ニュース

デル、iSCSIで17四半期連続の国内首位獲得~ストレージ事業で自動階層化機能の強化などに取り組む

Ocarina由来の重複排除機能を持つバックアップ製品も発表

米Dell バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー ストレージ担当のアラン・アトキンソン氏

 デル株式会社は20日、東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で、「Dell Storage Forum Tokyo」を開催したのにあわせ、同社のストレージ事業戦略などについて発表した。

 米Dell バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー ストレージ担当のアラン・アトキンソン氏は、「デルのストレージ事業は順調に成長しており、EqualLogicの顧客数は2008年以来12倍に成長、サポートにおける顧客満足度は96.77%。iSCSIストレージでは売上高でシェア第1位となり、日本では17四半期連続でのナンバーワンを維持している。また、Compellentの売上高は最初の1年で2.5倍、EqualLogicは2008年以降、約20分に1台が販売されている。デルはストレージに多大な投資を行っており、これまでにストレージのIP獲得に20億ドル以上を投資している」といった実績を強調。

 その上で、「他社との違いはレガシー製品を持たない点であり、高い経済性を発揮できる点にある。また、顧客の声を年間20億回聞いているという点も大きな特徴である」などと、自社の強みについてアピールした。

 また、デルのストレージ戦略のコアメッセージとして発信されているFluid Data Architectureについて、「適切なデータを適切なストレージに適正コストで保管し、効率的なストレージ運用を実現するFluid Data Architectureは、すべてのストレージ製品にまたがるコンセプト」と説明。

 先の展望について、「今後はサーバーとストレージの一体化が進展していく中で、デルは、階層化機能を強化することで、アレイを越えた、高度で、細かな自動階層化を進めていきたい。新たにPCIe NANDフラッシュとCompellentとの連携も視野に入れている。また、ホスト仮想化ストレージにより、仮想化したアレイをボックスの中で動かすといった取り組みも推進していく」などと語った。

 また、「2013年は、ストレージ事業において、イノベーションを加速すること、さらには、サーバー、ストレージ、ネットワークを一体的に運営できるトータルソリューションを提供し、Software as a Storageといった考え方も推進していく」と、今年の方向性を示している。

デザインによる差別化を図る
ストレージは、デルのエンドトゥエンド戦略の核なのだという

国内ではパートナー販売比率を高める

デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューション統括本部長の町田栄作氏

 日本におけるストレージ事業については、デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューション統括本部長の町田栄作氏が説明。

 「EqualLogicの国内ビジネスは、この4年間で47%増の年平均成長を遂げている。また、ユーザー会を発足させ、日本のユーザーの声を、開発、設計に反映していることもデルのストレージ事業の成長に貢献している。仮想デスクトップなどの市場を牽引しているほか、ディザスタリカバリ、バックアップといった領域でも新たな製品を追加した。またデルでは、サーバー、ストレージ、ネットワークを一体化したActive Infrastructureを提唱しており、これにより、コンバージドインフラストラクチャをさらに推進していくことになる。お客さまのもとですぐに使える環境を提案していく」と語った。

 さらに、「デルが、ストレージをエンドトゥエンドで提供しているという認知を国内で高めるとともに、デルのストレージに対する満足度を高めたい」とする一方、「現在40%となっているストレージ事業におけるパートナー販売比率を、50%にまで高めたい」と、日本における今後のストレージ事業の方向性を示している。

国内における2012年の成果
2013年は認知度の向上やパートナー販売比率の拡大などを目標とする

Ocarina由来の重複排除機能を持つバックアップアプライアンス

 またデルは、戦略発表に合わせ、バックアップアプライアンスの新製品「Dell DR4100」も発表している。

 Dell DR4100は、x86サーバー「PowerEdge」の第12世代サーバーを基盤にしており、Dellが買収した米Ocarina Networksのデータ削減アルゴリズムによる重複排除機能、圧縮技術を備える点が特徴。これらによって、バックアップに必要なストレージ容量を、最大15分の1にまで削減できる。

 また、拡張シェルフを最大2台追加でき、最大81TB(論理容量は最大1.2PB)まで拡張可能なほか、異なる場所にあるノードを中央の単一ノードにレプリケートするn対1の複製機能(最大32まで)を強化したことで、災害復旧ソリューションの実現にも効果を発揮するという。

 ラインアップには、論理容量41TB、81TB、135TB、270TB、405TBの5モデルを用意。最小構成価格は161万円となっている。

Dell DR4100
Dell DR4100の概要

 また、「今週一部の限定した顧客に対して出荷した」(アトキンソン氏)という、Compellent Storage Center 6.3についても言及。「デスクトップ仮想化の最適化、ワークロードにおけるIOPSの向上などを図り、Exchangeの活用において45%のパフォーマンス改善、87%のレイテンシの削減を実現している」などとした。

 さらに、EqualLogic FW 6.0については、「仮想化に最適化することにフォーカスしたものであり、Array Software v6では、同期レプリケーションやIPsecと自己暗号化ドライブによるセキュリティの確保を実現している。日本語化にも対応しており、日本のユーザーにも高い評価を得られる製品になるだろう」と述べた。

Compellent Storage Center 6.3の概要
EqualLogic FW 6.0の概要

世界最大規模のCompellent事例も紹介

北陸先端科学技術大学院大学 情報社会基盤研究センターの宇多仁助教

 一方、Dell Compellentを世界最大規模で導入している石川県金沢市の北陸先端科学技術大学院大学の事例を紹介。北陸先端科学技術大学院大学 情報社会基盤研究センターの宇多仁助教は、「自動階層化機能と柔軟な管理の実現という観点でCompellentに注目した。デルが単なる販売だけでなく、トータルでサポートしてくれるところも評価した」という。

 同大学では、情報環境システム「FRONTInformation EnviRonment」に、論理総容量3PBのDell Compellentを採用。重要な研究資料を全学で集中管理する大容量ストレージのさらなる高速化、大容量化、バックアップに取り組んだという。

 なお、Dell Storage Forumは、同社が全世界で開催している同社ストレージ製品に関するプライベートイベントで、日本では初めての開催となる。

Dell Storage Forumの様子

(大河原 克行)