特別企画
いつもの人といつものように――、Cisco TelePresence MX/DXシリーズでつながる世界
シスコだけじゃなくMicrosoft Lyncなど、さまざまなモノが“つながる”
(2015/12/17 06:00)
「サンプルっていつ上がるんだっけ?」。
自宅のリビングで資料を作成しながら、隣席の同僚にそう尋ねる――。
週に1日、在宅勤務を希望した彼女の自宅PCは、チームのワークスペースに設置されたCisco TelePresence MX300G2と、業務中は常に接続され、まるでいつものオフィスに居るかのように、同僚に声をかけることができる。
これまで、本社の会議室と海外や地方の拠点など、特定の場所を点と点で結んでいたテレビ会議の概念が、今、大きな変革期を迎えようとしている。
きっかけは、シスコのTelePresence MXシリーズの登場だ。カメラとテレビが一体化されたこのデバイスは、カメラによって映し出された映像とマイクを使って収集した音声を聞きながら、インターネット経由で会議ができる製品となっている。
画面サイズやカメラの性能などで複数のラインアップが展開されるが、流線型のスタイリッシュなデザインと、数分で設置でき、ワンタッチで相手とすぐにつながる手軽さは、これまでの肩ひじ張った「テレビ会議」とはまるで違う、ちょっと未来的とさえ思えるコミュニケーションを実現できる画期的な製品。
テレビ会議システムなら、すでに導入済み。という企業も多いかもしれないが、クラウドサービスも提供されるなど、トータルのソリューションとして提供されるシスコのTelePresence(テレプレゼンス)シリーズは、これまで企業などで多く採用されてきた専用のテレビ会議システムやLync(現Skype for Business)などのPC向けのソフトウェアとの相互接続も実現(詳しくは後述)。
システムをすべて刷新する必要なく、現在の資産を生かしながらプラスしていくことで、会議室やオフィスのフロア、支店、工場、海外拠点との円滑なコミュニケーションを実現することができる。
そんな新世代のテレプレゼンス用端末を社内のすべての会議室、さらにオフィス内の共有スペースや部門単位のデスクが見渡せるような場所に設置しようという、先進的なアイデアさえも存在する。
冒頭の話は、社員の自宅と会社のワークスペースがつながれた例だが、これを離れた場所にある研究開発部門や工場などとのコミュニケーションに活用しようという取り組みだ。
例えば、営業用担当者が、次期製品の予定を開発担当者に聞いてみたいと考えたとしよう。もちろんメールや電話で尋ねることもできるが、直接、話した方が早いうえ、いろいろな情報を聞き出せたり、試作品などを実際に確認できたりする可能性があるため、こういった雑談レベルの会話は、相手の席を尋ねてちょっと聞く、という方が手っ取り早い。
とはいえ、離れた場所にある研究開発部門や工場となると、それも難しい。しかし、テレプレゼンスを使えば、建物を移動したり、新幹線で出張したりしなくても、こういった話をすることも不可能ではない。「○○さん、ちょっといい?」などと、声をかけて呼び出せば、まるで立ち話をするようにテレプレゼンスの前で話をしたり、資料や試作品などを目で確認したりすることが可能だ。
もちろん、フロアに設置された端末を使って会話をすれば、その状況が周囲の目に触れ、会話も聞かれてしまうことになる。しかし、これが思わぬ効果を生むこともある。
実際のオフィスで多くの人に経験があると思うが、近くで雑談を耳にしたほかの担当者が会話に参加してきたり、通りがかった上司が興味を示したりするケースは意外に多い。こういったところから、新しいアイデアが生まれたり、思わぬプロジェクトが立ち上がったりすることも少なくない。
部署間のコミュニケーション促進を狙った似たようなしくみは数々存在する。大部屋、フリーアクセス、管理職の個室の撤廃など、フロアのレイアウト変更などで実現しようとする取り組みもあるが、TelePresence MXシリーズを使えば、物理的な距離の制約やレイアウトなどに縛られることなく、このような環境を生み出すことができる。
重要なポイントは、特別なコミュニケーションを企業側で無理に演出するのではなく、「いつもの」コミュニケーションや「当たり前の」コミュニケーションが自然にできるように、さりげなくテクノロジーでサポートすることだ。
イスをクルリと横に向け隣の席の同僚に声をかける、スタスタと相手のところに歩いて「○○さん、ちょっといい?」と話しかける。これと同じくらいの手軽な操作で相手を呼び出したり、声や映像で空間そのものをありのまま相手に伝えたりすることができれば、場所だけでなく、組織の垣根も飛び越えたコミュニケーションが可能になるというわけだ。
会議に優秀なディレクターを
もちろん、TelePresence MXシリーズは、これまでの会議室での会議も大きく変える可能性も持っている。
