富士通研、複数枚のA3資料をA4スキャナで一度にPDF化する技術を開発
株式会社富士通研究所(以下、富士通研)は13日、複数枚のA3紙資料をA4サイズのスキャナで一度にPDF化する画像復元技術を開発したと発表した。
昨今、ペーパーレス化社会の浸透とともに紙で配布された資料をPDF化し、電子的に保存することが多くなっている。事務机に小型文書スキャナを常設して利用するケースも多々あるが、一般的にはA4サイズのスキャナが多く使われており、A3紙の資料は簡単に電子化することができない。従来の方法では、A3紙を半分におり、自動紙送り機能を使わずに1枚ずつ丁寧に両面スキャンしなければならず、特に複数枚スキャンする場合は多大な手間となっていたという。
A4サイズのスキャナでA3紙をスキャンする方法 |
また、複数枚のA3紙を半分に切断し、自動紙送り機能を利用して一括スキャンできれば、作業の負担が解消されるのだが、その場合は、1)複数枚を一括スキャンするため、各A3紙の左部分画像と右部分画像が順不同で混在し、A3画像を復元するための画像の組み合わせが不明となる、2)スキャナが紙を引き込む際に紙の滑りが生じたり、搬送速度にわずかな誤差が生じるなどして、左右の画像を結合したときに結合境界で文字や図形のずれが発生する――といった問題が生じてしまう。
今回開発したのはこうした問題を解決するための画像復元技術だ。まず、A3紙の左右の部分画像が混在したスキャン画像から、元のA3紙を構成するための画像の組み合わせを自動で推定する。次に左右の画像を結合するとき、結合境界部での罫線・文字・図形が自然につながるように、スキャン画像に発生している局所的な伸縮を補正する。
画像の組を自動推定 |
画像の局所的な伸縮を補正 |
これにより、A4サイズの小型スキャナでも複数枚のA3紙を自動紙送り機能を使って簡単にスキャンできるようになる。
富士通研では今後、処理速度の高速化を進め、A4サイズスキャナへの搭載を目指す。また、A3紙のスキャンだけでなく、さらに大きな用紙に対し、多分割した紙片を元のサイズに復元する技術へと発展させる考え。