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ICT活用は園児の創造力発達に効果あり――スマートエデュケーション検証

 ICT(iPad)の活用で園児の創造力が向上される――株式会社スマートエデュケーションが10日、5歳児に対して行った効果検証の結果を発表した

 同社は、園児向けのICTを活用した教育カリキュラム「こどもモードKitS」を開発。その成果確認のため、2014年度に教育系NPO法人とともに、幼稚園・保育園の計2園において検証を行った。その結果、創造力の向上に効果が認められたとしている。

 検証では「創造力」「チームワーク力」「ICT活用力」の3つの力が、カリキュラムを通じてどのように変化するかを確認し、カリキュラム運用過程での記録分析を行った。

 「創造力」については、課題に対するアイデア数についてカリキュラム前後の平均値を求め、t検定を実施。さらにお絵かきアプリ上での作品について、前後のルーブリック評価を行った。

ルーブリック評価

 課題は、先生が「困っている人(風邪を引いた等)」の絵を提示し、「助けてくれる人や方法(お医者さんに診てもらう等)」を提示。組み合わせを理解したようであれば、2人1組の園児に話し合いながら「困っている人」と「助けてくれる人や方法」のアイデアを思いつく限り出してもらう。その後、各自にiPadを渡し、各人がアイデアの中からお気に入りのものを1つ選び、「Gaccoらくがキッズ」で描画するというもの。

 「創造力」の検証結果、課題に対するアイデア数は、A園では増加し、B園では変化がなかった。お絵かきアプリの作品は2園とも各項目(表現・技巧・調査)が統計的に向上した。

事前検証と事後検証での園児の変化(お絵描きアプリ上での作品例)

 「チームワーク力」については、園児同士が力を合わせて課題解決策を出すための話し合いの過程の変化を確認したところ、2園とも対話連鎖に統計的に有意な差は見られなかったが、日誌の記述からは普段の話し合いに向かう姿勢や園児同士のの関係性が築かれている様子が確認できた。

 「ICT活用力」については、操作ミスや操作に関する質問回数の変化やアプリ機能の使用数の変化を確認したところ、両園とも質問・相談が減少した。さらにB園では操作失敗回数に減少は見られないものの、「失敗に動じなくなった」という。

 「絵を描く」ということにも同様の効果が見られ、「何をどう描こうかな」と躊躇していた園児が思いきって描けるようになり、「失敗してもいいんだ」という思いで取り組めるようになった。また「アイデアが浮かばないとき、ほかの園児の絵を参考にして似た構図になることが多かったが、「自分の想いを絵にしよう、オリジナルのモノを描こう」という創造力が育ったように感じられたとしている。

 スマートエデュケーションは、今回の検証を通じて、「ICTの適切な活用も園児の発達支援につながる」ことを明らかにしたい考え。また「3つの生きる力」を適切に育めるように、カリキュラムの質を向上させていくという。

川島 弘之