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NECが農業経営クラウド、「採算性」の観点で「生産計画」可能に

 NECは6日、農業経営支援クラウドサービスを提供開始した。農作物の栽培工程ごとのコスト、圃場状況、取引先ごとの出荷計画などをきめ細かく管理できる。価格は月額2万5000円(税別)/5IDからで、2017年度末までに300社・団体への提供をめざす。

 日本国内の野菜需要のうち、加工・業務用野菜の割合は全体の6割を占め、今後も増加傾向で推移することが見込まれる(農畜産業振興機構調べ)。一方で、加工・業務用需要に対応する輸入品も増加しており、国産品シェア上昇のため、産地・生産量拡大に向けた新技術・機械化一貫体系の導入や、輸送コストの削減が求められているという。

 新サービスでは、農業生産法人の関東地区昔がえりの会(埼玉県児玉郡)の農業経営ノウハウを基に、農業経営支援システムをクラウドサービスとして提供する。

 栽培マニュアルや圃場カルテ(面積や土壌特性など)を基にした品目ごとの栽培方法・コスト、および取引先ごとの農作物出荷パターンを標準モデル化し、出荷期間ごとの栽培品種と圃場を割り当てて登録する。これにより、年間の採算性シミュレーションを実現し、経営の視点から栽培計画の立案が可能になるという。

 また、圃場ごとの栽培実績(種まき、肥料・水やり、収穫など)や出荷状況を記録することで、作業進ちょくや改善点、採算性の把握を実現。出荷後には圃場ごとの栽培計画と実績を比較して、全圃場の経営評価・分析が可能となる。

 「取引先ごとの農産物生産を採算性の観点から計画でき、会員農家全体の収益率を向上できる」のが特長だ。

システム画面(栽培工程ごとの経費を確認する様子)

 NECは、フード・アグリビジネスのコンサルティングと事業開発プロデュースを手がけるTAKASAKIと共同で同サービスの啓発・普及活動を実施し、次世代農家の農業経営を支援するとしている。

川島 弘之