ニュース
「体感すれば良さがわかる」、ヤマハの次世代型マイクスピーカーシステム「YVC-1000」
Interop Tokyo 2015レポート
(2015/6/15 06:00)
ヤマハが昨年5月に、Web会議向けのマイクスピーカーシステムの新世代製品「YVC-1000」を発売してから1年となる。
「YVC」は「Yamaha Voice Communication」を意味し、それまでの「PJP(Projectphone)」シリーズで培った技術をもとに一新した、新しいマイクスピーカー製品として登場した。なお、PJPが登場したのが2006年で、来年が10周年となる。
発売から1年、YVC-1000の特徴をふり返るとともに、どのような市場に浸透してきているか、Interop Tokyo 2015年に出展していた同社の担当に聞いた。
【ヤマハ スピーカーフォン/マイク&スピーカー関連記事】
・【特別企画】音に親しいヤマハだからこそ――、聞き取りやすい遠隔コミュニケーションを実現する「YVC-1000」
http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/special/20150824_715365.html
・ヤマハ、高音質化した遠隔会議向けマイクスピーカーシステム
http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20140418_644999.html
・【特別企画】ヤマハの音声処理技術はホントに効果的? スピーカーフォン「YVC-300」を使ってみた
http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/special/20150928_720144.html
・ヤマハ、聴感上2倍の大音量を実現、さらなる高音質化を実現したスピーカーフォン「YVC-300」
http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20150825_717789.html
・ヤマハ、6名程度に適したマイクスピーカーシステム、Web会議や遠隔講義に最適
http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20150410_697081.html
マイクを分離した拡張性、音質も向上
まず、YVC-1000の特徴をあらためて見てみよう。
YVC-1000は、マイクとスピーカーが一体型となったPJPシリーズと異なり、スピーカーを備えた本体からマイクが分離されている。これによる拡張性が最大の特徴だ。会議において、スピーカーをモニターの近くに置いて映像との一体感をもたせつつ、スピーカーを参加者の近くに置いて声を相手に伝えやすくできる。さらに、最大4つのマイクを追加できるため(標準添付のマイクを含めて最大5つ)、40人までの規模に対応する。
従来のPJP-50USBも、4台まで連結して、30人程度の規模の会議室にまで対応できた。しかし、一体型のマイクスピーカーを会議室に4台設置するとなると、置き場が問題となる。もちろん、オプションマイクを増やすのと比べるとコストもかかる。
2014年12月に公開されたファームウェアver.2.02からは、外部マイクの接続に対応した。ハンドマイクを接続することで、オンライン研修で講師の音声を届けるのに便利になる。さらに、ワイヤレスマイクのレシーバーをつなぐことで、複数のハンドマイクが使えるようになるという。
同時に、マイクとスピーカーともに音質をさらに向上させた。「ヤマハとして、音質は譲れません」と、ヤマハ株式会社 楽器・音響営業本部の笹本拓也氏は説明する。「Web会議では、画面が乱れても話は続けられますが、音が聞こえないと会議にはなりません。そこで、音が切れないこと、明瞭であること、それをきちんと相手のスピーカーまで届けることを以前から意識しています」。同社がデモ機を無償で貸し出しているのも、音質を体験してもらって「聞いてもらえばわかる」という自信からだという。
ラインアップ一本化で順調に販売、Web会議市場も広がる
昨年5月に発売したYVC-1000は、年内に市場への認知を広げ、昨年末から特に販売を伸ばしたという。笹本氏も「今年は売れている感触があります」という。
「拡張性や、Web会議の品質が上がることが市場のニーズに受け入れられたのだと思います」(笹本氏)。
さらに、PJPシリーズの中大型会議向け機種PJP-50USBが、今年の3月いっぱいで生産終了となった。それまでは中大型会議向け機種としてYVC-1000とPJP-50USBが併売されていたが、今後はYVC-1000に一本化されることとなった。
「併売していたときのトータルと同程度の販売数や伸びを狙っています」と笹本氏。それに加えて、オプションマイクが台数ベースで本体の8割ぐらい売れているとのことで、その売り上げが上乗せされる。
Web会議とマイクスピーカーの市場全体も広がっているという。例えば、金融系などを含む大企業で、会議のための出張などのコストを削減するために、遠隔会議のニーズが高まっている。特に役員会議では、高音質による確かな会話が求められる。
教育分野でも市場が広がる。2015年4月から、文科省の学校教育法施行規則改正により、高校での遠隔授業が解禁され、単位として認められるようになった。このように学校でリモート会議が使われるようになり、利用形態が模索されている。ヤマハのスピーカーフォンシステムも、いくつか学校での導入事例を重ねている。
そうしたマイクスピーカー市場で、ヤマハは6割(金額ベース)のシェアをもっているという。市場に受けられている理由として、笹本氏は「会議室の規模ごとにラインアップがそろっていること、ハードの品質が高く故障が少ないこと、音質が高いことが理由だと言われています」と語る。
また、ヤマハのマイクスピーカーシステムは、パートナー企業を多数持つ。「推奨機種にしていただいているので、案件などでヤマハのマイクスピーカーシステムを提案してもらえる。そのため、Web会議やユニファイドコミュニケーションのマーケットが広がれば、それにともなってヤマハのマイクスピーカーシステムも拡大していくでしょう」と笹本氏。
さて、PJP-50USBはYVC-1000に一本化されたが、今後のYVCシリーズはどうなるだろうか。これについては、「YVC-1000を最上位機種として、ラインアップ拡充を考えています」とのことだった。