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杏林堂薬局、オンプレミスとクラウド双方のメリットを享受できるハイブリッドなファイル共有環境を構築
- 提供:
- 日本電気株式会社(NEC)
2020年12月24日 06:00
働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によるテレワーク・在宅勤務への対応など、社会情勢が急速に変化する中、クラウドサービスの活用を検討するユーザーは多いだろう。しかし、ノウハウがないからとクラウドサービス導入になかなか踏み切れないユーザーも多い。こうした中で、オンプレミス中心の従来システムからクラウドサービスの導入・活用にかじを切った、浜松を中心にスーパードラッグストアチェーンを展開する杏林堂薬局の事例を紹介する。
ファイルサーバーの容量逼迫、管理工数増大が課題
杏林堂薬局は、創業120年の歴史を有し、静岡県西部・中部地区に80以上の店舗を展開する調剤薬局、スーパードラッグストアチェーンだ。ヘルスケアに特化するだけではなく、専門的なカウンセリングを提供するビューティーケア、管理栄養士による栄養相談を通して、安全・安心な食品を消費者に届ける“杏林堂薬局独自の調剤併設型ドラッグストア”を展開し、地域医療に総合的に貢献する企業を目指している。
同社は近年、社会情勢の変化への迅速な対応やBCP(事業継続計画)対策、働き方改革などを実現するために、クラウドサービスの活用を含めさまざまな検討を進めている。そうした中で、クラウドサービス導入のファーストステップとなったのが、ファイルサーバーの課題を解決するために採用を決めた、 NECの「クラウド連携ファイルサーバソリューション」である。
「当社ではこれまでシステムをオンプレミスで運用してきました。ファイルサーバーも同様です。近年はファイルサーバーが扱うデータが増大し、バックアップを含めリソースに余裕がなくなり、管理工数も課題となっていました」と語るのは、株式会社杏林堂薬局 情報システム部 プログラム開発室の高山和夫氏だ。容量の逼迫(ひっぱく)に加えて、ファイルサーバーと待機系サーバー、バックアップのためのNASといった機器の管理も課題となっていたのだ。
そこで高山氏は、NECに相談、同時にほかのクラウドストレージサービスなども含め、さまざまな検討を行った。
「Azure File Sync」の導入・運用をシームレスに支援
Azure File Syncは、Microsoft Azureにおいてファイル共有機能を提供するAzure Filesと、オンプレミスのファイルサーバーとの間でファイル同期機能を提供するサービスだ。オンプレミスのファイルサーバーに利用頻度の高いファイルのキャッシュを保持し、利用頻度の低いファイルは管理情報のみをオンプレミスに残し、実データはクラウドファイル共有ストレージであるAzure Filesに保存する(三重化以上で冗長化)。 Azure File SyncでオンプレミスのファイルサーバーとAzure Filesを同期することにより、オンプレミスの高速性とクラウドのメリットである拡張性、柔軟性、耐障害性を同時に実現することができる。
ユーザーはクラウドを意識することなく、従来のオンプレミスと変わらぬ高速なアクセスが可能で、実データはAzure Files上に安全に保管されるため、万一ファイルサーバーにトラブルが発生しても復旧は容易だ。Azure Filesは使用量に応じた月額課金で、拡張性も高いため、オンプレミスでの構築のように詳細なサイジングや、将来を見越して大容量をあらかじめ用意しておくといった必要もない。利用量に応じたスモールスタートが可能だ。
このようにメリットの大きいハイブリッドクラウド活用を提供するAzure File Syncだが、実際に導入・運用しようと思うと、構築から設定、運用と、Microsoft Azureの利用経験がないと難しいと考えてしまうケースもあるだろう。そうした構築から運用中のサポートまでシームレスで手厚い支援を提供するのが、NECの「クラウド連携ファイルサーバソリューション」である。
NECでは今回、杏林堂薬局からの相談を受け、クラウド連携ファイルサーバソリューションのAzure File Sync構築サービスとAzure File Syncの各種サポートサービスを提案した。
「クラウド連携ファイルサーバソリューションは構築から運用まで一貫した支援をご提供します。NECが Azure側の設定、構築を行いますので、Microsoft Azureのご利用が初めてのお客さまでもスムーズに導入が可能です。また、構築サービスとサポートをNEC内の同じチームが担当するため、構築サービスからサポートサービスへシームレスに移行し、手厚いサポートをご提供できます」と語るのは、NEC クラウドプラットフォーム事業部 主任の庄司隆夫氏だ。
