特別企画

企業向けオンラインストレージのススメ【前編】

 コンシューマユーザーに向けて無償でサービスを行っているオンラインストレージは当たり前の存在となってきている。そうしたサービスを便利に使っているユーザーが、仕事でも使いたい、と思うのもまた当たり前のことだが、企業で使い続けることには情報漏えいなどのリスクもつきまとう。

 こうしたギャップを解消するため、最近でも企業向けのオンラインストレージ製品・サービスも各種そろってきている。そこで2回にわたって、エンタープライズ向けのオンラインストレージをいくつか紹介していく。

コンシューマ向けサービスをそのまま使うことのリスク

 現在普及しているDropboxなどのオンラインストレージサービスでは、PCだけでなく、タブレット端末、スマートフォンなど複数のデバイスからアクセスできるため、個人ユーザーにとっては使い勝手が非常にいい。

 また、メールに大きな容量のファイル(写真や動画など)を添付できない場合にも、オンラインストレージを利用し、ファイルを送受信することが多くなってきた。

 こうした利便性を仕事の上でも生かそうと、オンラインストレージの利用は、コンシューマユーザーだけでなく、ビジネスユーザーでも広がっている。

現在の企業ITにおいては、PCだけでなく、さまざまなデバイス、クラウドサービス、SNSが利用されている。こういったダイナミックな変化に企業ITは追従していく必要がある(以下、トレンドマイクロの発表会資料より)
クラウドストレージは、多くのユーザーに利用され始めている

 しかし、企業でコンシューマ向けオンラインストレージを利用するのは、大きな問題をはらんでいる。例えば、社内のITシステム自体が高いセキュリティを保っていたとしても、ユーザーがさまざまなデータをオンラインストレージにアップすることで、それらが社外に流出してしまう危険性がある。ユーザーに悪意がなかったとしても、オンラインストレージの設定を間違えれば、不特定多数のユーザーにデータが公開されてしまうのだ。

 そこで、セキュリティポリシーによってオンラインストレージの利用を禁止することも多いが、一部のユーザーは、依然としてコンシューマ向けサービスを利用し続ける。こういったことは、ITガバナンスという面から見れば大きな問題となってくる(シャドーITともいわれている)。

 IT管理者としては、社内のシステムからコンシューマ向けサービスにアクセスできなくするとこはできるが、それだけでは根本的な問題解決にはならない。IT管理者が管理でき、ユーザーにとっては利用しやすい、適切な代替手段を用意することが必要ではないか。そのためには、管理可能なエンタープライズ向けのオンラインストレージを導入するのが手っ取り早いといえる。

多くの企業では、クラウドストレージを利用するルールが不明確
コンシューマ向けのクラウドストレージサービスをそのまま利用していると、セキュリティ面で大きな問題がある
企業でクラウドストレージを導入するには、ユーザーのニーズとIT管理者のニーズの両方を満たす必要がある

(山本 雅史)