日本HPがDB移行支援サービスを提供、“Itanium打ち切り”のオラクルに対抗へ
DBベンダー5社と「改革推進アライアンス」も発足
日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は4月26日、データベースの「ロックリリース」(ベンダーロックインからの解放)戦略と、ユーザー企業のデータベースの移行を支援する新サービスを発表した。それに合わせて、データベース製品ベンダー5社とともに「データベース改革推進アライアンス」を発足させたことも発表した。
日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括本部 製品戦略室 室長 山中伸吾氏は、OracleがItanium CPU対応製品のライセンス係数を2倍に変更したことや、Itanium CPU対応ソフトウェア開発の中止を発表したことを挙げ、「本当に多くのユーザーが困った」として、ベンダーロックインからの解放の必要性を主張した。また、同社 執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 杉原博茂氏は、システムにおいてライセンス費用が増加しハードウェアの約11倍にもなっていることや、データベースを移行するにはアプリケーションの改修が必要になるためシステム移行の阻害要因になっていることを指摘した。
日本HP 執行役員 エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 杉原博茂氏 | 日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括本部 製品戦略室 室長 山中伸吾氏 |
新サービスは「HPデータベースライセンス ダイエットアセスメントサービス」「HP SQL標準化アセスメント」「HPデータベースポートフォリオアセスメント」「HPデータベースマイグレーションサービス」の4つで、4月26日提供開始。HPデータベースライセンス ダイエットアセスメントサービスとHP SQL標準化アセスメントは、同社サーバー購入時に無償提供となる。HPデータベースポートフォリオアセスメントとHPデータベースマイグレーションサービスは個別見積り。
既存データベースのサポート期間を利用し、2~5年かけて徐々に移行していくことを想定する。HPデータベースライセンス ダイエットアセスメントサービスは、既存データベースを使い続ける選択の場合に、ライセンスのダウングレードや仮想化によるコストダウンを提案する。また、HP SQL標準化アセスメントは、データベース問い合わせ言語であるSQLを標準規格に合わせるための支援サービス。利用中のアプリケーションがデータベース固有の「方言」に依存している割合を算出し、標準規格であるANSI SQL(SQL92規格を想定)準拠への書きかえ工数を洗い出す。SQLをすべて標準規格に合わせるのは現実的ではないが、「Oracleは特に方言が多いため、できるだけ標準に沿うように書き直すことにより、既存DBを使いながらでも移植性を持たせる」(山中氏)という。
実際の移行支援のフェーズでは、HPデータベースポートフォリオアセスメントとHPデータベースマイグレーションサービスにより、データベースの選択や、工数やコストの見積り、実際の移行を行う。「移行においては、テスト工数がいちばん大変となる。メインフレームから置き換えてきた経験を活かし、技術だけでなく業務も考えて移行する」(山中氏)。
これらの新サービスのために、「プリセールス統括本部データベースソリューション部」を新設。また、サービス部門に「データベースエキスパート育成推進室」を新設して、データベースの“マルチリンガル”を増やすという。
新データベース戦略「データベース ロックリリース」 | 既存のデータベースを利用しながら移行性を確保 |
4つの新サービス「HPデータベースライセンス ダイエットアセスメントサービス」「HP SQL標準化アセスメント」「HPデータベースポートフォリオアセスメント」「HPデータベースマイグレーションサービス」 | プリセールス統括本部データベースソリューション部と、データベースエキスパート育成推進室を新設 |
「データベース改革推進アライアンス」には、日本HP(HP NonStop SQL)のほかに、エンタープライズDB株式会社(Posgres Plus Advanced Server)、株式会社日立製作所(HiRDB)、日本マイクロソフト株式会社(Microsoft SQL Server)、SAPジャパン株式会社(SAP HANA)、サイベース株式会社(Sybase ASE)の5社のデータベース製品ベンダーが参加。企業のより効率的なデータ活用を目指す。
データベース改革推進アライアンスの参加6社(日本HP含む) | 左から、エンタープライズDB株式会社 藤田祐治氏、株式会社日立製作所 大田原実氏、日本ヒューレット・パッカード株式会社 杉原博茂氏、日本マイクロソフト株式会社 梅田成二氏、SAPジャパン株式会社 小関高行氏、サイベース株式会社 早川典之氏 |