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デル、SDNを実現するファブリックソリューションやSAN/LAN統合スイッチなどを発表
(2013/6/11 14:48)
デル株式会社は11日、SDN(Software Defined Networking)を実現するファブリックソリューション「Dell Active Fabric」と、その管理ツールである「Dell Active Fabric Manager」を発表した。またデータセンター向けのSAN/LANスイッチ「Dell Networking S5000」も発表している。
データセンター内のトラフィックは、従来の南北方向(North-South、垂直型)、つまりアップリンクを介して外部ネットワークへ向かっていくものから、サーバー間やサーバーとストレージの間といった東西方向(East-West、水平型)へと比重が移りつつあるため、ネットワークベンダーもこうした傾向への対応を迫られている。
今回デルが発表したDell Active Fabricもその流れの中で提供されるもので、既存のネットワークスイッチである「Dell Networkingシリーズ(旧称:Dell Force10シリーズ)」を中心に構成されるネットワークソリューションである。
具体的には、「Dell Networking Sシリーズ」、ブレードサーバー向けのネットワークスイッチ「Dell Networking MXL 10/40GbE」、分散型コアスイッチ「Dell Networking Z9000」などのスイッチを利用して、フラットなレイヤ2/レイヤ3のファブリックネットワークを組むことで、東西方向のトラフィックを柔軟にさばけるようにする。
その中心となるのが、多数のスイッチを仮想的に1つのスイッチとして管理できるようにする「VLT(Virtual Link Trunking)」技術。Active-Activeのマルチパス環境を実現可能なため、STP(スパニングツリー)やスタッキングの課題を解決し、ループフリーなトポロジを実現するだけでなく、複数のパスを有効に使ってロードシェアリングできることから、パフォーマンスの向上も実現している。
また、スイッチ向けOSの最新版であるFTOS(Force10 OS) 9.1では、OpenFlowをサポート。Big Switchなどサードパーティ製コントローラにも対応するので、ネットワーク構成の柔軟性が増すという。なお現在はまだ、FTOS 9.1に対応するのは「S4810」「Z9000」に限られているが、今後も随時対応機種を拡充していく予定。
米Dell Dell Networking プロダクトマーケティング・ディレクターのジョナサン・セクラー氏は、「Dell Active Fabricは、小規模から始められて超大規模まで拡張できる、あらゆる規模のお客さまに対応可能なソリューション。東西方向のトラフィックに対応するとともに、仮想化やSDNにも最適化された新しいネットワークソリューションだ」と述べた。
一方のDell Networking S5000は、トップオブラック(ToR)向けに提供されるボックス型スイッチ製品。4つ搭載する拡張スロットに、4×40Gigabit Ethernet(GbE)、12×10GbE、12×FC/Ethernetコンボ、のいずれかのモジュールを搭載可能。40GbEのモジュールでは、ブレイクアウトケーブルによって1つの40GbEポートを4つの10GbEポートとして分割利用することもできるため、ボックス全体では最大64ポート(16ポート×4スロット)の10GbEスイッチとして利用することもできる。
また、全ポートでワイヤレートの性能を提供するほか、FC以外にiSCSIやFCoE(Fibre Channel over Ethernet)にも対応しているので、IP SANのスイッチとして利用することも可能だ。
なお、S5000もVTLには対応しており、Dell Active Fabricの構成要素の1つに位置付けられているが、搭載するOSがFTOS 9.0のため、現時点ではOpenFlowには対応しておらず、年内をめどにサポートする予定とのこと。
デル ESGエンタープライズ・プロダクト・セールスグループ ネットワークセールス部長の草薙伸氏は、「従来はEthernetとFCは別々のトラフィックとして管理されてきたが、S5000によって1台のスイッチでさばけるようになり、ラックの中をすっきりさせられる。最初は、40GbEへの移行を見据えたToRスイッチとして使うのが一般的だろうが、VLTによるレイヤ2のファブリックを構成できるので、仮想化を見据えた大きなレイヤ2ドメインを作るのにも適している」と、その特徴を説明した。