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富士通の2015年度第3四半期累計業績は増収減益、4月付けで5000人規模のデジタルサービス部門設立へ
(2016/1/29 23:59)
富士通株式会社は29日、2015年度第3四半期累計(2015年4月~12月)の連結業績を発表した。
売上高は前年同期比1.3%増の3兆4082億円、営業利益は前年同期比2.5%減の16億円、税引前利益は20.2%減の168億円、当期純損失は541億円の黒字から、マイナス106億円の赤字となった。
また、今回の業績を受けて、2015年度通期業績見通しを下方修正した。
2015年10月時点の予想に比べて、売上高は800億円減の4兆8000億円へと修正。営業利益の200億円減の1300億円、当期純利益の150億円減の850億円とした。
セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高を500億円修正し3兆3500億円、デバイスソリューションで300億円修正し、6000億円とした。10月時点ではいずれも上方修正をしていたが、これを上回る下方修正幅となった。ユビキタスソリューションの見通しは据え置き、売上高は1兆300億円とした。営業利益では、テクノロジーソリューションが300億円減の2050億円、デバイスソリューションでは100億円減の300億円へと修正した。
富士通の田中達也社長は、「第3四半期はシステムインテグレーション事業を中心にコア事業が順調に推移。先般発表した経営方針に沿って、ビジネスモデルの改革を着実に進めている。第4四半期に計上する予定であったビジネスモデル変革費用として、176億円を第3四半期決算に組み込むなど、計画を前倒しして体質転換を進めている。だが、ネットワーク事業とデバイス事業において、経営環境に厳しさが出ており、その影響を反映せざるを得なくなった。年度当初から掲げていた営業利益目標の1500億円を、1300億円へと修正した」とした。
また、「こうした状況を踏まえ、12月24日に新たな経営体制を発表したのに続き、本日付けで、各役員の新たな担当業務を、大幅に前倒しして決定した。経営方針に連動した組織と責任体制を早期に構築することで、新年度からのスタートダッシュを図る」と話す。
さらに、「4月1日付けで、デジタルサービス部門を新設し、クラウド、ネットワーク、IoT、セキュリティ、ビッグデータといった今後の成長が見込まれる部門を集約する。また、各事業部門間のシナジーをより高めることで、コア事業であるテクノロジーソリューションのさらなる競争力向上を図る。すべてがつながるデジタル社会を見据えた新たな価値創造に取り組む。厳しい経営環境は続くが、2015年度、2016年度に、全社一丸となったビジネスモデルの変革をやりきることで、将来の成長に向けた取り組みを行い、2017年度以降の成長を確かなものにしたい」と述べた。
デジタルサービス部門は、デジタルサービス部門は、富士通単独で4000~5000人規模になるとした。
また、富士通 取締役執行役員常務兼CFOの塚野英博氏は、「第1四半期は273億円の赤字であったが、第2四半期、第3四半期には黒字を積み上げてきた。ビジネスモデル変革費用として、9カ月累計で219億円を計上しており、これがなければ230億円の営業利益水準になる。PCは、国内向けを中心に減少したが、国内SIビジネスは過去最高となった。IT投資環境は好調であり、メガバンクを中心とした金融、マイナンバー関連商談がある公共、そして産業分野が好調である。だが、キャリア系のインフラ関連投資が減速している」とした。
ビジネスモデル変革費用は、第1四半期に国内ネットワーク事業の人員配置などに42億円を計上していたが、第3四半期においては、欧州のプロダクト開発拠点の閉鎖などが対象であり、EMEIAビジネスの体質強化を目指すものになる。
2015年度第3四半期累計におけるセグメント別業績では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比1.0%増の2兆3186億円、営業利益は29.4%減の672億円。そのうちサービス事業は売上高が3.7%増の1兆9727億円、営業利益が8.9%減の846億円。また、サービス事業のうち、ソリューションSIの売上高は前年同期比8.1%増の7014億円、インフラサービスの売上高は1.5%増の1兆2713億円となった。
「ソリューションSIは、第1四半期、第2四半期に続き、第3四半期も過去最高の売上高になった」(塚野CFO)という。
システムプラットフォームは、売上高が12.1%減の3458億円、営業損失は前年同期の24億円の黒字から、マイナス173億円の赤字に転落した。そのうち、システムプロダクトの売上高は3.3%減の1712億円、ネットワークプロダクトの売上高は19.2%減の1745億円となった。
「前年同期にメインフレーム関連の大型商談があった反動がある。ネットワークプロダクトは低調だが、携帯電話の基地局のビジネスが伸びた」という。
ユビキタスソリューションは、売上高が前年同期比2.4%減の7643億円、営業損失は前年の84億円の黒字から、133億円の赤字となった。そのうち、PCおよび携帯電話の売上高が前年同期比9.8%減の4778億円、モバイルウェアの売上高が13.0%増の2864億円となった。
「ユビキタスソリューション全体では、期を追うごとに赤字幅が減少してきている。だが、PC事業は第3四半期も赤字。ユーロ安の進行によるコストアップが影響している。また、法人向けPCが低調である。携帯電話は、黒字化しており、開発効率化がプラスとなっている。出荷台数は増加しているが、製品ミックスの変化によって金額では減少している。モバイルウェアは1けた台(数億円)の黒字になった」という。
デバイスソリューションは、売上高が前年同期比6.8%増の4637億円、営業利益は0.9%減の243億円。そのうち、LSIの売上高は8.1%増の2445億円、電子部品は5.4%増の2203億円となった。
なお、PC事業の分社化については、「2月1日から新会社をスタートするが、分社化することが最終目的ではない。事業成長に向けて可能性を模索していくことになるが、なにか決定しているものがあるわけではない。まずは分社を立ち上げていくことになる」(富士通・田中社長)とコメントするにとどめた。
PCの販売目標は、10月公表値を据え置き、420万台(前年度実績470万台)とし、携帯電話は360万台(同330万台)とした。
「PC事業は挽回策をとっているが、第1四半期にドルに対するユーロ安の為替影響が大きく、通期では2けた規模の(数10億円)の赤字が残るだろう」(塚野CFO)とした。