富士通研究所、厚さ5mmの超小型手のひら静脈認証センサーを開発~タブレット端末への内蔵も可能に


開発した光学系の特徴

 株式会社富士通研究所は、タブレット端末に内蔵可能な超小型手のひら静脈認証センサーを開発したと発表した。イメージセンサーなどの光学系部品を新たに設計し、従来と同等の認証性能を維持したままで、従来の1/2以下の厚さとなる、厚さ5mmの薄型化を実現したという。

 従来の手のひら静脈認証センサーでは、受光面積の大きな高性能イメージセンサーが必要となっており、小型化を進める上ではこれが課題になっていたため、A4サイズのノートPCへの内蔵が限界となっていた。また、小型・薄型化しても、従来の手のひら静脈センサーで撮影した画像と差が生じると、従来の認証データとの互換性が保てなくなるため、システム構築時に制約が生じるといった課題もあったという。

 しかし今回、富士通研究所では、小型・薄型化した場合でも従来と同等の画角を得る低歪広角レンズと、均一な照度分布を実現する拡散照明系を開発し、より受光面積の小さい小型イメージセンサーを採用した場合でも、従来と同等の認証性能を実現した。これによって、静脈認証センサー全体のサイズの小型・薄型化を実現したほか、このイメージセンサーから得られる撮影画像を、認証に利用可能な品質に補正する技術を開発することで、データの互換性の問題をクリアしたとのこと。

 これらの技術により、以前からの手のひら静脈センサーとの互換性を保持しつつ、同等の認証性能と小型・薄型化の両立を達成し、2011年5月に製品出荷した薄型手のひら静脈認証センサーに比べ、容積で80%減、5mmの厚さを実現している。

 これは、従来のノートPCやスレートPCで指紋センサーを設置していた部分に格納できるサイズであるため、薄型化が進むモバイル機器にも容易に組み込み可能。手のひら静脈認証の活用範囲の拡大が期待できるとした。

 同社では引き続きこのセンサーの実用化に向けた研究開発を進め、早期の実用化を目指すとしている。


試作した厚さ 5mmの超小型手のひら静脈認証センサー光学系
関連情報