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トレンドマイクロ、ファイル共有サービスの業務版「SafeSync for Enterprise」
オンプレミス型で「管理性」「利便性」を両立
(2013/11/5 16:50)
トレンドマイクロ株式会社は5日、安全で利便性の高い業務ファイル共有を実現する「Trend Micro SafeSync for Enterprise(SafeSync for Enterprise)」を発表した。27日より受注を始める。
SafeSync for Enterpriseは、企業内にデータを安全に保管するオンプレミス型で、オンラインストレージのような利便性を目指したファイル共有サービス。ファイルの自動暗号化、フォルダへのアクセス権設定、アクセスログ取得といった管理機能を備えつつ、シンプルな操作性を実現している。
共有したいファイルをストレージ領域に用意された「チームフォルダ」にアップロードすると自動暗号化される。Active Directory(AD)と連携して「チームフォルダ」に参加するメンバーを簡単に登録可能。また、ユーザー・グループごとに、アップロード可能なファイルタイプやサイズ、共有方法などのポリシーを設定できる。アクセスログによって、どのファイルにいつ誰がアクセスしたかを確認できるため、万が一、情報漏えいが疑われる場合も容易に影響範囲を特定できる。
暗号化されたファイルを復号するには、クライアント側に専用エージェントが必要。エージェントがインストールされた端末では、暗号鍵の交換・管理を意識せずに透過的に復号・閲覧・編集が行える。外部からストレージにアクセス可能なネットワークが条件となるが、Android/iOS端末からのアクセスにも対応する。
メンバーの登録はAD以外でも可能。関連会社の担当者を加えることができる。ファイル共有方法としては、「Outlook連携機能(Outlokk 2007/2010/2013に対応)」によって、メールに添付されたファイルを自動的にSafeSync for Enterprise上に保存し、相手にダウンロードURLを送信する方法が採れる。この場合、パスワード、リンクの有効期限、暗号化も設定可能だ。
ファイルを暗号化した場合、SafeSync for Enterpriseのエージェントをインストールし、「チームフォルダ」のメンバーに登録されていないユーザーは復号できないため、万が一、ダウンロードされたファイルが転送されても情報漏えいの心配はない。
また、ポリシーの設定によっては関連会社の担当者と直接、SafeSync for Enterpriseを同期させることも可能。関連会社もファイルの編集が可能なため、より緊密にファイル共有して連携したい場合など、状況に応じた運用を選択できる。
トレンドマイクロでは「建設業で複数の関連会社と設計図などを共有する」「旅行業で各店舗の従業員にタブレット端末を持たせ、ツアーのパンフレットなどをダウンロードさせ、営業活動に利用する」といった想定利用シーンを紹介している。
価格は、1000ユーザー契約の場合で2960円(税別)/ユーザー。最小5ユーザーからの契約が可能で、ユーザー数が多いほど単価が安くなるボリュームディスカウントが適用される。次年度にサポート契約の更新が必要。
データの「手軽な共有」「管理・統制」のジレンマを解消
昨今、USBメモリやオンラインストレージなど個人向けのファイル共有ツールが多様化している。その利便性の高さから、多くの従業員が会社のルールにかかわらず業務利用している。トレンドマイクロの調査では、従業員の3割以上が業務ファイルを社外と梁取りするのに、会社に許可されていないツールを使用した経験があると回答している。
こうしたツールは利便性が高い一方、運用ミスによる業務ファイルの紛失、情報漏えいのリスクがぬぐいきれない。企業側でもポリシーの整備は進んでいるとはいえず、オンラインストレージに関して半分以上の企業で利用規程が不明確という調査結果もある。
従業員は「業務で利用するデータを手軽に共有したい」と思い、管理者は「重要なデータを安全に管理・統制したい」と思うジレンマに課題がある。この相反する要望を両方満たす対策として、SafeSync for Enterpriseを開発したとトレンドマイクロ 執行役員 ビジネスマーケティング本部長の新井一人氏は語る。
今回のSafeSync for Enterpriseは社内にサーバー・ストレージを用意するオンプレミス型だが、将来的にはIaaSなどを利用したクラウド版も検討。「ただし、その場合も管理機能を備えた企業向けファイル共有サービスとして、コンシューマ向けのSafeSyncとは別物になる」(新井氏)としている。