特別企画

企業向けオンラインストレージのススメ【前編】

Outlook環境向けにはプラグインを用意、セキュリティ面の配慮も

 メール環境向けには、Outlook用にプラグインが用意されており、メールで容量の大きなファイルを添付すると、自動的にファイルをSafeSync for Enterpriseにアップロードして、メールの相手先にはリンクだけを送る機能も利用できるようになる。

 設定でファイルサイズを指定し、ある一定容量以上のファイルはSafeSync for Enterpriseを使い、容量の小さなファイルはそのままメールに添付して送信する、といったことも可能だ。ユーザーは今までと異なる作業をしなくてもいいため、SafeSync for Enterpriseへの移行が楽に行われるだろう。

 ただしDropboxのようなパブリッククラウドサービスではないため、ゲストユーザーがファイルにアクセスできるようにするには、外部からSafeSyncサーバーにアクセスできるよう、ネットワーク設定を行う必要がある。このあたりは、社外からのアクセスをどうするのかというルールが問題になるので、企業ごとに対応が異なるだろう。

ファイル共有時の問題点は、メールに大きなサイズのファイルが添付できなかったり、データを渡すのに会社のファイルサーバーやリムーバブルメディアを使うと申請に手間がかかることがある。SafeSync for Enterpriseは、こういった問題点を解決する
Outlook連携機能を使うと、添付したファイルは自動的にSafeSync for Enterpriseへアップロードされ、相手先にはダウンロード用のURLが送付される

 またオンラインストレージでは大きな問題になるのが、セキュリティ面だ。SafeSync for Enterpriseは企業向け製品だけあって、この面ではさまざまな機能を備えている。

 チームフォルダや個人フォルダにアップロードした段階で、ファイルは自動的に暗号化され、ダウンロードする際にクライアントアプリで復号される。復号は、SafeSync for Enterpriseから条件に適合するユーザーにのみ配布される鍵を使って行われるので、例えば別のユーザーへファイルをダウンロードするためのURLをメールで転送しても、そのユーザーは権限がなければファイルを復号できない。

SafeSync for Enterpriseでは、暗号化の鍵を自動的に相手先に送るため、ファイルの受信者でいちいち鍵を使って復号する必要はない。システムが自動的に行ってくれる

 もちろん、こういったセキュリティを実現するためには、ユーザーやグループごとのポリシー管理が必要になる。SafeSync for EnterpriseはActive Directory(AD)と連携しているため、ADのアカウントを利用することができるし、SafeSync for Enterprise上でより細かなアクセス管理を行うことも可能だ。

 さらに、誰がどういったファイルにアクセスしたのかなどを把握するためのアクセスログ、各種トラフィックを監視するダッシュボード、レポートなどの運用・監視機能もそろっている。

管理者に必要なAD連携、ログ、各種データを確認するダッシュボード機能などもそろっている
ダッシュボードでは、アクセスしたユーザー数やなども簡単にチェックできる
ユーザー/グループごとにポリシーを設定することができる。アップロードできる最大ファイルサイズ、共有コントロールなどが設定可能
アクセスしたユーザーのログが詳細に記録されるため、コンシューマ向けサービスとは全く違って、何か起こったときの対処も容易に行える

(山本 雅史)