シャープ、カラー62枚/分のハイエンド複合機「MX-6540FN」

複合機に最適化されたクラウドサービスを4月から提供へ


 シャープ株式会社は、3月26日から、デジタルフルカラー複合機のフラッグシップモデルとなる「MX-6540FN」を発売する。同社は今年、1972年の複写機第1号機発売から40年目を迎えており、今回の製品は、40周年にあわせた製品展開の第1弾になるとしている。メーカー希望小売価格は、346万5000円。月産100台を目指す。

デジタルフルカラー複合機のフラッグシップモデルとなる「MX-6540FN」。写真はフルシステムの例

カラー62枚/分の高速出力に対応したハイエンド複合機

 今回発表されたデジタルカラー複合機の「MX-6540FN」は、大量印刷や中とじ製本・仕上げ処理など、オフィスにおける幅広い印刷ニーズに対応した高速デジタルフルカラー複合機。同社の従来の最上位機では、50枚/分のカラー印刷としていたが、今回の新製品では、カラーで62枚/分、モノクロで65枚/分の高速出力が可能となっている。

 同社のカラー複合機で採用している「MycrosトナーHG3」を採用するととも、1200×1200dpiの高画質出力により、写真の表現力を高めているのが特徴だ。A3用紙より一回り大きいトンボも表示できるSRA3サイズ(320×450mm)に対応したほか、商品パッケージなどの作成にも活用できる300g/m2の厚紙、光沢紙やエンボス紙といった特殊紙への印刷にも対応。また、ステープルや中とじ製本のほか、オプションを活用することで、二つ折り、内三つ折り、外三つ折り、四つ折り、Z折りの5種類の紙折りが可能。封書用文書も自動で作成できる。

 大量出力時の色目の変化を抑えるため、センサーでページごとに色合わせを行うプロセスコントロール技術を搭載。オプションのカール補正ユニットを使用することで出力用紙の反りを補正することも可能となっている。紙詰まりや多重送りを抑制するエアー給紙システムも採用している。

 操作パネルには、タッチパネル対応の10.1型カラー液晶を採用。電源、節電、ホーム画面の3つのハードキーと、分かりやすく構成されたタッチパネルにより、操作性を向上した。画面には、原稿の内容をそのまま表示可能であるほか、読み込んだ原稿は、ページをめくる感覚で確認できる。また、印刷内容の確認や、ページの入れ替え、削除などが容易に行えるため、印刷ミスを軽減できるとしている。

 本体の操作パネルから直接インターネットにアクセスし、大型カラー液晶に表示したWebページなどをそのまま出力することもできる。

リーマンショック以後、カタログやパンフレット類の企業内印刷需要が拡大リーフレットや、折ページの入ったチラシなどの生産性を高めるフラッグシップモデル5年後に印刷しても同じ発色が得られるなど、長期にわたって安定した性能で稼働することにこだわって開発したという

エンボス紙への印刷にも対応するほか、SRA3用紙にも対応するスキャン性能も大幅に向上したステープル、穴開け、5種類の紙折りにも対応

独自のエアー給紙方式を採用、紙送りローラーがなくなったことで、紙送りで経年による機能劣化が低減するTEC値は従来比56%低減を達成ハードディスクに保存するデータは自動的に暗号化して保存

 さらに、オプションで提供する大容量の2段給紙トレイによって、最大9350枚までの給紙が可能なほか、ウォームアップ時間の短縮やネットワーク待機時の消費電力の削減により、従来機に比べて消費電力量を約56%低減。使用履歴をもとに頻繁に使われない時間には電源のシャットアウトを自動的に行う「エコ学習機能」なども搭載し、環境性能を高めた。プラズマクラスターイオン発生装置もオプションで搭載できる。

 そのほか、片面を75枚/分の速度で読み取る高速カラースキャナ機能を搭載。ジョブデータやメモリーボックス内の画像データや、本体に記憶されているユーザー情報を消去できるセキュリティ機能を標準装備している。また、本体に搭載した認証機能に加え、ICカードによる認証も可能となっている。

 シャープ ドキュメントソリューション事業本部ドキュメントシステム事業部商品企画部・本田良孝部長は、「商品コンセプトを、高画質と安定性、高生産性、環境・セキュリティ性能、操作性の4点において開発した」と語った。

