富士通研、サーバーと空調システムを連携させたコンテナDC向け省電力システム制御技術


富士通研究所 ITシステム研究所 サーバテクノロジ研究部 部長 堀江健志氏

 株式会社富士通研究所は4月4日、コンテナデータセンターの総消費電力を削減する、サーバーと空調システムを連携させた省電力システム制御技術を開発したと発表した。2012年度内の実用化を目指す。

 データセンターでは省電力が最大の課題となっているが、これまでのコンテナデータセンターでは、サーバーと空調システムが独立して制御されているため、内蔵ファンを持たないサーバーを採用すると、(1)サーバーを過度に冷却して無駄な空調電力を消費する、(2)冷却不足で、CPUの加熱防止機能により性能低下やサーバー停止が起こる、といった問題があった。

 今回富士通研究所が開発したサーバーと空調システムとが連携して動作する省電力システム制御技術を用いることで、これまで利用できなかった内蔵ファンを持たないサーバーの採用が可能となる。富士通研究所では、今回開発した技術を搭載したコンテナデータセンターを試作。総消費電力の最大約40%を削減したという。

 新しく開発した技術は、サーバー情報を使ってコンテナ空調ファンを制御する技術で、(1)CPU温度とサーバーの消費電力情報を元にコンテナデータセンター全体の消費電力を最小にする、コンテナ空調ファンの制御技術、(2)サーバーのCPU温度と位置情報を元に、CPU性能が低下し始める動作温度を超えないようにコンテナ空調ファンを制御する技術の2つ。

CPU温度とサーバーの消費電力情報を元に、コンテナデータセンター全体の消費電力を最小にする制御技術サーバーのCPU温度と位置情報を元に、CPU性能が低下し始める動作温度を超えないようにコンテナ空調ファンを制御する

 

試作したコンテナデータセンター。向かって左側から吸気し、右から排気する。外気温が低い時は、通気口から戻り暖気を送ることでサーバーが安定動作する10℃以上に保つ富士通研究所内に設置したコンテナデータセンターでは、総消費電力を最大で約40%削減した

 富士通研究所では今回開発した制御技術を実装し、内蔵ファンを持たないサーバーを設置したコンテナデータセンターを試作。実証実験を行っており、総消費電力は最大で約40%を実現。従来のエアコン冷却と比べて、外気温度35℃の場合で41.3%、13℃の場合で36.8%の総消費電力が削減できたという。

 富士通では2012年度の製品化を目指し、さまざまな温湿度環境における実証実験を行う。また今後は、提供サービスから予測されるサーバーの負荷を先読みし、最適な制御を行う予測制御技術の開発に取り組み、さらなる省電力化を目指すとしている。

富士通研究所内に設置されたコンテナデータセンター。向かって左から吸気、右から排気する。中央の通路がコールドアイル、右がホットアイル左側面の吸気ガラリを開けた上部。大きなダンパがあるが、これが循環ダンパで戻り暖気を送り出す。左側には気化式ユニットがあり、循環ダンパの左右に1つずつ、小さな気化式用循環ダンパがある
コールドアイル。左側には吸気口からの空気を送るファンが並ぶ。右側にサーバーが設置されている。天井の上は通気口となっており、外気温が低い時に、戻り暖気を右から左に送り出すホットアイルの天井部分。電源関係の機器がびっしり設置されている

 

コンテナデータセンターの背面。手前から、太い配管が電源ケーブル、細い配管がイーサネットケーブル、向こう側の配管は気化式冷却機のための給水管正面左の扉は気化式冷却機部分の扉で、扉のプレフィルターを通して入った空気は、気化式エレメント部を通過して冷却される


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