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EMCジャパン、エンタープライズ向け機能を強化した「Isilonシリーズ」向け新OS
山野社長が2013年の全社事業戦略も説明
(2013/1/31 15:11)
EMCジャパン株式会社は31日、スケールアウトNAS「EMC Isilonシリーズ」において、OS「OneFS」の新版「OneFS 7.0」と、4TB HDDを搭載した新筐体を提供すると発表した。セキュリティやデータ保護、VMwareとの相互運用強化が強化されており、これによって、「(特定分野向けの)スケールアウトNASだったIsilonが、スケールアウトかつエンタープライズ用のNASへ生まれ変わる」(代表取締役社長の山野修氏)という。
Isilonシリーズは、複数の筐体を連携させ、パフォーマンスやスケーラビリティを容易に拡張できるようにしたスケールアウトNAS。導入・拡張に当たって複雑な作業は発生せず、筐体を足すだけで容量と性能をリニアに拡張できる点が特徴という。また、PB(ペタバイト)単位の単一ファイルシステムを構成できるので、大規模データ環境にも対応可能だ。
今回提供するOneFS 7.0では、管理権限の細分化に対応し、ロールベースでの権限管理が可能になったほか、一度書き込むと消去や変更ができなくなるWORM(Write Once Read Many)機能において、SEC17a-4準拠の改ざん防止をサポート。さらに、スナップショットからのリストア時間の短縮、双方向レプリケーション時の運用簡素化、マルチテナントへの対応や、VMwareのVAAI(vStorage APIs for Array Integration)、VASA(vStorage APIs for Storage Awareness)への対応なども行われた。
一方で新筐体として、4TB SATA HDDを搭載する「Isilon X400」「Isilon NL400」をラインアップ。シングルファイルシステムで管理可能な容量を20PBへ拡大している。
アイシロン事業本部 事業本部長の田所隆幸氏は、こうした機能強化を行った理由として、「エンタープライズ企業での一般的なNASとして、企業内ビッグデータの保存・管理を行えるようにするため」と説明する。従来のIsilonシリーズは、スケールアウトNASならではの特徴が生かせる、HPC、研究・開発部門、エンターテインメント企業といった特定分野での利用が先行していた。しかし今回の機能強化により、エンタープライズでの利用に求められる要件を満たしたため、エンタープライズIT環境でのNASとしても訴求を強めていくとのこと。
田所事業本部長は具体的に、大規模統合ファイルサーバー、データの長期保管、ビッグデータ分析、仮想化インフラといった用途を挙げ、エンタープライズレベルの信頼性やセキュリティを持つスケールアウトNASとして訴求していくと説明する。
「従来のエンタープライズ向けNAS製品を『NAS 1.0』、分散ファイルシステムを採用したスケールアウトNASを『NAS 2.0』とするならば、OneFS 7.0を搭載したIsilonシリーズは、両方の特徴を合わせ持った『NAS 3.0』といえる」(田所事業本部長)。
なお、企業への導入を促進するため、中堅企業向けストレージ「VNX」のプリセールスとアイシロンのプリセールスを統合したほか、これまでは別だったプロフェッショナルサービスやサポートの部隊もEMCジャパンの本体に統合。さらにリストプライスの見直しや販売店向けプログラム「Velocity ソリューション・プロバイダ・プログラム」適用など、数多くの施策を行って、Isilonシリーズの拡販を図るとした。
新筐体の参考価格は、Isilon X400が1445万7200円、Isilon NL400が1136万2200円。OneFS 7.0については、サポート契約済みの既存ユーザーは無償で利用できる。
モバイルを中心とした“第3のプラットフォーム”に注力
この発表にあわせてEMCジャパンでは、2013年の事業方針の説明も行った。
山野社長は、「メインフレームをはじめとする『第1のプラットフォーム』、クライアント/サーバーシステムを中心とした『第2のプラットフォーム』に変わって、『第3のプラットフォーム』が急激に台頭してきている」という点を指摘。EMCジャパンでも、これに合わせた展開を行うとする。
ここでいう「第3のプラットフォーム」とは、クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルメディアの4つを大きな柱としたものだが、山野社長が引用したIDCの調査によれば、2016年までのCAGRは、「第2のプラットフォーム」がマイナス2.1%なのに対し、「第3のプラットフォーム」は7.9%と高い伸びを示していくとのこと。特にその中でもモバイル関連が57%と大きなウエイトがあるそうで、EMCジャパンでも、モバイル関連のプラットフォームに力を入れていくと述べた。
特に山野社長は、「TRUST」(=信頼)を大切な要素として挙げる。これは、セキュリティだけでなくバックアップ、保全といった分野も含めたものだそうで、これを踏まえて「当社では、第3のプラットフォームのためのハードウェア、ソフト、サービスなどを提供し、この分野の“プラットフォームプロバイダ”を目指す」と話している。
このほか、昨今話題のSoftware Defined Data Center(SDDC)についても取り組んでいく意向で、「近々Software Defined Storageを実現するための製品も提供する」ことを予告。さまざまなストレージが混在する環境において、多様なストレージのレイヤを抽象化し、ソフトウェアから一元管理できるようにすることで、管理者の負担を軽減したいとのビジョンを語った。