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デル、プライベートクラウド「DCD」を2014年1月までに国内で提供へ

郡社長が事業戦略を説明、「クラウドやセキュリティなど3つの柱を展開」

 デル株式会社は6日、同社の2014年度(2013年2月~2014年1月)の事業戦略について発表し、そのなかで、今年度中にプライベートクラウドの国内提供を開始することを明らかにした。

プライベートクラウド「DCD」やセキュアなクラウドサービスなどを提供

デルの郡信一郎社長

 デルの郡信一郎社長は、2014年度の注力分野として、「クラウド」、「セキュリティ」、「製品・サービス」の3つを挙げ、クラウドにおいては、「お客さまのIT環境をクラウドに移行」をテーマに、すでに米国で開始しているプライベートクラウドサービス「Dell Cloud Dedicated(DCD)」を日本で展開すると語った。

 「拡張性、柔軟性を実現する上で、クラウドは鍵になる。プライベートクラウドだけで完結するのではなく、オンプレミスとのハイブリッドモデルの提案を進めていく。DCDは米国で高い評価を受けているプライベートホステッドクラウドであり、全世界をカバーするという点でもデルの強みを発揮できる」などとした。

2014年度の注力分野
クラウド分野での取り組み

 また、情報セキュリティサービスのDell SecureWorksによるセキュアなクラウド環境の提供のほか、Quest Softwareの買収によって展開しているDell Softwareグループでは、レガシー環境からオープン環境への各種移行ツールを用意。「最適なハードウェアとマイグレーションツール、導入サービスにより、エンドトゥエンドのクラウドソリューションを提供できる」とした。

 一方、セキュリティでは、「お客さまの複雑なセキュリティ対策をシンプルに」をテーマに掲げ、Dell SecureWorksやDell SonicWALL、さらにはDell Wyseによるシンクライアント製品といった、セキュリティの要件を網羅するサービスから製品までをラインアップ。「包括的なセキュリティサービスおよびソリューションによるビジネスの拡大を目指す」としたほか、ITセキュリティのエキスパートを中核にした上流コンサルティングサービス構築支援、セキュリティ監視、情報解析サービスを提供する。

 郡社長は、「企業がいかなるポリシーを持つべきか、セキュリティ概念のところからお手伝いをする体制を構築する」と述べた。さらに、多様なシステム規模に対応したセキュリティソリューションをシンプルな環境で展開。「ITセキュリティ対策における、日本でのトッププレーヤーを目指す」と意気込んだ。

 製品・サービスでは、「お客さまに最適なIT環境をエンドトゥエンドで提供」を掲げ、Fluid Data Architectureによる自動最適化の提案に加え、2012年12月に発表したActive Infrastructureによる、サーバー、ストレージ、ネットワークの一括管理ソリューションを、今年度中に国内投入することを明らかにした。

 加えて、Latitude 10やWyseといったビジネス環境で求められるセキュリティ要件を備えたデバイスの提供、サービスを含めたワンストップでのソリューション提供を行う姿勢を示した。

セキュリティ分野での取り組み
製品・サービス分野での取り組み

日本法人20周年のキャンペーンも引き続き積極展開

 郡社長は、「2014年度は『逆襲』がキーワード。これまで守りに入りすぎていた反省がある。もっと積極的にチャレンジしていく姿勢を、デル日本法人全体に浸透させたい」と語る。

 今年はデル日本法人が営業を開始してから20周年の節目にあたる。20周年にあわせたキャンペーンを積極展開する一方で、ソリューションプロバイダに向けた体制強化にも取り組む考えだ。

 まず日本法人の20周年に関連して郡社長は、「20年前の日本での営業開始時には、当時のPCの価格の3分の2という低価格で参入して話題を呼んだ。当時から一番大事にしてきたのは、お客さまとダイレクトな関係を結ぶという点。デスクトップPCから始まったデルは、2007年前後まではオーガニックで成長を遂げてきたが、その後は、20以上の企業を買収することによって企業規模を拡大してきた。サーバー、ワークステーション、ストレージなどを加え、ソリューションを提供する企業となり、エンド・トゥ・エンドで製品、サービスを提供する会社となっている。20年間、最優先で追求してきたのは、お客さまの満足度。20年間支えていただいたパートナー、お客さまの支援に心より感謝を申し上げたい」とした。

 その上で、直近の同社2013年度(2012年2月~2013年1月)の取り組みについても振り返り、「エンド・トゥ・エンドでITソリューションをお届けするために、2013年度は、融合を加速させることができた年だった」と位置づける。

 「融合を加速するという点では、昨年度は前年度比約2倍となる年間140件のニュースリリースを配信し、16回の会見を行った。加速度的に変化しているデルの姿を伝えてきた」と語ったほか、アジア太平洋地域において、x86サーバーで首位となったこと、イコールロジックが日本国内においてiSCSIストレージとして16四半期連続で首位となっていること、PC用モニターでは23四半期連続でトップシェアであることなどを示しながら、「デルの製品、サービスに対して、社外からも高い評価を得ている」などとした。

日本における20周年の歩み

 さらに、石川県金沢市の北陸先端科学技術大学院大学がプライベートクラウド環境に、世界最大規模となる論理総容量3PB(ペタバイト)のDell Compellentを導入。ブレードスイッチのDell Force 10 MXL10/40GbEや、Dell SecureWorksの提供開始、SMB向けセキュアリモートアクセスアプライアンスのDell SonicWALL Secure Remote Access for SMBの提供開始、Citrix HDX専用ゼロクライアントのDell Wyse Xenith Proの国内発売、リモートシステム管理製品のDell KACE K1000によるクライアントPCの一括管理案件などの成果があったとした。

 「日本から世界ナンバーワンのソリューションを、いくつ出すことができるかという点にこだわっていきたい」(郡社長)。

2013年度の主なできごと

米Dellの非公開化は長期的に良い影響をもたらす?

 なお、米Dellの非公開化については、「現時点では、日本法人に対して、なんら影響があるわけではない。しかし、非公開化によって、四半期ごとの業績という短期的な視点だけでなく、1~2年後の結果を見据えるといった中長期的な視点での取り組みに注力できるようになる。ソリューションプロバイダとして、エンド・トゥ・エンドのソリューションを提供するというビジョンに向かって、買収戦略を含めて積極化できるだろう。われわれが正しいと思う方向に進むことができ、それはお客さまにとってもプラスになる」などとした。

(大河原 克行)