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より少ないセンサー数で土砂災害の危険度を算出、NECが新技術
(2015/4/13 13:38)
NECは13日、土中水分量を解析することで土砂斜面の崩壊の危険度をリアルタイム・高精度に算出できる新技術を開発したと発表した。
従来、土砂斜面崩壊の危険度を算出するには、指標となる「土砂の重量」「水圧」「土砂の粘着力」「土砂の摩擦」など、降雨量により変化する土砂状態のデータを取得する必要があった。これらのデータをリアルタイムに得るには、指標ごとに専用のセンサーを土中に設置する必要があり、コスト面などの課題があったという。
新技術は、複数の指標データを「土砂に含まれる水分量」のみから算出できるのが特長で、世界初という。水分量を計測するだけで、リアルタイム・高精度に斜面の危険度を把握。従来よりも約1/3のセンサー数で斜面の「危険度」を算出し、従来と同じコストでより広範囲にセンサーを設置できるようになった。
実証実験では、斜面の「危険度」を算出した結果、土砂災害の危険性ありと判定した10分~40分後に実際に斜面崩壊が発生することを確認したという。
現在、土砂災害防止法で指定された「土砂災害危険箇所」エリアは、日本全国で約52万箇所におよぶというが、そのすべてに対して地質調査や対策工事を行うのは、コストがかかりすぎることから困難な状況。
自治体の判断情報としては、都道府県と気象庁が共同で発表する「土砂災害警戒情報」がある。一部の自治体ではこの情報に加え、斜面に設置した監視カメラ・ワイヤセンサー・傾斜センサーなどの情報も収集しながら、実際に避難すべき地域の特定を行っている。ただ、土砂災害は前兆を把握してから実際の崩壊が起こるまで、わずかな時間となることもあり、より早い段階から土砂の状態を把握する方法として、土中に専用のセンサーを複数埋め込むことで、土砂斜面の危険度を算出する技術が開発されている。
新技術は、水分計センサーを用いて計測した、土中水分量データのみを用いて斜面の危険度をリアルタイム・高精度に把握できるもので、より少ないセンサーで危険度を算出できるため、住民の避難時間や安全をより確保し、迅速な避難勧告や指示を実現するという。