SAPジャパン、「SAP ERP 6.0」の新機能拡張パック

業種・業務別の新機能多数、スマートメーター向けの拡張も


機能拡張ハイライト

 SAPジャパン株式会社は、「SAP ERP 6.0」を機能拡張する最新の「SAP enhancement package 6 for SAP ERP 6.0」(以下、EhP6)を発表した。11月より提供する。

 EhP6は、「SAP ERP 6.0」に新機能を追加する機能拡張パック。「研究・開発」「サプライチェーン管理」「コモディティ管理」「調達」といった業務領域別の機能拡張や、「ユーティリティ」「小売」「公共」「消費財」「銀行」といった産業別の機能拡張、および人事・会計面で日本固有の機能拡張が多数施されている。

 例として、コモディティ商品管理の機能強化では、「SAP Commodity Risk Management」を提供することで、企業は自社のコモディティ価格と為替リスクを正確に特定・測定し、リスクの軽減が図られる。また、コモディティの購入にまつわるエンドツーエンドのプロセス管理機能「SAP Commodity Procurement」も用意され、プロセスを財務管理や財務諸表に統合できるという。さらに市場の相場に基づくコモディティ価格の定義を使用したコモディティ契約を獲得し、暫定価格が記載された請求書、価格差分用の請求書、最終請求書の発行を自動化する「SAP Commodity Sales」も提供される。

 サプライチェーン管理の機能拡張では、「SAP Response Management by ICON-SCM」を強化し、需要と供給の変動に数分単位で対応し、社内製造と外部委託との間で計画の調整を可能にした。これにより、リードタイムを抑え、サービス向上と在庫削減が可能という。

 調達の機能拡張では、「SAP Supplier Lifecycle Management」によってサプライヤの情報、サステナビリティの評価基準、業績データを単一ハブで管理し、SAPの各種バックエンドシステムやそのほかのシステムに配信できるようにした。これにより、情報の一貫性が保たれ、調達部門におけるサプライヤ・リレーションシップ・マネジメントや増収への貢献、企業目標に合わせた調達プログラムの策定といった業務を支援するという。

 銀行向けの機能拡張では、「SAP Leasing for Banking」によって、リース契約の管理と会計を自動化(SAP CRMとの連携)。業務をエンドツーエンドで合理化し、付加価値サービスの創出を支援する。

 また、スマートメーター向け機能も強化。「SAP Advanced Metering Infrastructure(AMI) for Utilities」を使用する公益事業会社について、スマートメーター用のデータ管理・運用機能を通じてエンドツーエンドのプロセスを自動化し、透明性を高め、エネルギーの使用に関してよりタイムリーな情報を提供できるよう、「需要平準化」「エネルギー効率改善」「負荷コントロール」「時間帯別料金」「金銭的インセンティブ」といった、エネルギーの小売業者と公益事業会社がエネルギーの定義と販売を行う上で必要とされるプロセスを明確化する新機能を搭載した。


SAP Business Suiteの標準保守期間を2020年に延長

バイスプレジデント ソリューション統括本部長の脇坂順雄氏

 EhPは、保守契約ユーザーには基本無償提供され、さまざまな機能を追加するものだが、全ユーザーがインストールするものではなく、新機能に必要性を感じたユーザーのみが適用すればよい設計となっている。製品そのもののメジャーバージョンアップを繰り返すのではユーザーのアップデート対応が負荷の高いものとなってしまうため、製品そのものの保守期間を長く取り、新機能が必要なユーザーだけが適用すればいいEhPを定期的に提供するという考え方だ。

 今回のEhP6についても、既存ユーザーへ新機能を説明した上で、適用の判断はユーザーにゆだねる方針だが、今回はさらに製品そのものの標準保守期間も5年延長された。SAP ERP 6.0では従来、コアアプリケーションのメインストリームメンテナンスを2015年まで保証していたが、「技術革新や業界トレンドの移り変わりを考慮しても、あと5年はSAP ERP 6.0でニーズをまかなえる」と判断し、2020年12月まで保証期間を延長するという。

 「より多くのイノベーションを」「混乱なく」「長期的見通しを持って」(バイスプレジデント ソリューション統括本部長の脇坂順雄氏)行われるSAP Business Suiteのイノベーション。今後のブレークスルーとしては、オンデバイス(Mobile)対応の強化、インメモリ(SAP HANA)との連携強化、クラウド・オンデマンドソリューションとの連携を図る方針だ。

頻繁なバージョンアップによる混乱を防ぐためのEhPという考え方SAP ERP 6.0の保証期間を2020年まで延長
関連情報