複合機に最適化されたクラウドサービスを4月より提供

シャープ 常務執行役員 ビジネスソリューション事業統轄兼ドキュメントソリューション事業本部長の中山藤一氏

 また、4月からは複合機に最適化したクラウドサービスとして、「3sweb Sharpdesk Online」を提供することも明らかにした。

 シャープ 常務執行役員 ビジネスソリューション事業統轄兼ドキュメントソリューション事業本部長の中山藤一氏は、「カラーの高速印刷や、クラウドサービスという領域は、当社が弱かった分野。高速化や新たなサービスをアドオンすることで、事業を拡大していきたい」と意欲をみせる。

 シャープが新たに展開するクラウドサービス「3sweb Sharpdesk Online」は、複合機ユーザーに最適化したサービスと位置づけられ、独立した事業ではなく、ハードウェアと一体化させて提案を行うサービスととらえているのが特徴。「入力、作成から、データ管理、出力環境までをトータルでサポートする他社にないサービス」としている。

 3sweb Sharpdesk Onlineは、「Data Cabinet Online」、「Print System Online」、「Accountant Professional Online」の3つで構成されている。

 Data Cabinet Onlineでは、複合機だけでなく、PCやタブレット端末、スマートフォン、シャープの大画面ディスプレイ「BIG PAD」といったさまざまな機器を通じて入力された電子データを一元的に管理でき、複数の機器でも簡単にファイルが共有可能なのが特徴。コンビニエンスストアであるサークルKサンクスの店頭で行っているネットワークプリントサービスにも対応しており、Data Cabinet Onlineによって、同店店頭に設置されているシャープ製複合機から、必要な文書をプリントアウトするといった使い方もできる。取引先に持参する書類を忘れたときにも、コンビニエンスストアの複合機を利用して、プリントした書類を入手できるというわけだ。

 2つ目のPrint System Onlineは、サーバー設置型の印刷運用システム「Sharp Print System」をクラウドサービスとして新たに提供するもの。社内にプリント用サーバーを設置することなく印刷を管理し、オフィス内のどの複合機からでも印刷可能とするほか、認証したプリンタからの印刷に限定したり、印刷したまま取り忘れをしないように運用したりするなど、情報漏えい防止も実現する。

 また3つ目のAccountant Professional Onlineも、サーバー設置型で提供してきたSharp Accountant Professionalの機能を、クラウドサービスとして新たに展開するもの。複合機や利用ユーザーごとの印刷結果を集計するほか、カラーコピーの禁止や外部への送信禁止、利用枚数制限といったユーザー利用制限などを行うことで、無駄なプリントを削減できるという。

 3sweb Sharpdesk Onlineのサービス開始日、提供価格は今後公表することになる。

シャープ 複写機40年の歩みシャープのドキュメント事業戦略
SharpDesk OnlineSharpDesk Mobile法人向けクラウドサービス拡張+SharpDesk Onlineは4月にサービス開始予定


スマートフォン向けのプリントサービスも

 また、同社では、iPhoneやiPad、Android搭載タブレットおよびスマートフォンと、シャープ製の複合機を無線LANで接続し、これらの機器に格納した電子データを複合機から直接プリントアウトすることができる「Sharpdesk Mobile」も提供する。同ソフトウェアを利用することで、複合機でスキャンした電子データも、これらの端末に取り込める。

 iPhoneやiPad向けは、すでにAppStoreを通じて提供を開始。Android端末向けアプリケーションは、3月に配布を開始する。

 「クラウドサービスは、複合機を活用した業務効率化において、重要なツールになる。オフィスのセンターマシンとしての役割を強化することになる」(中山常務執行役員)とした。

企業向けクラウドサービスの利用イメージ。PCから[ネットワークプリントへ送信]すると、クラウドに保存される複写機のメニュー。プリントを選択して、先ほど[ネットワークプリントへ送信]を選んだドキュメントを印刷できる
企業向けクラウドサービスでは、企業ID/ログイン名/パスワードを入力することで、クラウド上の自分のドキュメントにアクセスできるコンビニで出力もできる個人向けのアプリサービスは、サービス登録時に発行されるID(画面上部に表示されている)とパスワードでログインする
関連情報
(大河原 克行)
2012/3/2 17:21