大塚商会、FIAPを採用した国内初の電力「見せる化」システムを導入
社内の電力使用量をリアルタイムで確認可能に
執行役員 プロダクトプロモーション部長の後藤和彦氏 |
株式会社大塚商会は14日、同社が実践する節電への取り組みと、新たに社内に導入した電力「見せる化」システムについて説明会を実施した。
執行役員 プロダクトプロモーション部長の後藤和彦氏は、「当社は2000年に全社主要事業所でISO14001を取得し、それ以降、環境活動や省エネ活動に意欲的に取り組んでいる。2003年に完成した新本社ビルについても、ISO14001を取得するとともに、屋上緑化、証明制御、空調管理など、当時の最新技術を取り入れ、環境に配慮した省エネビルとなっている。そして、2010年には、東京都のトップレベル事業所に認定された」と、これまでの節電への取り組みを説明する。
同社では、2000年に14サイトでISO14001の認証を取得し、現在は全社25サイトまで認証取得が広がっている。具体的な環境活動としては、サイトごと、フロアごとにECOリーダー・担当者を置き、個別の環境活動を実施。認証を取得していないサイトにおいてもECO管理担当者とECO担当者を専任し、環境活動を推進しているという。
また、東日本大震災後は、本社ビルの節電対策を強化し、4階から12階事務室内の窓際照明の照度低下や廊下照明の日中消灯、1階コンセプトギャラリーおよび3階ソリューションギャラリーの日中消灯、4階から12階トイレの暖房便座、ジェットタオルの電源OFF、デスクトップPCからノートPCへの交換などを実施。「今年の夏は大手事業所に15%の節電が義務づけられたが、これらの節電対策により、当社目標の25%を大きく上回る電力削減を達成できた」(後藤氏)としている。
新たに導入した電力「見せる化」システムについて後藤氏は、「従来までのBEMS(ビル管理システム)に加え、今回、東大グリーンICTプロジェクトで3年間実証実験された『FIAP』プロトコルを採用した電力可視化システムを国内初で導入した。これにより、社員に向けた節電への啓発活動を強化し、さらなる電力削減を目指していく」と述べている。
ODSプロモーション部 課長代理の北堀利明氏 | 電力「見せる化」システムの構成図 |
電力「見せる化」システムの具体的な仕組みについては、ODSプロモーション部 課長代理の北堀利明氏が説明した。「従来のBEMSは電力データを紙で出力することしかできなかったが、新システムの導入にあたって、このデータをCSVに吐き出せるように。また、エネルギーモニターを使い、個別の機器や設備の電力データを取得。これらのデータをFIAPストレージに蓄積し、社内での活用を可能にした。さらに、公開用のFIAPサーバーから、FIAPストレージにアクセスできる仕組みを構築することで、オフィス内の電力使用量をリアルタイムで『見せる化』できるシステムを実現した」という。
2011年8月の電力使用量の推移 | 電力「見せる化」システムのデモンストレーションコーナー |
リアルタイムに「見せる化」できる項目は、前年同日比の電力使用量(ビル全体)、フロアごとの電力使用量、項目ごとの電力構成比(空調・照明・OA)など。「見せる化」する項目ごとに、棒グラフや円グラフ、折れ線グラフ、積み上げグラフを活用し、わかりやすく表示される。「例えば、今年8月の日次(にちじ)の電力使用量を棒グラフで表示して、電力使用量の推移を見てみると、最高気温が高い日に多くの電力が使用されていることがひと目で把握できる」(北堀氏)と、電力「見せる化」システムの活用例を紹介していた。さらに、「これらの電力データは、iPhoneやAndroidなどのスマートフォン、iPadなどのタブレット端末からもリアルタイムで確認することができる」(北堀氏)と、PCがないリモート環境でも電力の「見せる化」が可能であることを強調した。
なお、同社では、電力「見せる化」システムの導入にともない、照明機器の集中管理の様子などを顧客に体験してもらえるよう、実機環境を本社ビル3Fのデモンストレーションコーナーに設置。また、同社ホームページにも本社ビルの電力使用状況を公開するなど、同社の節電への取り組みを一般に広くアピールしていく考え。