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ヤマハ、高音質化した遠隔会議向けマイクスピーカーシステム

サウンド分野で培ったノウハウを最大限に生かす

YVC-1000

 ヤマハ株式会社は17日、Web会議向けのマイクスピーカーシステム「YVC-1000」を発表した。従来製品の「Projectphoneシリーズ」をさらに高音質化するとともに、マイクとスピーカー(本体)を分離し、より臨場感を高めたという。価格は、本体とマイクユニット1つで12万円(税別)、追加のマイクユニットが1つ3万円(税別)。5月15日より販売開始する予定だ。

 「YVC-1000」は、Web会議やテレビ会議で利用できる遠隔会議向けの高音質マイクスピーカーシステム。Web会議の場合は、本体はPCとUSBで接続することでスピーカーとして利用できるが、映像を映しているモニターの下に置くことで、「相手方の映像と音声をより自然に受け止められ、映像との一体感を出せる」(上席執行役員 楽器・音響開発本部長の長谷川豊氏)ことが、マイク・スピーカー一体型で提供されていたProjectphoneシリーズとは異なる点だという。

 また、「専門家ではない一般ユーザーがいかに使いやすくできるか」(長谷川氏)を追究し、設置された部屋の音響特性を機器自身が測定し、自動的に調整してくれる機能を搭載した。これによって、専門家が設定しなくても、最適な環境での利用を簡単に実現できるとのこと。

スピーカーとマイクを切り離し、それぞれ最適な場所に設置することで、より自然なコミュニケーションを実現する
自動設定などにより、高いユーザビリティを実現している

 Projectphoneシリーズなどで培ってきた独自の音声処理技術をさらに向上させ、高音質化を達成している点も大きな特徴。人間の声を高い精度で判定する技術「HVAD(Human Voice Activity Detection)」をさまざまな音声処理に組み込んだことで、音声とノイズをしっかりと仕分けしている。

 具体的には、スピーカーの再生音をマイクが拾うことで発生するエコーを除去する「適応型エコーキャンセラー」、エアコンなど定常的に発生するノイズを消して声だけを伝える「ノイズリダクション」、部屋の特性に起因する残響成分を抑圧する「残響抑圧」など、6つの技術を組み合わせた。

 このほか、スマートフォンやタブレットとのBluetooth接続で通話することも可能。NFCにも対応しているので、NFC対応のスマートデバイスとは、複雑な設定なしでBluetooth接続を簡単に行える。

6つの音声処理技術を組み合わせて高音質化を実現
紙をめくる音やキーボードの打鍵音などを取り除き、人間の声を高い精度で判定する技術「HVAD」

 また、オーディオ入出力用のRSA端子も備えているので、大型スピーカーなどと接続することで、セミナールームなど、広い場所での利用にも対応するとした。マイクについても、最大5台までの増設をサポートするほか、外部マイクの接続も可能。ヤマハでは、Web会議やテレビ会議といったシステムが、単に会議で利用されるだけでなく、セミナー配信や遠隔授業など、さまざまなコミュニケーション活動へ利用シーンが広がっていくことを想定しており、簡単設定や拡張性、高音質などのメリットを打ち出して、さまざまな場面・用途に訴求していく考えだ。

 なお代表取締役社長の中田卓也氏は、成長の鍵になる製品分野として、電子鍵盤楽器、業務用音響機器と並び、「YVC-1000」が含まれるICT分野に期待しているとのことで、「当社が、もともと強みを持っているサウンド、そこに通信技術を加え、ヤマハという会社が持てる力を十分につぎ込んで、新しいコミュニケーションの有様を提案したい。それが次の成長の柱になる」と述べた。

代表取締役社長の中田卓也氏

石井 一志