日商エレ、米Pica8のOpenFlow/Open vSwitch対応スイッチを販売~ソリューションとしての展開を重視


米Pica8のジェームズ・リアオCEO
Prontoシリーズのラインアップ

 日商エレクトロニクス株式会社は25日、米Pica8(ピカエイト)と販売代理店契約を締結したと発表した。これに伴い、Pica8のレイヤ2/3スイッチ「Prontoシリーズ」の販売を開始する。価格は32万3000円(税別)から。

 Prontoシリーズは、従来のレイヤ2/3スイッチとしても動作する一方で、OpenFlowにも対応している次世代型Ethernetスイッチ。また、物理スイッチとして初めてOpen vSwitch(OVS)を標準実装しているのも大きな特徴で、「OpenFlowスイッチとして、ホップバイホップ方式でのネットワーク構築にも対応するし、Nicira NVPなどと連携したオーバーレイ方式のネットワークインフラとしても利用できる」(日商エレ マーケティング本部 第二プロダクトマーケティング部の榎本瑞樹部長)という。

 Pica8のジェームズ・リアオCEOは、「ソフトウェアによってネットワークを制御するSDN(Software-Defined Network)が話題になっているが、SDNへの移行で機器をすべて入れ替えるのは現実的ではない。Pica8であれば機器を入れ替えずにSDNの機能を利用できる点がメリットだ」と述べ、その特徴を強調した。

 またProntoシリーズでは、オープンソースのネットワークOS「XORP(eXtensible Open Router Platform)」をプロトコルスタックとして用いたソフトウェア環境「PicOS(ピコス)」を採用。Broadcomの商用高集積チップセット「Trident+」との組み合わせにより、最大1.28Tbpsの転送速度を提供しながらも、価格面では他社の同等製品と比べて20~50%の低価格化を実現した。

 SDNによってスイッチがコモディティ化すれば、コストがより重要視されるのは言うまでもなく、Pica8はその点でも魅力的なソリューションになるとのこと。榎本部長は、「米国でも、高品質を追求して実績のあるブロケードなどのプロプライエタリ製品を追いかけるキャリアもいれば、一方でコスト競争になっているIaaSなどでは価格を追求する事業者があり、そこではオープンなOpenFlowに高い期待を持っているため、安価なPica8を好む場合がある。当社でも、お客さまのニーズにあわせてスイッチを提供していく」と述べた。

 ラインアップは、Gigabit Ethernet(GbE)×48、10GbE×4の「Pronto 3295」から、10GbE×48の「Pronto 3780」、10GbE×48、40GbE×4の「Pronto 3920」まで、3種類の冗長電源モデルと、GbE×48、10GbE×4を搭載する非冗長電源モデルの「Pronto 3290」を用意する。価格は順に、35万6000円(税別)から、121万2000円(税別)から、154万5000円(税別)から、32万3000円(税別)から。


日商エレ マーケティング本部 第二プロダクトマーケティング部の榎本瑞樹部長日商エレがProntoシリーズに注目した理由
Nissho-Blocksの構成要素の例

 こうした特徴を持つPica8のスイッチだが、今回日商エレが販売代理店契約を行ったのは、単なる製品の再販以上のビジネスを狙っているからだ。同社は先日、ベンダーにロックインされない高品質なベストブリードのソリューション提供を図るため、新ブランド「Nissho-Blocks」を立ち上げ、その中でクラウドプラットフォームの提供を視野に入れているが、その1つコンポーネントとしてProntoシリーズに期待しているとする。

 日商エレ マーケティング本部 第二プロダクトマーケティング部 第一グループの坂田義和氏は、「OpenFlowやOVSはあくまでもツールであって、それをいかに使いこなすのか、課題を克服するソリューションとして提供するのかが重要。サーバーにおいても仮想化の浸透でハードウェアの市場が縮小しインテグレーションへビジネスが動いたように、ネットワークでも同様になるだろう」との見方を示した上で、「Prontoシリーズは価格性能比が高いのが特徴だが、しかしソリューションとしてどういったものが提供できるのか、という方が重要だ」と述べ、さまざまなソリューションを扱い、ノウハウを蓄積してきた日商エレのインテグレーション力に自信を示した。

 例えば、従来は物理マシンとのオンデマンドな接続は難しかったが、OpenFlowを用いれば、物理スイッチ上の物理ポートに必要なVLAN IDを付与し、物理マシンをオンデマンドに接続できるようになる。またOVSを用いると、複数拠点に存在する仮想/物理マシンを顧客・部署ごとにセキュアに接続できるし、ハイパーバイザーのカーネル上や物理スイッチ上でレイヤ2-4の通信を行うため、高性能な通信が行えるメリットもある。

 このようなことを実現する実装方法としてはさまざま考えられるが、特にオーバーレイネットワークを考える上では、Nicira NVPとのインテグレーションは非常に重要になるため、Niciraに早い時期から着目し、同社を買収したVMwareとも強い関係を持つ日商エレは、顧客に大きなメリットを提供できるとのこと。また、クラウド環境を考えた時には、Citrix CloudPlatform(旧:CloudStack)に代表されるクラウド管理ツールとの連携も大事な要素で、Citrixとも強いパイプを持つ日商エレは、この面でも強みを発揮できるという。

 なお、当初の販売対象としては、SDNの本格的な活用を視野に入れたキャリア、サービス事業者を主な対象とし、その後、順次エンタープライズ市場などにも展開する計画。Pica8のリアオCEOは、「ソフトウェアがネットワークで大きな比重を占めるようになる中で、当社もリーダーシップを発揮したい。日商エレはテクノロジーをいち早くキャッチし、次世代ネットワークへの意識が高い企業であるので、同社の展開に期待する」とコメントしている。

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