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SAP、Hadoopデータを活用するクエリエンジン「SAP HANA Vora」、年内にも国内提供
(2015/11/6 11:25)
SAPジャパン株式会社は5日、HDFSに格納されているHadoopのデータを活用するインメモリ・クエリエンジン「SAP HANA Vora」を、日本国内に向けて提供することを明らかにした。現在SAPジャパンはパートナー企業とHANA Voraの共同検証を進めており、12月末の提供開始を予定している。
SAP アジア太平洋地域 Datasese & Technology シニアディレクタのRohit Nagarajan氏(以下、Nagarajan氏)は、「ハイパーコネクティビティ、スーパーコンピューティング、クラウドコンピューティング、スマートワールド、サイバーセキュリティという5つのメガトレンドはデジタル化された世界に大きな影響を与え、多くの企業は自分たちのビジネスの改革に迫られている」と述べた。
しかし一方で「多くの企業がビッグデータを活用したいと考えているが、非効率なデータ処理、業務連携の欠如、ビッグデータを管理する膨大なコストといった問題を抱えている」とも述べ、企業がビッグデータを活用してビジネスを変革させるにはさまざまな困難があるとしている。
HANA Voraは、インメモリでHadoopデータを分析するOSSフレームワーク「Apache Spark」上で動作し、HDFSに格納されたHadoopが管理するビッグデータに対して、OLAPのような対話型のドリルダウン分析を可能にする。
また、SAP HANAなどの業務システムのビジネスデータの分析結果とHadoopの分析結果を結合し、さらに分析する“コンパイルクエリ”機能により、ビジネスデータとビッグデータをシームレスに連携させることができる。もちろんSAP HANAがない環境においてもHANA Voraは導入可能で、ScalaやPythonといったプログラミング言語を使用することで、Hadoopのデータを活用することもできるという。
Nagarajan氏は「ビッグデータは単体で分析しても意味がない。それらの情報を自分たちのビジネスに役立つということを認識し、意思決定を支援できなければならない」と述べ、これまでもSAPが得意としてきたビジネスデータの分析と同様、Hadoopによるビッグデータもシームレスに分析してビジネスに大きく貢献できることをアピールした。
なお、SAPジャパン バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長の鈴木正敏氏は、「ビッグデータをバスワードではなく、実際にビジネスに貢献できるようにしなければならない。そのためには業務システムでビッグデータを接続する必要がある」と述べた。また、今後特に注力する分野として「金融」「通信」「ハイテク」などを挙つつも「ビッグデータはあらゆる業種の企業がビジネスに役立てたいと考えている。さまざまな分野の企業に提案していきたい」とした。