社団法人オープンソースライセンス研究所を設立
「オープンソースライセンス研究所」の所長を務める、静岡大学客員教授、株式会社パドラック代表取締役の杉本 等氏 |
オープンソースソフトウェアを利用する企業などが、一般社団法人「オープンソースライセンス研究所」(Open Source License Laboratory、略称OLL)を立ち上げると発表した。任意団体として立ち上げたのちに6 月を目処に社団法人化する。
オープンソースソフトウェア(以下OSS)は、OS、ミドルウェア、アプリケーションに至るまで広範囲に利用されており、システム開発において欠かせない存在になってきている。それと同時に、オープンソースライセンスも、GPL、AGPL、BSD など複雑化している。
そのため、OSSのライセンス条項に抵触するソフトウェアを気づかずに納品し、発注企業から開発のやり直しを要求されることにより大きな損害を受けるといったケースが発生しているという。こうした背景を受けて、オープンソースライセンス研究所では、複雑化したオープンソースライセンスの研究を行い、OSSの健全な利用を促進することにより、ソフトウェア産業のさらなる発展を目指している。
具体的な活動内容としては、OSS適性利用のための勉強会やセミナーの開催、相談窓口の設置、インターネット上での情報提供などを行う。ネット上の情報提供では、OSS裁判事例やライセンスに関わる最新情報の提供などを予定している。また、OSSマスターという認定制度の設置も予定する。
発表会では弁理士の資格も持つ大堀健太郎弁護士が、「アメリカではGPL違反がテーマになった訴訟も何件も起こっている。大企業同士の争いで、相手のOSSを精査してGPL違反を見つけると訴訟の材料として使うといったことが多い」とコメント。これからワールドワイドでビジネスを展開しようとする日本企業にとって、OSSの規約違反などのないよう知識と理解を深める必要があると述べた。
オープンソースライセンス研究所では正会員を募集している。正会員は、オープンソフトウェアライセンスの適正利用に興味がある企業を対象とする。会費は1口6万円で、資本金1億円未満の企業は1口以上、同1億円以上3億円未満は2口以上、3億円以上では3口以上となる。
オープンソースライセンス研究所立ち上げに至る背景と、従来の問題点 |