日本NCR、クラウド型RFID店舗システムを住金物産と構築

9月にユナイテッドアローズで試験導入開始


日本NCR株式会社 社長兼CEOの諸星俊男氏

 日本NCR株式会社は7月10日、住金物産株式会社とともにクラウド型RFID店舗オペレーションシステムを構築したと発表した。9月に国内大手アパレルの株式会社ユナイテッドアローズの展開する店舗で、9月より試験導入される。

 日本NCRの提供するクラウド型RFID店舗オペレーションシステムは、POSターミナルに接続されるRFIDのリーダーライター、入出荷用のハンディ端末、棚卸し用のアンテナ、クラウド上のRFID管理サービスで構成される。すでに構築されている基幹・業務系システムやPOSシステムとの連動時に、クラウドシステムを間に入れるような形で、大幅なシステム改修をすることなく導入が可能だという。

 RFIDタグによる商品管理を導入することで、店頭での会計の際や棚卸しなどで商品の値札をバーコード1点ずつ読み取るやり方から、RFID値札の一括読み取りで処理の効率化ができる。店員の負荷も軽減されるほか、欲しい商品がバックヤードにあるかどうかの確認なども迅速に行えることで店頭接客の品質も上がり、販売機会損失を防ぐ効果も見込まれる。

 ユナイテッドアローズでは、ユナイテッドアローズ グリーンレーベルリラクシングで9月より試験導入を開始。最初は数店で導入し、導入していない店舗と売上げを比較して効果を確認の上、順次全店に展開する予定だという。


「RFIDは単価1~2円まで落ちてくる」社長兼CEO 諸星氏

 日本NCR株式会社 社長兼CEOの諸星俊男氏は、「NCRではずっと前からRFIDに取り組んできているが、RFIDは最近まで1個100円くらいしたこともあり、当初から店舗の商品管理にと使うことは想定されていたが、価格がネックで普及しなかった。しかし、最近価格も下がってきて、このソリューションでは単価10円くらいのチップを使っている。ユナイテッドアローズさんの商品単価であれば、十分採算が取れるレベルと言える。100円だと、宝飾品などハイエンドの商品でないとコスト的にペイしなかった」とコメント。

 「チップなので量産効果が出やすく、近い将来、1~2円のレベルまでまで落ちてくると思う。在庫管理・棚卸しの時など、これまではバーコードをひとつずつ読んでいたが、RFIDだと、部屋にあるものの情報が一度に入ってくるのでものすごい工数削減になる」と述べた。

 距離的にも、今回のRFIDは15~16メートル程度の範囲まで届くため、狭いバックヤード程度であれば一度に読み取ることも可能だという。

RFID店舗・物流サービス既存のシステムを大きく改修することなく利用できるユナイテッドアローズの採用骨子

 日本NCR株式会社 営業統括本部 ソリューション営業部 コンサルタントの宮崎重信氏は、「一括で読めることが重要」だと強調。

 また、「バーコードと違って、同一デザイン同一カラーの商品を何十点か生産した場合も、それぞれの商品を個別に識別できる。まず倉庫から流通センターを通って店舗へ行き、他店へ回したような場合も、そのルートが把握でき、何度も店間移動を繰り返したことでコストが嵩んでいるといった情報も計算できるようになる」とひとつずつの商品について、流通過程をつぶさに把握できるメリットを語った。

 今回導入するユナイテッドアローズでは、すでに日本NCRのiPhoneで在庫照会ができるソリューションを導入しており、機会損失が減るなどの効果が計測できたという。RFID導入についても、「ユナイテッドアローズ様から実利的効果を期待されている」として、宮崎氏は売上げ向上につながるシステムにしたいと述べた。

 また、今回は店舗運営のシステムとなるが、今後ロジスティクスも含めシステムとしたいとした。業種についても、スーパーや家具など、いろいろな分野に展開していきたいと今後の展開を語った。


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