中でも会議室などへの設置に適した大型のTelePresence MX700/MX800は、会議の質を高めることができる非常に優秀なシステムだ。発話者追跡に対応したデュアルカメラを選択可能となっており、本体上部に備え付けられたカメラが自動的に発言している参加者をとらえるようになっている。
このカメラはまるで優秀なディレクターのよう。ある人が発表を始めれば、その人を的確にとらえて画面に表示。別の人が質問をすれば、サッとカメラの向きを変えて、その人をとらえる。
テレビ会議に参加したことがある人は経験があるかもしれないが、俯瞰(ふかん)でとらえた映像の中に参加者全員が映る映像は、どことなくよそよしく、相手の話が直接届いているような感じがしない。資料に目を落としたまま、右から左へと声が抜けていくような感覚は、まるで臨場感が感じられない。
しかし、発言者が的確に画面に大きく表示され、誰かが意見を言ったり質問すればサッと画面が切り替わる様子は、まさに相手の顔を見て話をしているかのような感覚がある。相手の表情や身ぶり手ぶりを見ながら会話をすれば、相手の意図することをより正確に理解することもできる。会議の「質」の向上に一役買うはずだ。
経営層が集まるような会議にも活用可能だ。大きな会議室の壁に配置すれば、まるで相手と机を挟んで対面しているかのように、目の前に広がるスクリーンに相手を映し出すことができる。国内と海外、それぞれのエグゼクティブを結ぶコミュニケーション手段としても有用だろう。
音声の聞き取りやすさも優秀だ。従来のテレビ会議では、遠くの席の声が聞き取りにくかったり、逆に近くの参加者の声が大きすぎて音割れしてしまったりするようなことがあり、誰かがボリューム操作につきっきりになる、といったことがあった。しかし、TelePresence MXシリーズではそうしたことも一切なく、まるで発話者がマイクを手に持って個別に話しているような感覚さえある。妙なタイムラグや度重なる音声断で、進行が妨げられるようなこともない。
テレビ会議では、映像の綺麗さに注目されがちだが、実際は音声の聞き取りにくさが進行の妨げになっていたり、お互いの理解を深める障壁になったりすることが多い。そういった音声面でのストレスがなくなるのも導入の大きなメリットといえるだろう。
会議に欠かせない資料の取り扱いも効率的だ。TelePresence MXシリーズでは、PC・Macの画面をワイヤレスで画面に映し出し、相手と共有することが可能になっているため、発表者が席を移動したり、ケーブルをつなぎかえる手間なく、すぐに資料を表示して発表することができる。
ケーブル接続の場合でも、PCをつないでワンタッチするだけですぐに画面を切り替えられるうえ、画面に表示した資料を参加者のタブレットやスマートフォンなどに送信することもできる。
会議では、時間を有効に使うことがとても重要だが、これまで仕方がないとあきらめられてきた接続までの時間ロスをなくせることは非常に魅力的だ。しかも、デジタル資料の配付でペーパーレスも実現できるとなれば、より無駄を省いた会議を実現できる。
対面の会議の席であれば、相手の顔を見ながら話を聞いたり、相手の声がきちんと聞こえたり、発表内容に応じて見る資料を変えるなどといったことは、特に意識しなくても当たり前にできることばかりだ。しかし、それをシステムで実現しようとすると、これまでは意外に複雑で難しい場合も多かった。それが、簡単に実現きてしまうあたりが、TelePresence MXシリーズならではの非凡さと言えそうだ。
誰とも当たり前につながるというすごさ
さらりとスゴイことをやってのけるという意味では、「誰とでもつながる」という点も実はTelePresence MXシリーズならではの特徴だ。
最新のビデオ会議システムの導入や入れ替えが、企業の生産性を向上させることは明らかだが、実際の企業の現場ではなかなかそうはいかない。なぜなら、投資済みの設備を無駄にするわけにはいかないうえ、日々のコミュニケーションを支えるような重要なプラットフォームの変更はユーザーからの反発も出やすいからだ。
例えば、Office 365などでOffice製品と一緒に導入できることから、在席確認やインスタントメッセージ、1対1の個人会議にLync(現Skype for Business)を利用している企業は少なくないだろう。
このような場合、前述したように、オフィス内や拠点、会議室などのコミュニケーション環境を改善しようすると、すでに導入済みのLyncとの住み分けをどうするかが課題になる。投資した費用を回収できなければ問題になるうえ、システムをトータルで変更するとなれば再び大規模な投資や教育期間が必要になってしまう。
「前と違う」「よくわからない」など、ユーザーはシステムが変更されることをあまり歓迎しない。
しかし、シスコのテレプレゼンスであれば、既存の資産を活用し今まで通りの使い方を踏襲することが可能だ。オンプレミスでの接続ももちろん可能だが、シスコがクラウド上で提供するゲートウェイ「Cisco CMR(Collaboration Meeting Rooms) Cloud」を活用することで、本社で開催されている会議にLyncや他社製のテレビ会議システム、スマートフォンの各種アプリなどから参加することができる。
