特別企画
パートナーとの豊かなエコシステムで――、ファーウェイが進める法人向け事業
深セン本社で戦略説明会を開催
2017年7月24日 12:12
法人向け事業はパートナーによるエコシステムで
Catherine Du(杜娟)氏(法人向け ICT ソリューション事業グループ マーケティング部門ディレクター)によると、ファーウェイの法人向け事業が本格的に発足したのは2011年。年ごとの成長率は2013年ごろから大きく伸び、2016年には前年比47.3%だったという。
ここでいう法人向け事業とは、企業の勘定系や情報系などのシステムだけを指すものではなく、広く各産業向けソリューションを意味する。Du氏は、ファーウェイの法人向け事業が評価されている業界として、スマートシティ、金融業、エネルギー事業、運輸業、製造業の5つを挙げた。「金融業の『Bank 3.0』や、製造業の『Industry 4.0』など、すべての産業で進むデジタルトランスフォーメーションを助ける」とDu氏。
またJoe So(蘇競釗)氏(法人向け ICT ソリューション事業グループ 産業ソリューション担当最高技術責任者)は、産業向けソリューションが成功している分野として、治安、スマートシティ、ISPを挙げた。さらに、2017年の注力業界として、航空、物流、石油とガス、ITS(高度道路交通システム)の4分野を挙げた。
こうした各業種のITについて、ファーウェイは、アプリケーションは手がけずプラットフォーム部分に徹する立場であることを、今回のスピーカーたちは口々に語った。それによると、ファーウェイの強みは「クラウド、パイプ(通信)、デバイス」であり、3つを取りそろえていることにあるという。また、研究開発に積極的で、毎年の売り上げの10%以上を研究開発に投資していることも、Du氏は強みとして語った。
So氏の説明によると、プラットフォームとなる汎用の水平ソリューションをファーウェイが担い、その上の各業界向けアプリケーションを含む垂直ソリューションはパートナーとともに取り組む。さらにその上のコンサルティングやSIはパートナーに任せる。
このように、ファーウェイの企業向け事業は「パートナーによる豊かなエコシステムのおかげ」とDu氏はコメントした。現在、チャネルパートナーが12000社以上、ソリューションパートナーが400社以上、サービスパートナーが2100社以上、認定エンジニアが46000人以上いるという。
NB-IoTチップやIoTゲートウェイを提供
産業向けソリューションのプラットフォームの中でも、多く紹介されたのがIoTだ。例えば、電気や水道のスマートメーターがある。中国やポルトガル、ナイジェリアなどで使われているスマートメーターで、モバイル通信NB-IoTにファーウェイのチップが採用されているという。
また、ここ1年ほど、中国ではシェア自転車が流行している。今回の深センでもよく見かけたし、上海や北京でも同様だという。その2大事業者であるMobikeとOfoでは自転車にモバイル通信を組み込んでいるが、Ofoではファーウェイのチップにより低消費電力なNB-IoTを導入しはじめたという。
設備でのIoTについて、ファーウェイではIoTゲートウェイのソリューション「EC-IoT(Edge Computing IoT)」も提供している。4月にはGEと共同で、ファーウェイのEC-IoTとGEデジタルのIoTプラットフォーム「Predix」を組み合わせた予防保全ソリューションを発表した。機器の稼働データを収集して、今後どのような事故が起きるか予測してメンテナンスするという。エレベーターのシンドラー社による導入も予定されている。「EC-IoTはすべてのものをIoT化するのに必要で、非常に大きな市場だと考えている」とDu氏は語った。
またEC-IoTでは、ハネウェルともスマートビルディングソリューションで協業を3月に発表している。各種センサーからのデータをもとに、照明や空調などの効率を向上させるという。