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パスワードに依存しない新たな認証の仕組み「FIDO」を推進、米Nok Nok Labsが東京に拠点を開設
2015年8月28日 06:00
米Nok Nok Labs(以下、NNL)は27日、東京に拠点を開設し、パスワード不要の認証システムを実現する「NNL S3 Authentication Suite」を日本市場向けに投入すると発表した。
NNLは、現在のユーザー名とパスワードによる認証に代わり、生体認証などを用いたより強固で使い勝手のよいオンライン認証技術の標準化を進めている団体「FIDO Alliance」の創設メンバーの1社。FIDO Allianceには、VISAやPayPal、Google、Microsoft、Intel、中国のAlibaba Group、Lenovo、韓国のSamsung、LG Electronics、日本のヤフーなど200社以上が参加。NTTドコモも2015年5月にボードメンバーとして参加している。
FIDOでは、デバイス側では指紋認証などの仕組みを使ってユーザーを認証し、各サービスとは公開鍵暗号を使った認証を行う。標準化されたプロトコルにより、FIDO対応の機器やサービスであれば共通で利用できる認証プラットフォームとしての普及を目指している。
NNLでは、FIDO対応の製品として、サービス提供側の認証サーバーと、アプリ用のSDKおよび端末側の認証SDKからなる「NNL S3 Authentication Suite」を販売しており、今回、日本市場での販売を強化するため、東京に拠点を開設。日本企業に対するサポートを提供していく。日本企業では、既にNTTドコモが「NNL S3 Authentication Suite」の採用を発表。「Galaxy S6 edge」などFIDO対応のスマートフォンも販売している。
Nok Nok Labs社長兼CEOのフィリップ・ダンケルバーガー氏は、「日本市場はユーザーの要求レベルが高く、新しい技術をいち早く採用する。そうした環境だからこそ、NNLの技術も普及できると期待している」とコメント。早いペースで発展している日本に拠点を設けることで、日本市場で直接サポートを提供していくと語った。
日本市場を担当する宮園充氏は、FIDOはパスワードにまつわる問題を解決し、強固な認証を提供するとともに、ユーザーの使い勝手も改善されることで、サービスの利用率も向上し、好影響が生まれると説明。NTTドコモがFIDO対応の端末を販売しているが、他にもiPhoneなどの指紋センサーを搭載したデバイスにも対応可能で、将来登場する新たな認証方式にも対応可能だとした。
今後については、NTTドコモ以外にも様々な会社との話し合いを進めており、多くの日本企業がFIDOに高い関心を持っていると説明。FIDOの普及については、まずは日本も含めて世界各国でFIDO対応のデバイスが普及することが重要だが、2017年までには何十億という対応デバイスが出回ることになるという見通しを示し、日本でも多くの企業がNok Nok Labsの技術を採用したプロダクトを提供していくことに期待したいとした。
製品の採用例としては、銀行が個人顧客や法人顧客、行員向けの認証基盤として利用していくといった事例を紹介。製品はユーザー数ベースでの価格となり、これまでで一番大きな規模では1億ユーザーの事例もあったという。ただし、製品は大規模導入を行う企業のみを対象とするものではなく、数千ユーザー規模の企業に対しても提供を行っており、幅広い企業に対して採用を呼びかけていくとした。