すでに他社製の電話会議システムやテレビ会議システム、LyncなどのPC向けコミュニケーションツールを利用している場合でも、既存の設備を変更したり、新たな投資をする必要はない。シスコがクラウド上に用意した多地点接続用装置(MCU:Multipoint Control Unit)には、さまざまなベンダーのサービスに対応するゲートウェイが用意されており、ここをインターネットを介して経由させることで、簡単に異なるシステム同士をつなぐことができる。
企業によっては、導入時期や導入担当部署の違いなどによって、会議室のテレビ会議システム、PC用のIMやオンライン会議ツール、モバイル用のアプリなど、設置場所やプラットフォームごとにそれぞれ別のシステムを採用している場合もある。
また、最近では企業の合併や買収などで異なるシステムが混在するようなことがあったり、社員が個人で所有するモバイルデバイスを業務に活用しようとする例も少なくない。
複数企業でのプロジェクトや海外パートナーとのコミュニケーションでシステムの違いがネックになることも多い。
しかし、シスコのテレプレゼンスシリーズやCisco CMR Cloudなどを含めたトータルのテレプレゼンスソリューションを活用すれば、こういった異なるシステムの相互運用が、大きな投資や長期間の開発、社員へのトレーニングをすることなく、可能になる。まさに、企業文化やシステムの違いも超えるコミュニケーション手段と言えそうだ。
ワークスタイル変革を阻む隠れた無駄も排除
「そうは言っても、実際に導入してもなかなか使ってもらえないんじゃないか?」
そんな疑問を持つ人も少なくないかもしれない。すでにテレビ会議システムを導入している企業の中には、せっかく導入しても、使うのは海外や支店との定例会議で月1回使うかどうか……、といったように、実際の業務になかなか活用されないことも珍しくない。なぜだろうか?
しかし、ここで少し、導入済みのテレビ会議システムについて確認してみてほしい。本当に、現在のシステムが使いやすいかどうかということを。
例えば、こんなことはないだろうか?
・普段、テレビ会議用のモニタや電話機が会議室の隅に押しやられていて、使うときには端まで行って操作したり、機器の物理的な接続や調整が毎回必要になっている――。
・テレビ会議用のリモコンにたくさんのボタンがあり、マニュアルを見ながら、つながるまでに会議の大半の時間を浪費してしまっている――。
・PCを使ったテレビ会議用の端末を起動するたびにアップデートとウイルスチェックで待たされ、揚げ句の果てにUSBで接続されたスピーカーやカメラ、マイクがうまく動作しないことがある――。
・テレビ会議用の端末に、「配線や設定を変更しないでください」という注意の張り紙があり、怖くて触れない――。
・テレビのリモコンが見当たらず、画面を切り替えるまで、何分も相手を待たせ続けてしまった――。
・テレビ会議用のテレビやカメラ一式が社内に少なく、会議のたびに台車やラックでガラガラと部屋まで運んでセットアップしなければならない――。
・テレビ会議用の端末がある会議室が普通の会議で占有されていて使いたくても使えない状況が続いている――。
もちろん、費用の問題もあるかもしれないが、本気で効果が出るワークスタイルの変革を目指すのであれば、旧式のシステムを中途半端に導入したまま放置するのではなく、最新の高性能でしかも簡単なテレプレゼンス端末を、オフィスのフロアや拠点、すべての会議室など、あらゆる場所へと導入することが重要と言える。
実際、シスコのTelePresence MXシリーズは、一体型で配線がシンプルなうえ設置場所にマッチするデザイン、設置場所や用途に合わせて選べるサイズやモデル、資料共有のための接続から画面出力までがワンタッチでできる手軽さ、既存の資産も生かせる相互接続性の高さを備えている。
こういった機器を社内のあらゆる場所に設置することで、いつでも、どこでも、誰とでも、しかも普段通りにストレスなくコミュニケーションができる環境を整えておけば、経営層から一般社員まで幅広い人が、むしろ積極的に「使いたい」と思うようになるはずだ。
使いやすいテレプレゼンス端末の設置をきっかけに、コミュニケーション手段が多様化すれば、自然と社員同士だけでなく、社外とのコミュニケーションの機会も増え、組織や地域の壁が取り払われ、相乗効果によって企業そのものが成長していく。そういったサイクルをうまく回すことこそが、本当の意味でのワークスタイル変革と言えるだろう。
出張コストの削減など、直接的なメリットを目標に導入するのももちろん悪くない。しかし、もっと広く、全社的な企業の活性化という視点で、Cisco TelePresence MXシリーズに代表されるテレプレゼンスソリューションの導入を検討してみてはいかがだろうか。