大河原克行のキーマンウォッチ

「Integrated IT Company」の意味を郡信一郎社長に聞く

「技術」を語り始めたデルが目指す新たなフェーズとは?

2014年は土台作り

――2014年に本格化した取り組みとしては、先ほど触れたパートナービジネスがあります。この進ちょくについてはどう自己評価していますか。

 パートナービジネスを本格的に始動させたのは、夏以降のことですから、これも評価を下すにはまだ早いといえます。しかし、日本法人におけるパートナービジネスの陣容は倍以上の勢いで増やしています。

 また、パートナーとの連携においては、案件登録の仕組みをスタートさせています。どのパートナーが、その案件に先行的に取り組んでいるのか、ということを登録してもらうものですが、ここへの登録件数が昨年に比べて何倍にも増加しています。市場全体が2割減、3割減となっているなかで見れば、デルのパートナービジネスの進ちょくは、合格点の領域に達しているといえるのではないでしょうか。

 2014年は、来年、再来年に飛躍的にパートナービジネスを伸ばせるような基礎づくりが基本戦略です。直販ルートと、パートナールートにおけるデルのシェアを比較すると、パートナールートの販売シェアはまだまだ低いですから、もっと力を注いでいかなくてはならないと考えています。

 デルとのパートナーシップに高い信頼を寄せていただいているパートナーがいる一方で、まだまだ不安を持っているパートナーがいるのも事実です。競合他社は何十年という期間にわたって、パートナーシップを組んでいるわけですから、そこに割って入るには、デルがやらなくてはならないことは極めて多い。デルならではの回答、提案を用意していかなくてはならないですね。

 また、デルと、デルソフトウェアのパートナープログラムの一本化も来年以降の課題だといえます。デルソフトウェア製品を扱っていただいているパートナーに、デルのハードウェアを扱っていただくこともできるようになりますし、Wyse製品を扱っていただいているパートナーが、これまではサーバー製品についてはデル以外で提案していたものを、デル製品で提案してもらえるようになる、といった動きも出始めています。

 パートナービジネスについて、今年築き上げたものを土台に、来年以降、さまざまなビジネスチャンスが生まれると考えています。

――2015年2月から、Dellの2016年度がスタートしますね。どんなことに取り組みますか。

 Dellと安心してパートナーシップを組んでいただくための取り組みは、会計年度の切り分けにかかわらず、永続的に取り組んでいかなくてはならないものですから、期が変わったからなにかを変えるというのではなく、最大限の努力を伴いながら、普遍的にやっていくことになります。

 詳しい事業方針については、来年に入ってから発表することになりますが、今年以上に、変革に挑む組織でありたいと思っています。

大河原 克行