米Oracle、日本国内にデータセンターを開設へ~パートナーとの協業で

数年内には自前のデータセンター開設も視野に


日本およびシンガポールにデータセンターを設置
米Oracle 製品開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのトーマス・クリアン氏

 米Oracleは、日本国内にデータセンターを開設することを明らかにした。

 米サンフランシスコで開催されているOracle Open World San Francisco 2012の基調講演で10月2日(米国時間)、米Oracle 製品開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのトーマス・クリアン氏が使用したプレゼンテーション資料のなかにおいて、「Coming Soon」の文字とともに、日本およびシンガポールにデータセンターが設置されることが公表された。

 クリアン氏は、講演のなかでは日本でのデータセンター設置についてはコメントはしなかった。

 Oracleのグローバルデータセンターは北米、欧州に集中しており、アジア太平洋地域では、オーストラリアのシドニーに設置されているだけだった。しかし今回の日本およびシンガポールへの開設によって、アジア太平洋地域におけるデータセンターの体制を強化することになる。

 日本オラクルの遠藤隆雄社長は、「日本へのデータセンターの開設は、日本オラクルから米国本社に強く要請したものであり、その背景には、国内におけるクラウドビジネスをさらに拡大するための地盤づくりという狙いがある。また、日本のお客さまからも国内にデータセンターを置いてほしいという強い要望があった。国内にデータを置きたいといった声や、日本時間で運用に対応してほしいといった声がでていた」と、この取り組みを説明する。

 海外のデータセンターを活用している場合、メンテナンスの時間が日本の昼間の時間帯になるという課題も出ていたというが、日本のデータセンター開設によってこうした問題が解決できる。

 なお、今回のデータセンター開設は、パートナー企業との協業によるもので、現在、調整を進めている模様だ。現時点では協業先の名前は明らかにしていない。遠藤社長はこれについて「相手との話し合い次第ではあるが、個人的には、なるべく早く開設したいと考えている」とコメントした。

 早ければ年内にも開設する可能性もありそうだ。


日本オラクルの遠藤隆雄社長

 その一方で、遠藤社長は、「将来的には自前でデータセンターを開設することも検討していく必要があるだろう」と語る。

 「自前のデータセンターについては、あくまでも検討を開始した段階」としながらも、「IaaSなどを本格的に展開するようになり、クラウド関連事業の売り上げ規模が、200~300億円規模になった際には自前のデータセンターを持つ必要が出てくるだろう。まずは日本におけるクラウドビジネスの成長が鍵になる。事業成長や市場環境の変化をとらえて、慎重に検討を進めていく」。

 現在、日本オラクルのクラウド関連事業の売上高は前年度実績で41億円。現在開催されているOracle Open World San Francisco 2012では、Oracle Cloudにおいて、SaaSのメニューを拡張し、新サービスの開始が発表されているほか、新たにIaaS事業にも進出することも発表した。さらに、クラウドサービスにおける新たなパートナーブログラムも開始することが発表されている。

 「日本ではパートナープログラムの導入についてはこれから検討していくことになる。また、IaaSの料金体系なども公表されていない段階であり、これも今後、日本での展開を検討していくことになる」とする一方で、「Oracle Open World San Francisco 2012では、クラウド・レディの製品、サービスが一気にそろい、クラウド事業を着実に成長させていく地盤が整っていた。まずは今後2年ほどで100億円の事業には成長させたい」と意欲をみせている。

 日本国内へのデータセンターの開設は、日本におけるクラウド事業拡大に大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

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