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米Dell、次世代型統合アーキテクチャ「Dell PowerEdge FX」

データセンターなどを対象により高い管理性を提供

米Dellのマイケル・デル会長

 米Dellは、11月5日(現地時間)から米オースティンで開催されているDell World 2014において、次世代型コンバージドアーキテクチャとして、「Dell PowerEdge FX」を発表した。

 米Dellのマイケル・デル会長は、「VRTXはミドルサイズのコンバージドシステムとして高い評価を得ており、企業の支店やリモートオフィスなどにも導入されている。それに対して、Dell PowerEdge FXは、データセンターなどを対象にした新たなコンバージドシステムとなり、より高い管理性を提供できるようになる」とした。

 Dell PowerEdge FXは、ストレージとネットワークを、2Uの筐体に統合。共通モジュラープラットフォームとして提供している点が特徴。これにより、10Uに最大40台の2ソケットサーバーを収容できる超高密度化が可能になるほか、ビジネスニーズに合わせたインフラの管理、スケーリング、予算策定を円滑に行うことができるという。

次世代型コンバージドアーキテクチャ、Dell PowerEdge FX

 米Dell サーバー担当バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーのアシュリー・ゴラファーワラ氏は、「PowerEdge FXアーキテクチャは、6つのモジュールを搭載し、FX2シャーシに収まるように設計された2Uエンクロージャで提供するPowerEdgeサーバーと、ネットワークIOAスレッドを備えており、スケールアップ、スケールダウンに柔軟に対応。統合管理機能により、キャパシティの構成、管理、追加を手軽に行え、さまざまなワークロードに対応できる。既存のアプリケーション資産との橋渡しを可能にするのが特徴であり、過去のIT投資を無駄にしない」と特徴を説明。

 また、「ラックサーバーやブレードサーバー、ネットワークやストレージを個別に選択することなく、データセンターの構築が可能になる。ラックあたりの性能はシスコシステムズのUCSよりも130%高く、信頼性をHP SL2500よりも50%高い。そしてネットワークケーブルの数はHP ProLiantに比べて8分の1になった」とした。

 PowerEdge FX2には、データセンター管理を簡素化するための高度なシステム管理機能も組み込まれており、「運用上の複雑性を解消できる」とした。

 PowerEdge FXアーキテクチャを構成するFC630、FM120x4、FC430による初期スレッドは、2014年12月に発売。FD332、FN IOA、FC830によるスレッドは2015年上半期に発売予定。

PowerEdge FXを持つ米Dell サーバー担当バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーのアシュリー・ゴラファーワラ氏

【お詫びと訂正】

  • 初出時、アシュリー・ゴラファーワラ氏をアラン・アトキンソン氏と誤って記載しておりました。お詫びして訂正いたします。

「Future-Ready IT Solution」の一角に位置づけ

 米Dellでは、Dell PowerEdge FXアーキテクチャを、未来をデザインするITソリューションとして発表した「Future-Ready IT Solution」の一角に位置づけられるものだとする。

 Future-Ready IT Solutionでは、Dell PowerEdge FXアーキテクチャのほか、コンバージドアプライアンス「Dell XCシリーズ」や、中小規模の導入に適したストレージ製品である「Dell Storage PS4210 シリーズ」、業界最安クラスとなる2万5000ドルからの価格設定を行った「Dell Storage SC4020 エントリーレベル・フラッシュソリューション」(以下、Dell SC4020)も含まれる。

 Dell CCO兼エンタープライズソリューションズプレジデントのマリウス・ハース氏は、「Dellは顧客を第一に考え、既存のIT環境を無駄にすることなく、データセンターの変革や将来的な継続使用を実現できるITソリューションを提供してきた。新たなソリューションは、ソフトウェアディファインド型データセンターの構築を支援。データセンターの変革やコスト削減、ビジネス競争力の確保を実現するためのコンバージドインフラアーキテクチャー、ストレージソリューション、特定のワークロードに対応するアプライアンスで構成されることになる」とした。

米DellのCCO兼エンタープライズソリューションズプレジデントのマリウス・ハース氏

 Dell Storage SCシリーズのDell SC4020は、オールフラッシュによるSAN構成を、2万5000ドルからの普及価格で販売する製品で、オールフラッシュ環境の普及を担うものと位置づけている。2015年初めに発売する。

 また、Dell Storage PS4210 シリーズは、パフォーマンスを最大で6倍向上させたほか、Dell EqualLogic PS シリーズアレイとの完全な互換性と相互運用性を保つ形に設計。中小規模の仮想データセンターおよびリモートオフィスに最適なストレージアレイとしている。米国では11月4日から発売するが、日本での発売は未定。

2万5000ドルからの価格設定を行った「Dell Storage SC4020 エントリーレベル・フラッシュソリューション」
中小規模向けストレージ製品「Dell Storage PS4210シリーズ」

 コンバージドアプライアンスのDell XCシリーズは、演算、ストレージ、ハイパーバイザーを、ひとつのオファリングとして提供するもの。Nutanixソフトウェアで稼働し、仮想環境におけるエンタープライズクラスのストレージ機能を提供する。Dell XCシリーズは、VMware ESXiとMicrosoft Windows Hyper-Vをサポートした製品は11月11日から発売。Red Hat KVMハイパーバイザーおよびGPUのオプションは2015年上半期に発売する予定だ。
 そのほか、Dellは、ブロケードおよびIntelと連携した新たなオープンネットワークソリューションを発表。今後、エンタープライズクラスのサービス展開を加速させるために、NFV(Network Functions Virtualization)ベースのソリューションを提供するという

 DellのNFVプラットフォームは、サーバー向けのIntel Open Network Platformと、Data Plane Developers Kitで稼働する。既存のカスタマエッジ機能およびプロバイダーエッジ機能を仮想化することで、通信サービスプロバイダーがサービスを提供のためのコスト構造を改善することができるという。

DellのNFVプラットフォームの概要
Dell World 2014の展示会場ではNFVゾーンが設置された

 今回の発表は、これまでの「ソリューションプロバイダー」への進化から、新たに提示した「総合的テクノロジー・ソリューション・ベンダー」への進化を掲げたDellにとって、技術面からの訴求、ソリューションによる提案をさらに加速するという点でも象徴的なものだといえよう。

 さらに、業界最低クラスとなる2万5000ドルからの価格設定を行ったDell SC4020も、同社独自のサプライチェーンを生かした提案のひとつといえ、これらをパートナーチャネルを生かして展開することで、この分野でのリーダー的存在を目指す姿勢を明確にする狙いが伺える。

大河原 克行