NECはMicrosoftと連携して、従来のオンプレミス、ハードウェアビジネスだけでなく、顧客のクラウド導入・活用の支援にも注力している。「従来のオンプレミスビジネスのサポートノウハウも生かし、オンプレミスとクラウドサービスを組み合わせたハイブリッドな環境でも高品質なサポートを提供できることがNECの強みです」と庄司氏は強調する。
「クラウド連携ファイルサーバソリューション」による構築・運用支援を高く評価
検討の結果、杏林堂薬局では NECの提案を採用することを決めた。「当社ではこれまでクラウドサービスを利用したことがなかったわけですが、今後はファイルサーバーにとどまらず、さまざまなクラウドサービスを利用していきたいという思いもあり、幅広く活用できるMicrosoft Azure、そしてその導入と運用を手厚く支援してくれるNECが提供するクラウド連携ファイルサーバソリューションの採用を決めました」と高山氏は導入理由を話す。
構築は非常にスムーズで、トラブルも全くなかったという。 Azure File Syncを導入するにあたっては、Microsoft Azureのアカウント作成からAzure File Syncの設定、Azure File Syncエージェントのインストールなどを行う必要があるが、各種Azureリソースの設定はAzure File Sync構築サービスでNECが担い、利用ユーザー側はAzure File Syncエージェントのインストール・設定作業を行うだけだ。「Microsoft Azure側の操作はNECが実施してくれますし、エージェントインストールについては詳細な手順書をもらっていましたので、滞りなく作業できました」と高山氏。
実際に運用がスタートし、導入効果として実感しているのはやはり機器管理工数の削減だという。
「これまではファイルサーバー、待機系サーバー、バックアップ用 NASと3種類の機器を運用管理していましたが、 Azure File Syncを導入したことで待機系サーバーとバックアップ用NASは不要になりました。ファイルサーバーに異常がないかを確認するだけで済みますので、管理工数を大きく削減できています」と高山氏は話す。
そして、運用フェーズに入ってからは、NECが提供するAzure File Syncの各種サポートサービスが手厚い支援を行っている。特に各種問い合わせへの対応を高山氏は高く評価しており、導入当初はメール等で質問をすることなどもよくあったが、回答は迅速かつ丁寧で非常に助けられたという。
クラウドサービスにはアクセス速度に対する不安があったそうだが、Azure File Syncを活用することでそうした懸念も払拭できた。利用している社員も「おそらくハイブリッドな環境へ移行したことを気付いていない社員も多いのではないか」というように、非常にスムーズかつ満足な導入ができたと高山氏は今回の導入を評価した。
杏林堂薬局では今後、保守切れになるサーバー類のMicrosoft Azureへの移行も検討していく。「オンプレミスの方が向いているシステムもありますが、問題ないものはMicrosoft Azureへの移行を検討していければと考えています。それに加えて、昨今のCOVID-19の流行により当社でもテレワークを行っていますので、在宅でもVPNではなくインターネット経由でファイルサーバーにアクセスできる仕組みなども取り入れていきたいと思います」と高山氏は今後の展望を語った。
マイクロソフト社との「共創」によりハイブリッドクラウドの課題を解決
NECでは、Express5800シリーズを中心としたハードウェアと、マイクロソフト社のMicrosoft Azure、Windows Serverといったそれぞれの強みを生かし、ハイブリッドクラウド領域で「共創」に取り組んでいる。PoC(検証環境)を構築し、EPSOサービス等を利用してマイクロソフト社のエンジニアと連携することにより、ハイブリッドクラウドに関するさまざまな課題を迅速に解決し、顧客へのサービス展開に生かしていく。
今回杏林堂薬局に提供したAzure File Sync構築サービスとAzure File Syncの各種サポートサービスは、NECとマイクロソフト社の共創による第一弾となる取り組みだ。
「COVID-19対策や働き方改革、DX推進など、クラウドサービスを活用することでメリットを得られるシーンはますます増えていきます。NECとしては、今後もマイクロソフト社と連携、共創を進め、お客さまにとって導入しやすい、使いやすいハイブリッドクラウド商材を次々と提供していきます」と庄司氏は力強く語った。
クラウドサービスを活用したいがなかなか踏み出せない、というユーザーはひとまずNECに相談してみてはいかがだろうか。