというケースであれば、2ソケットタワーサーバーのPowerEdge T640やT440で、事務所に設置するところからというお客さまもいらっしゃいます」と渡辺氏は語る。

Azure Stack HCI向けソリューションでもRDSの利用が増加

 デル・テクノロジーズでは、ニューノーマル対応を実現するシナリオとして、マイクロソフトのハイブリッドクラウドソリューション「Microsoft Azure Stack HCI(以下、Azure Stack HCI)」を利用したソリューション提供にも注力している。そして、このAzure Stack HCI向けソリューションでも、RDSの利用が増えているという。

 Azure Stack HCIは、Azureサービスとして提供されるハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)オペレーティングシステムだ。パブリックのAzure側からHCIクラスターを一元管理できることが大きな特徴となる。

 「デル・テクノロジーズは、マイクロソフトがAzure Stackのサービスを提供し始めた当初からソリューションを提供し続けています。これは国内では当社だけで、長く取り扱ってきたことで豊富な知見やノウハウを蓄積しつつ、製品としての信頼性を担保しています」と話すのは、デル・テクノロジーズ データセンターコンピュート&ソリューションズ事業統括 製品本部 津村賢哉氏だ。

 現在デル・テクノロジーズでは、Azure Stack HCI向けのソリューションとして3モデルをラインアップしている。

 3モデルと聞くと少なく感じられるかもしれないが、それぞれのモデルに構成オプションを提供することで、ユーザーのさまざまなワークロードに広く対応している。特に、メモリにOptane、ストレージにNVMeを採用したハイエンド向けのラインアップの厚さが目を引く。高速ストレージのリプレースやデータベースの統合など、高いパフォーマンスの求められるワークロードにも十分対応できるラインアップだ。

Azure Stack HCIのラインアップ
さまざまなワークロードに対応した構成オプションを提供

 モデル数が少ないのは理由がある。「メーカーとして管理するファームウェアを少なくすることで、万一の障害対応、問題解決のスピードを上げることができます。HCIでは想定通りのパフォーマンスが出なかったり、動作が正しくなかったりというトラブルが発生するケースもありますが、迅速に対応可能です」と津村氏は言う。

 デル・テクノロジーズが提供するAzure Stack HCI向けソリューションの特徴を見ていこう。

 まず津村氏が挙げたのがドキュメントの充実だ。他ベンダーでも製品についてのナレッジを公開しているケースは見受けられるが、デル・テクノロジーズのAzure Stack HCI向けソリューションは、「Azure Stack HCIを構成するすべての機器のデバイスドライバやファームウェアのバージョンをすべてWebサイトで開示しています。ほかのHCIベンダーではあまり見られませんが、ネットワークスイッチまで検証して公開しています」と津村氏。

 さらに、Azure Stack HCIのリファレンスも合わせてWebサイトで公開しており、構成要素やサイジング、パフォーマンスの検証結果など、構築の際に必要となる情報を積極的に提供している。例えば、Azure Stack HCIでRDS環境を構築しようと考えた際にサイジングをどうするかは大いに悩むところだが、リファレンスとともにパフォーマンス検証の結果なども公開されているため参考にすることが可能だ。

 手厚いサポートも特徴だ。HCI専用サポートを最長7年で提供しており、ハードウェアもソフトウェアも一元でサポートしている。また、万一の障害時には検証済みのパーツを提供することとしており、これもユーザーとしては安心できるサポート内容だ。なお、こうしたサポートについても詳細にWebサイトで開示している。「Azure Stack HCIを安心してお使いいただけるよう、手厚いサポートを提供しています」と津村氏は強調する。

Azure Stack HCI専用のサービスとサポートを提供している

 ハードウェア的にも特徴がある。Azure Stack HCI向けのサーバー3モデルは、BIOSが専用化されており、最初からAzure Stack HCIでパフォーマンスが発揮できるようになっている。

 ハードウェア管理機能については、標準のWindows Admin Centerに加え、デル・テクノロジーズオリジナルの拡張機能として、「Open Manage Integration with Microsoft Windows Admin Center」が利用可能だ。パッチやファームウェアのアップデートをクラスター単位で行うなど、運用管理工数を低減するための多様な機能を有している。

1200社での導入実績のうち約10%がRDSを利用

 デル・テクノロジーズのAzure Stack HCI向けソリューションはこれまで、世界44ヵ国で約1200社の実績があるという。

 「このうち約10%の企業でRDSを利用されています。中小規模から大企業まで、幅広いお客さまに導入いただいています」と津村氏。なお、RDS用途で導入する場合には、オールフラッシュストレージで構築されるケースが多いという。

 国内でもすでに多くの企業が導入しており、RDS用途の代表的なケースとして津村氏は株式会社バイク王&カンパニーの事例を挙げた。

 「SQL Server 2008保守サポート終了への対応、そして運用負荷の増大を解決するために、当社のAzure Stack HCI向けソリューションを導入いただきました。基幹データベースとアプリケーション基盤に加え、RDSもHCIに統合して国内53店舗の端末で活用いただいております」と津村氏。HCIであればクラスターに追加することで容易に構築が可能なため、導入は非常にスムーズだったと話す。

 そのほかにも多くのユースケースがあり、製造業やサービスプロバイダ、金融業などさまざまな業種で導入が進んでいる。Azure Stack HCIを利用してみたいという企業はぜひ検討してみてはいかがだろうか。