Amazon Web Services、データベースサービス「Amazon DynamoDB」を東京リージョンで提供
Amazon DynamoDBの特徴 |
アマゾンデータサービスジャパン ソリューションアーキテクチャ本部 技術統括部長/エバンジェリストの玉川憲氏 |
Amazon Web Services(AWS)は1日、NoSQLデータベースサービス「Amazon DynamoDB」を東京リージョン(データセンター群)でも利用可能にしたと発表した。すでに米国東海岸リージョンでは1月より提供されており、日本からでも利用できたが、国内のデータセンターが対応したことで低遅延での利用が可能になる。
「DynamoDB」は、高いスケーラビリティと性能、柔軟性が特徴のデータベースサービス。RDBMSではない、いわゆるNoSQLデータベースであり、非常に大規模かつ高速処理が要求される環境にも対応できるという。スケーラビリティでは、データの保存容量に制限がなく、自動でいくらでも拡張できる点が特徴。バックエンドで十分なハードウェアに分散させて安定した高いパフォーマンスを出しているほか、ストレージにはSSDを利用し、データへの高速なアクセスを実現しているので、データベースが大規模であっても、常に数msのアクセス速度が期待できる。
また、AWSが管理するクラウドのマネージドサービスであるため、ユーザーはインフラの準備やインストール、パッチメンテナンスといった作業が不要なほか、ユーザー側で自由にパフォーマンス(秒間あたりのリード/ライトのスループット)を指定でき、その変更に関しても、稼働後に無停止で行うことができる。
これに関して、アマゾンデータサービスジャパン ソリューションアーキテクチャ本部 技術統括部長/エバンジェリストの玉川憲氏は、「従来の大規模なWebアプリケーション運用では、より高性能なハードウェアを購入する、あるいはデータベースサーバーを複数台に分割するといった手法が一般的だが、費用がかかる上に非常に複雑な作業が必要だし、専門家も不足している」という点を指摘。「DynamoDB」であれば、プロビジョニングから構成変更までをすべてAWSがバックエンドで行うため、容易に利用開始でき、運用コストも削減できるとした。
さらには可用性についても考慮されており、同一のリージョン内に複数のバックアップを持つことで、万一のサーバー障害・データセンター障害の場合でも、データが失われないように工夫されているとのこと。
管理不要なデータベースサービスである点がメリット | 高い拡張性を持つ |
この「DynamoDB」は、米国東海岸リージョンでは1月18日より開始されていたが、「日本のユーザーが利用できても200ms程度の遅延があった。東京リージョンではこれが数msで利用できるため、最高のパフォーマンスで利用できる」(玉川氏)ようになる。「DynamoDB」が提供されるリージョンは東京リージョンが2番目であり、これは国内からの高い要望を受けてとのこと。玉川氏によれば、米国で開始された新サービスが、提供後まもなく東京リージョンで利用開始になること自体が異例で、それだけ強い要望がある証左だとした。
利用料金は、データ保存容量に応じた料金と、設定したライト/リードスループットに応じた料金の2本立て。前者はGBあたり1.2ドル/月、後者は50リードスループットあたり0.012/時間、10ライトスループットあたり0.012/時間。AWSのほかのサービスと同様、無料使用枠も設けられており、保存容量100MBまで、ライトで秒間最大5回、リードで秒間最大10回までのスループットは無料で使用できる。
利用シーンとしては、データへの高速アクセスが必要な場合や、拡張の必要性がある場合に向いており、逆に複雑なクエリやトランザクションが必要な場合は、本来それが得意なRDBMSの方が向くとのこと。
ユーザーとしては、米Amazonのクラウドストレージサービス「Amazon Cloud Drive」、写真共有サイトのSmugMugなどがおり、日本でもクラスメソッドやマイニングブラウニーといった企業が利用している。
なおAWSではすでに、NoSQLデータベースのマネージドサービスとして「Amazon SimpleDB」を提供しているが、「SimpleDBでは1テーブルあたり10GBまで、スループットも秒間25回あたりまでといった制限がある代わりに、容量あたりのコストがDynamoDBの1/4程度。特性に応じた使い分けになるだろう」と、違いを説明している。