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問題は常にイノベーションで解決する――、シンガポールのスマートシティへの取り組み
Huawei Innovation Day Asia 2015レポート
(2015/11/16 11:40)
ファーウェイの考えるスマートシティの要素
ファーウェイのインダストリー・ソリューション担当CTOであるジョー・ソー氏は、スマートシティを「住民の生活の質を向上させるためのもの」と定義。自身の出身地である深センを例に、急速に人が集まることによって安全や食、交通などの問題が起きるとして、これをスマートシティが解決すると語った。
氏はスマートシティを、センサー、インフラ、データ分析プラットフォームといったレイヤーに分けた。このうち、インフラがファーウェイの主力分野だ。なお、ファーウェイは日本ではモバイル端末のイメージがあるが、ヨーロッパやアジアなどでは通信キャリアの光ネットワークやパケットコア、モバイルブロードバンドなどの通信機器で大きなシェアを持つ。
ソー氏は、スマートシティによる都市管理の例として、ドバイのCity Unified Control Center(UCC)を紹介した。監視カメラ(CCTV)やIP電話などを使い、街の中で起こっていることを把握し、すばやく対応するという。ただし、スマートシティを作るには政府だけでなく市民をまきこんでいく必要があることから、プライバシーへの配慮についても言及した。
米国のシンクタンクであるITIF(Information Technology and Innovation Foundation)副理事長のステファン・エゼル氏は、スマートシティの社会への効果について語った。
氏はスマートシティの1つの理由として、新しい市場の機会を示した。混雑課金によって25%の交通量を減らしたストックホルムの事例や、駐車場を探してガソリンが無駄に消費されているという調査などを紹介した。
また、スマートシティによる不経済の解消として、道路のデコボコのデータを共有するアプリ「Street Bump」や、環境問題、カーシェアリング、自動運転車、スマートグリッドなどを挙げた。
エゼル氏は最後に、中国と日本についての予測を紹介した。中国ではこれからの10年でスマートシティに2兆元の投資が見込まれているという。また、日本では2020年に3.8兆円のスマートシティ市場が見込まれているという。