ラリタン・ジャパン、データセンター管理製品のラインアップ拡充

KVM/リモートアクセス製品ベンダーからのシフト鮮明に


カントリーマネージャーのジェラルド・ポール・クラーク氏

 ラリタン・ジャパン株式会社は9月13日、同社が提供する最新のデータセンターインフラ管理ソリューションについて説明するプレスブリーフィングを開催し、KVM/リモートアクセス製品ベンダーからデータセンター管理製品ベンダーへとシフトしていく方針を鮮明に打ち出した。

 まず、カントリーマネージャーのジェラルド・ポール・クラーク氏が、ラリタンのビジネス概況と事業戦略について述べた。「ラリタンは1985年に設立し、大規模から中規模の企業をターゲットとして、データセンター関連機器にフォーカスしたビジネスを展開してきた。現在では、全世界で5万以上のデータセンターでラリタンの製品が採用されている」と述べ、全世界で数多くの導入実績があるとする。

 また、「KVMおよびリモートアクセス製品のパイオニアとして長い歴史をもつ当社だが、最近では『スマートラック』を提唱し、データセンター管理製品の事業に力を注いでいる。『スマートラック』とは、さまざまな管理機能をラックにもたせることで、複雑化したITインフラの監視、計測、アクセス、管理、制御などを容易にするというもの。当社では、これを実現するために幅広いデータセンターインフラ管理ソリューションを用意しており、今後ラインアップを拡充していく」と、データセンター管理製品の事業展開をさらに強化していく考えを示した。

「スマートラック」の管理項目と対応製品

 「スマートラック」を実現するために必要となるデータセンターの管理項目は、キャパシティ管理、変更管理、電力管理、環境管理、エネルギー管理、アセット管理の6つ。同社では、これら6つの管理項目をすべてカバーする製品ラインアップをそろえているという。

 「特に震災後は、計画停電や電力不足への対策として電力管理ソリューションのニーズが高まり、『節電支援プログラム』を利用して16社もの国内企業がラリタンの製品を導入した。これは、“計測なくして管理なし”という当社の理念が、国内企業にも深く理解されたことの証拠だ」と、国内での事業拡大にも意欲を見せていた。

 続いて、テクニカルセールス&サポート部マネージャーの柏倉啓一氏が、「スマートラック」を実現する6つの管理項目に対応したデータセンターインフラ管理ソリューションについて、各製品ラインアップの概要と最新アップデートを紹介した。

 中でも今回、注目したいのが日本では未発売の管理ソフトウェア「dcTrack」、アセット管理ソリューション「AMT(アセットマネジメントタグ)」、「AMS(アセットマネジメントストリップ)」、管理アプライアンス「EMX」の各ソリューションだ。


テクニカルセールス&サポート部マネージャーの柏倉啓一氏管理ソフトウェア「dcTrack」の概要

 管理ソフトウェア「dcTrack」について柏倉氏は、「『dcTrack』は、『スマートラック』の中核を担う管理ソフトウェアとなる。ラリタンのデータ収集製品からの情報をベースに、電力とデータの流れを中間地点も含めて徹底的にトラッキングし、消費電力、放熱、フロア、ラックの利用状況をリアルタイムで可視化する。これにより、アセット管理・キャパシティ管理・変更管理を容易に行うことが可能になる」と説明している。現在は英語版のみの対応だが、来年半ばをめどに日本語版をリリースする予定。

 アセット管理ソリューションの「AMT」は、IT機器に付けてアセットセンサーにプラグインするアセットタグ。一方、「AMS」は、あらゆるサイズのラックをサポートするモジュラー・センサー・バーとなっている。「AMT」と「AMS」を組み合わせることで、バーコード付きのアセットタグにより、どのラックのどの位置にIT機器が設置されているのかを特定することが可能になる。これらの情報は、ラックの構成変更や変更管理、容量管理などに活用できる。日本での発売は今年末から来年初を予定している。


アセット管理ソリューション「AMT」と「AMS」の概要管理アプライアンス「EMX」の概要

 「EMX」は、1Uサイズの管理アプライアンスで、複数センサーを監視するハブとして、温度、湿度、エアフロー、エアプレッシャー、スモーク、ドア開閉などのセンサーをモニタリングする。これにより、インテリジェントPDUの「Dominion PX」がない環境でも、管理センサーやAMSを「EMX」に接続することで、各種情報を収集することが可能となる。日本での発売は今年末から来年初を予定している。

 また、既存製品のアップデートとしては、高性能KVM-over-IPスイッチ「Dominion KX II」のバージョンが2.4となり、いくつかの新機能が追加された。「特に今回のバージョンアップでは、iPhoneまたはiPadからサーバーにリモートアクセスが可能になった。これによって、PCが手元にないような緊急時でも、24時間365日、スマートフォンからBIOSレベルのアクセスが可能になる」(柏倉氏)としている。さらに、リモートで音声の再生と録音ができる「リモートオーディオ機能」、複数のサーバーを容易に監視できる「オートスキャン機能」といった機能も新たに追加されている。

 プレスブリーフィングでは、このほかに、インテリジェントPDU「Dominion PX」、各種環境センサー、エネルギー管理ソフト「Power IQ」の機能や特徴を説明。最後に導入事例として、サイバーエージェント、ネットワンシステムズなどの事例が紹介された。

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