Coverity、解析速度を大幅向上したデベロップメントテスト・プラットフォームの最新版

HPアプリケーションライフサイクル管理との統合も実現


Coverity 日本支社 日本アジア担当副社長のリッチ・セルート氏

 米Coverity 日本支社は4日、デベロップメントテスト・プラットフォームの最新版「Coverity 5.5」を10月19日より出荷開始すると発表した。あわせて、同製品と「HP アプリケーションライフサイクル管理」(以下、HP ALM)を結合する「Coverity Connector For HP ALM」も同日より出荷開始し、「Coverity 5.5」と「HP ALM」の統合ソリューションを実現したと発表した。

 新製品の発表にあたり、Coverity 日本支社 日本アジア担当副社長のリッチ・セルート氏が同社の事業概況について説明した。「当社は、2007年12月に日本支社を設立して以来、順調に業績を伸ばしている。2010年度(9月期)の国内売り上げは前年比33%増、そして、2011年度は前年比43%増とさらに売り上げを拡大させることができた」と、国内事業が好調に推移しているという。「引き続き、既存顧客メーカーでの社内採用が増加しているほか、ゲーム、重工系、金融などの新規案件が増加している」と好調の要因を述べた。

 また、日本国外の状況については、「インド、中国のビジネスが拡大しており、特にソースコード外注業者からの依頼が増加している。これは、韓国や日本の大手メーカーが受託業者に当社ツールの利用を推奨していることが影響している」とのこと。今後の事業戦略としては、「航空宇宙、防衛、金融業界に注力して販売活動を進めていく」との考えを示した。

Coverity 日本支社 ビジネスデベロップメントマネージャーの安竹由起夫氏

 デベロップメントテスト・プラットフォームの最新版「Coverity 5.5」をリリースする市場背景について、Coverity 日本支社 ビジネスデベロップメントマネージャーの安竹由起夫氏は、「オープンソースなど第三者が介在したコードの混入やマーケットからの時間的な制約、ソフトウェア開発の複雑化・大規模化などにより、ソフトウェア品質リスクが増加している。これにともない、従来のテスト手法だけでは品質を確保しきれなくなっているのが実情」と指摘する。

 「そこで、当社では、新たなキーワードとして“デベロップメントテスト”を掲げ、開発サイクルの早い段階で、効率よくソフトウェアの問題を解決し、開発チームのパフォーマンスを向上する技術およびプロセスの確立を目指した。そのコアとなる技術が静的解析であり、作業効率の高い静的解析技術をより効果的に利用することで、早い段階での不具合検出、および品質のさらなる向上を実現できる。今回の『Coverity 5.5』は、静的解析をコア技術として、現場の開発環境にスムーズに組み込むことができることをポイントに開発した」(安竹氏)と、新製品の狙いを説明した。

 「Coverity 5.5」の新機能としては、まず、解析スピードを大幅に向上した。2000万行以上の大規模なコードにおいても、解析スピードを最大10倍向上でき、従来まで数時間かかっていた解析時間を数分に短縮することが可能となった。これにより、重大な不具合の早期検出、修正を実現する。テストカバレッジも拡張し、新登場または機能強化された20種以上のチェッカーにより、テスト結果の精度を高めている。


Eclipse上でのローカル解析Visual Studio上でのローカル解析

 次に、開発者のワークフローとさらに密接にする機能を拡充した。デスクトップ解析プラグインの強化により、EclipseまたはVisual Studio IDE内で直接、ソースコードの不具合を検出、検証、修正することが可能となった。また、Java解析強化のため「FindBugs」を統合。「FindBugs」の追加インストールや構成する必要がなく、開発者は「FindBugs」およびCoverity製品が検出した不具合の見直しと優先順位付け、さらには修正を単一のワークフロー内で実行できる。これに加えて、「Jenkins CI(継続インテグレーション)サーバー」も統合しており、アジャイル開発ワークフローの一環として、ビルドごとにソースコードを自動検証して不具合を検出できる。


「Jenkins CIサーバー」と統合企業レベルでのリスク管理を支援する「Coverity Integrity Control 2.0」

 さらに、企業レベルでの品質リスク管理に貢献する機能を提供。サードパーティ製の静的解析ツールをCoverityのワークフローに統合することで、開発チームとプロジェクト全体を支援することが可能。サードパーティのデータを「Coverity Integrity Control」にインポートし、ポリシーの集中管理を行うとともに、ソースコードの品質、セキュリティ、技術的負債、開発効率を測定する。また、「Coverity Integrity Control 2.0」にはFDAおよびDISA STIG標準用の事前設定済みポリシー・テンプレートが搭載されているため、ソフトウェアの検査および検証にかかる時間とコストを軽減できる。

「Coverity 5.5」と「HP ALM」の統合ソリューション

 今回、この「Coverity 5.5」のリリースに合わせて、同製品と「HP ALM」を結合する「Coverity Connector For HP ALM」を投入することも発表された。「Coverity 5.5」と「HP ALM」の統合ソリューションを活用することで、企業ユーザーは、「Coverity Static Analysis」および「FindBugs」が検出したソースコード品質の不具合を、変更管理およびビジネス要件へトレースし、既存のALMワークフローで直接確認することが可能となる。

 また、ソースコードの品質をアプリケーション品質全体の定義に統合、可視化することで、開発チームとQAチームによる新しいレベルのコラボレーションを実現。コード不具合に関する共通の品質指標や単一のワークフローを提供する。これにより、開発チーム、QAチームの作業効率を損なわずにソフトウェアの品質リスクを大幅に低減することができる。

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