ファイルベース出荷容量が、2011年にはブロックベース出荷容量を超える~IDC Japan予測


国内ディスクストレージシステム市場 ファイルベース/ブロックベース別出荷容量実績と予測、2005年~2015年(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は7日、国内のファイルストレージ需要動向を発表しました。それによると、国内ディスクストレージシステム出荷容量における、ファイルベースの容量構成比は、2005年の34.2%から2010年には48.0%に上昇したという。また今後、2011年にはファイルベース出荷容量がブロックベース出荷容量を逆転し、2015年にはファイルベース出荷容量の構成比が76.6%に達する見込みとのこと。

 2010年の国内ディスクストレージシステム(外付け型と内蔵型の合計)の出荷容量は、前年比35.4%増の809.6PBと、依然として高い成長を遂げているが、そのうちファイルベースの出荷容量は、前年比55.4%増の389.0PBを占めている。こうしたファイルベース容量への需要増の理由として、IDC Japanでは、ファイルデータの多様化、データ個数の増大、ファイルサイズの大型化などを挙げるほか、ブロックデータに比べて、生成に携わる人数が多いこと、また、それぞれが生成しているデータ量が増加していることも大きな理由だという。

 なお同社では、2010年~2015年の国内ディスクストレージシステム出荷容量の年平均成長率(CAGR)を45.1%と予測しているが、同じ期間のファイルベース容量のCAGRは、これを大きく上回る59.3%と予測しており、ディスクストレージシステム出荷容量の伸びを、ファイルベース容量がけん引すると見ている。さらに今後は、仮想イメージやバックアップ/アーカイブデータなど、新たな利用用途で生成されたデータも、ファイルベース容量増加に大きく影響するのではないかとした。

 こうした状況を踏まえて、IDC Japan ストレージシステムズ マーケットアナリストの高松亜由智氏は、「国内企業にとっては、これまでのブロックストレージ中心の投資から、ファイルストレージにも重点を置いた投資をせざるを得ない状況になっていく」と指摘。その上で、「企業がファイルストレージに求める機能や性能も変化しており、1つの製品や技術がすべての企業の環境に適用するとは限らなくなる。ストレージベンダーにとっては、既存製品や既存のアプローチだけでは競争を勝ち抜いていくのが厳しい状況になりつつある」とコメントしている。

 またIDC Japanでは、今後はファイルストレージの機能として、容量削減機能(重複排除やデータ圧縮)、階層型管理、シンプロビジョニングなど、データの効率的管理を実現する技術/機能に対する需要が高まるとも予測している。

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(石井 一志)
2011/9/1 06:00