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CTC、顧客満足度向上とリピート率向上を実現するロジスティクスソリューション

~カナダのデカルト社のITサービスを採用

CTC 情報通信システム通信グループ サービス営業部 部長補佐 長谷川 真一氏

 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下CTC)は、昨年6月に提携を発表したカナダのデカルト社のITサービスを採用したロジスティクスソリューションの提供についての説明会を開催した。

 CTC 情報通信システム通信グループ サービス営業部 部長補佐 長谷川 真一氏は、昨年提携したカナダのデカルト社のソリューションについて紹介。物流情報専用ネットワークでリアルタイムに輸送品や輸送業者、手段、スケジュール、料金といった情報の共有ができる世界最大の物流ビジネス基盤「Global Logistics Network」を中心に、多言語化対応の様々なアプリケーションから構成され、荷主と物流企業の約3万5000の拠点で活用されていると述べた。

 また、近年リテールの世界では020(Online to Offline)が話題になっているとして、店舗の前を通るだけでクーポンが自動的に取得できるドコモのiコンシェルや、現在地周辺でクーポンが使える店舗が閲覧できるLINEクーポンといったサービスへの関心が高まっているが、「LINEやスマホだけがO2Oを支援できるというわけではない」と指摘。デカルト社と提携してCTCが提供するロジスティックスソリューションは、リアルとオンラインを支えるソリューションだと述べた。

顧客とのコミットが重要

 消費者が商品を買う方法は、ECサイト、実店舗、テレビショッピングなどの通販の3つに大別されるが、消費者側には、「安く買いたい」「見て買いたい」「早くほしい」といった要求があると説明。ECから家具を買うような場合、家にいないと受け取れないので商品出荷可能日を連絡し、顧客が受け取れる日を調整するというのが現状の流れだが、いつ届くのか買うときにわかる、何日にお届けしますというコミットをユーザーは非常に重視していると述べた。

 一方、販売側としては、経営的に「利益確保のためにはこれ以上の値引き合戦は困難」だが「他社への流出は食い止めたい」といった要求があるとした。ECサービスにおいては、クーポンやポイントサービスは導入済みで、配送料無料も条件付きで実施ずみ、となると他社と差別化するサービスへのニーズがあるという。

 長谷川氏は、こうした中で、消費者と販売店のデマンドを物流で支えていこうというのがCTCが提供するロジスティクスソリューションのコンセプトだとした。

 長谷川氏は目指すべき姿として、顧客満足度の向上とリピート率向上の両立を上げた。リアル店舗からオンライン店舗へ、オンライン店舗からオンライン店舗へ、オンライン店舗からリアル店舗へといった顧客の動線を作る。同時に顧客の安く、早く、といったニーズに応え、また当日届くといったプレミアムサービスにはお金を払っていただくという差別化サービスに物流情報を利用し、顧客満足度向上とリピート率向上を実現するというのがCTCの提供するソリューションだと述べた。

消費者の関心
販売側の関心ごと
目指すべき姿とCTCの提案
顧客向けサービスの具体的なイメージ

 現状では、たとえば家具などは顧客が受け取り時に在宅している必要があるため、店舗で注文を受けた後、コールセンターから配達可能日を連絡すると同時に、受け取り可能な日を聞き、そこではじめて配達日が決まるといった流れで、配達日時の調整のために人的コストがかかっている。

 また、大手ショッピングポータルでも、現状ではオンラインショップに注文すると、後でショップから発送の連絡や配達日の連絡、宅配便の荷物番号などの連絡が来るが、顧客が荷物の配送状況を確認しに行くのはヤマト運輸や佐川急便のサイトとなっている。

 これに対して、CTCが提案するソリューションでは、ECサイトで、注文時に配達の日時を選択することが可能になる。長谷川氏はメリットとして、「コールセンターで配達日を調整する必要がなくなり、また配達状況を確認するのもECサイトを再訪することになり、確実にリピート率が高まる。家具であれば、たとえば椅子を買って、配送状況を確認しに再訪した際に、買い忘れたワックスを買うといった購入も期待できる」とした。

 また、家具や家電など大きなものでは、とりあえず倉庫から荷出しをしてしまい、客への配送日が決まるまで作業上で寝かせておくといった処理フローとなっている場合が少なくないが、そのために何フロア分もの倉庫のスペースが余分に必要となっており、コストがかさむ結果になると説明した。

 ユーザー側からは、あちこちにアクセスしなくても、買ったECサイトへアクセスすれば、何をいつ注文したか、配送状況まですべてわかるためユーザーの利便性も上がる。

 また長谷川氏は、「世界的に見て、日本人はプレミアサービスにお金を出す傾向があると言われている」と説明。CTCのソリューションでは、今日欲しい、明日までに欲しいといった場合はそのプレミアサービスに対してその分の送料を顧客に負担してもらうといったことが可能だとした。購入時にお届け時間選択ウィンドウが表示され、翌日午前中なら800円、昼なら500円、夕方は300円、夜は500円、3日後以後は無料といった一覧から選択できる。

 長谷川氏は、「ECサイトで最速当日に届くお急ぎ便というものがあるが、必ずしもすべての顧客が、すべての商品をいますぐ届けてほしいというわけではないと考えている」と説明。物流と連携した「根拠あるお届け時間」を提示し、このお時間にお届けしますとコミットすることが何よりも重要だ」と述べた。

ソリューション導入後のECサイトのサービスイメージ

導入事例

 長谷川氏は、デカルト社のソリューションを導入した事例として、イギリスの老舗百貨店John Lewisでの採用事例を紹介。導入により、2時間枠・4時間枠および半日枠の配送時間枠指定と、2日以内に配達する有料オプションを実現し、配送サービスの選択肢が広がったとした。

 また、年間150万件ある配送において、効率的な配送ルートが自動的に組まれるようになったため、1回の配送につき移動距離を1マイル削減できたこと、ECサイト、店舗などすべての小売チャネルにおける宅配をひとつのシステムで管理可能になったなどの導入効果があったと述べた。

 日本では野菜の宅配大手「らでぃっしゅぼーや」が先行ユーザーとして導入。らでぃっしゅぼーやの会員数は10万7千以上で、年500万回の宅配を行なっている。

 導入前は、宅配と同時に受注も受けるセールスドライバーが1日65~70カ所を訪問するため、会員が増えるとじっくり顧客対応をする時間がなく、サービスが低下する問題があったという。導入前のワークフローでは、お届けの一覧表を持って配送に回り、配送先で注文を受け、帰社した後は業務日報、運転日報を書く。スマートフォン導入なども検討したものの、この上スマートフォンを持たせるのは負担が大きくて無理だという話になったという。

 導入後は、訪問計画は自動で生成され、スマートフォンに配信される。宅配ロッカーの何番に入れたといったことがボタンを押すだけで報告終了する。紙によるやり取りがなくなったため、帰社後の業務が激減したという。残業代が減ったことだけでもかなりのコスト削減効果があったという。

 また長谷川氏、導入前は仕事量が多いため、離職率も高い、新人が入ると1カ月は指導する社員が一緒について回る必要があったが、導入後は先輩社員の指導は最初の数日のみで良くなり、それだけでも1割くらい、人件費が削減できる計算になると述べた。

 CTCでは今後、まずは流通の効率化でメリットが出やすい家具や家電のチェーン店などを中心に販売を行なっていく方針だという。

John Lewisでの導入事例
John Lewisにおける導入の効果
らでぃっしゅぼーや採用事例(導入前)
らでぃっしゅぼーや採用事例(導入後)

(工藤 ひろえ)