日本オラクル、分析専用マシンExalyticsを発表~分析レポート表示性能を23倍に向上
日本オラクル株式会社は27日、分析専用に開発されたマシン「Oracle Exalytics In-Memory Machine」を、同日より提供開始すると発表した。
Oracle Exalytics In-Memory Machineは、同社がソフトウェアとハードウェアを最適化して融合し、短期間でのシステム導入や安定稼働を実現するための「エンジニアードシステム」として提供するもので、インメモリのビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアとハードウェアとで構成される。
日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏は、「これまでITは業務効率化を推進するための道具でしかなかったが、昨今では経営戦略を実現するための武器へと変革しつつある。Oracle Exalytics In-Memory Machineはまさにその象徴となる製品だ」と語る。「想定外を想定し、早めに対処するには、これまで数時間かかっていた分析作業が数分数秒で可能になるExalyticsのようなマシンが必要となる。他社より一歩先を行く企業になるには、想定外が起こる時こそチャンスだ。その時に対処する武器として、また変化に対応するだけでなく変化を作り出していく企業になるために、最も必要なマシンだ」(遠藤氏)。
Oracle Exalytics In-Memory Machine | 日本オラクル 代表執行役社長 最高経営責任者の遠藤隆雄氏 |
日本オラクル 専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括兼テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、Oracle Exalytics In-Memory Machineを「Exa-ファミリの三男坊」と呼ぶ。2009年1月に国内で提供を開始した「Oracle Exadata Database Machine」が長男で、次男は2010年9月の「Oracle OpenWorld」にて発表した「Oracle Exalogic Elastic Cloud」、そして今回発表のOracle Exalytics In-Memory Machineへと続くわけだ。
日本オラクル 専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括兼テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏 | 日本オラクルが提供するエンジニアードシステム。今回の新製品は「Exa-ファミリの三男坊」だという |
Oracle Exalytics In-Memory Machineのスペック |
Oracle Exalytics In-Memory Machineの構成 |
Oracle Exalytics In-Memory Machineには、オラクルのBIソフトウェア製品群「Oracle Business Intelligence Foundation Suite」の最新版がインストールされている。これには、BI製品の「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」と多次元データベース「Oracle Essbase」などが含まれる。
また、インメモリ分析用に設計され、オラクルのハードウェアに合わせて改良されたインメモリデータベース「Oracle TimesTen In-Memory Database for Exalytics」も搭載されている。ハードウェアとしては、「Sun Fire」サーバー、1TBのメモリ、「Intel XeonプロセッサE7-4800」が搭載されており、40Gbps InfiniBandおよび10Gigabit Ethernet接続に対応する。
さらに、Oracle Exalytics In-Memory Machineは、自律的なキャッシュ活用を実現する仕組み「ヒューリスティック・アダプティブ・インメモリ・キャッシュ」を搭載。このヒューリスティック・アダプティブ・インメモリ・キャッシュを実現する新機能のひとつとなる「サマリー・アドバイザ」は、分析レポートの利用履歴を把握し、使用頻度の高いデータをメモリに保持しておくよう運用管理者に提案する。
さらに、Oracle Exalytics In-Memory Machineでは、カラム圧縮機能により大量データをインメモリ内に保有でき、異なる複数の物理データソースに格納されているデータを、メモリ上に統合して処理を行える点も特徴。40Gbps InfiniBandとソフトウェアの拡張によりOracle Exadata Database Machineとの統合も可能で、データベースマシン機能の補完につながるという。
三澤氏は、BIのワークロードのボトルネックとして、「データベースが遅いこと、BIのダッシュボード表示が遅いこと、データベースサーバーとBIサーバーのネットワークが遅いこと」の3点を挙げる。
この3点に対し、「データベースの遅さについては、ほぼ無限大のディスクI/Oを持つExadataを導入すればよい。また、ネットワークの遅延は次世代クラウドデータセンターで標準となるであろうInfiniBandを使うことで解決できる。BIのダッシュボード表示は、一度に複数のグラフを表示させたり数十人の分析の専門家に表示させるだけであれば今のBIも対応可能だが、100人から1万人レベルに対応し、パフォーマンスを維持して高速にダッシュボード表示できるようなソリューションがこれまでなかった。それができるのがExalyticsだ」と三澤氏は説明する。
「BIの処理には、データベースの処理とBIそのものの処理との2つがある。ExalyticsはBI処理を行うためのもので、ダッシュボードのパフォーマンスをここまで向上できるマシンはExalyticsを置いてほかに存在しない」(三澤氏)。
分析レポート表示時間などを圧倒的に高速化 |
なお日本オラクル 執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 EPM/BI事業統括本部長の関屋剛氏によると、Oracle Exalytics In-Memory Machineを使った場合、使わない場合に比べて「分析レポート表示時間が23倍、キューブの動的計算処理時間が90倍、Oracle Hyperion Planningアプリケーションの性能が6倍向上した」という。
Oracle Exalytics In-Memory Machineの販売ターゲットは、大容量データを保有しているOracle Exadataの既存顧客や同製品を新規に検討している顧客、複数のBI製品群を利用中の顧客、今後情報分析を強化したい顧客などだという。関屋氏は、「Exadataの顧客には、Exalyticsでデータベースとダッシュボードの高速化が提供できる。また、複数のBIツールを持つ顧客は、ツールを統合し標準化したいというニーズがある。さらに、これまで分析には時間がかかると思ってあきらめていた顧客も、Exalyticsで実現できることは多い」と話す。
三澤氏も、「BIプロジェクトが頓挫してしまう理由で多いのは、処理速度が遅いこと。ちゃんとしたスピードで経営層や現場が使えるBIには大きなビジネスチャンスがある」とした。
Oracle Exalytics In-Memory Machineの価格は、ハードウェア部分が約1500万円、ソフトウェア部分のOracle Business Intelligence Foundation Suiteが100ユーザーからで約5000万円からとなる。関屋氏は、「6月から始まるオラクルの新会計年度において、BIビジネスの70%はExalyticsが占めることを目指す」としている。
Oracle Exalytics In-Memory MachineのGUI |