マカフィー、モバイルセキュリティソリューションを発表
コンシューマ向け・企業向けを包括的に
マカフィー株式会社は11日、モバイルセキュリティ製品ポートフォリオを発表した。コンシューマ向けからエンタープライズ向けまでカバーし、包括的なセキュリティを提供するという。
同ポートフォリオは、企業向けモバイル管理ソリューションのTrust Digitalと、個人向けモバイルセキュリティサービスのtenCubeを、2010年に買収することで確立したもの。コンシューマ向けには「McAfee VirusScan Mobile」「McAfee WaveSecure」を、エンタープライズ向けには「McAfee Enterprise Mobility Management(EMM)」をラインアップした。
■個人向けのセキュリティアプリ
McAfee VirusScan Mobileは、モバイル端末をウイルスや悪意のあるアプリから保護するもの。ファイル・メール・インターネットからのダウンロード・テキストメッセージ・添付ファイルなどのスキャンとクリーニングを自動的に行う。モバイル向けにゼロから開発した製品で、CPUとメモリの消費量は最小限に抑えられるため、通常の動作が妨げられることはないという。価格は未定。
McAfee WaveSecureは、端末を紛失した際にアラーム機能、位置情報追跡によるデバイス探索機能、リモートロック・データ消去機能で、データの不正利用を防ぐもの。リモートバックアップ機能も備える。現在16カ国語の言語で提供されており、日本語版は提供を計画中。WiFi接続に対応したAndroidタブレット端末向けのWaveSecureも開発を進めている。価格は19.9ドル/ライセンス。
McAfee VirusScan Mobileの概要 | McAfee WaveSecureの概要 |
Geiminiが埋め込まれたアプリをインストールしてしまった場合 | 端末にはインストールが実行される |
アプリ一覧にも一度登録される | そのすぐ後にMcAfee VirusScan Mobileがウイルスを検知 |
アンイストールを行える | 手動でウイルススキャンを実行することも可能 |
■企業向けの端末管理サービス
EMMは、iOS/Android/WebOS/Windows Mobile/Symbianなど広範なOSに対応した企業向けモバイル端末管理ソリューション。サーバーと端末にインストールするエージェントが連動し、メールの保護、ポリシーの作成・配布、機器証明書の配付、デバイスの状態監視、コンプライアンス対応など、端末のライフサイクル全般を管理する。
企業向けにはこの「ライフサイクル管理」を訴求する。「PCの世界では日に6万件の脅威が新たに出現している。モバイル端末の世界でもじきそうなるだろう。ところが半数以上の社員が自身のデバイスをロックしていないという調査もある。企業向けのセキュリティとしては、アンチマルウェアや端末のリモート制御だけでなく、ライフサイクル全体をカバーすることが必要だ」(マーケティング本部長の安藤浩二氏)。
具体的には、(1)Provisioning、(2)Security and Authentication、(3)Policy Management、(4)Compliance、(5)IT Operations Support、(6)Enterprise Application Managementに関する機能が搭載されている。
(1)Provisioningと(3)Policy Managementは、セキュリティポリシーを定義・配布する機能。あらかじめ定義したポリシーをOTA(Over-The-Air)によって端末に配布し、例えば、WiFi、VPN、メール同期などの機能を自動的に構成できる。Active Directoryなどと連携させてアクセス制限することも可能だ。
外部からVPNで社内ネットワークに接続する際には認証が重要となる。それを実現するのが(2)Security and Authenticationで、二要素認証やPKIによる強力な認証をサポートするほか、シングルサインオンの機能も備えている。また、(4)Complianceによって、社内ネットワークに接続する前に端末のセキュリティ状態をチェックすることも可能という。
(6)Enterprise Application Managementでは、アプリをセキュアかつロールに基づいて有効化し、ダウンロード・インストールを可能にする。「エンタープライズ・アプリケーション・ストア」という機能を備え、企業で許可するアプリだけを従業員に配布することが可能。アプリのインベントリ、監査、ポリシー管理も行える。
(5)IT Operations Supportでは、これらの機能を一元管理ソフト「ePO」で管理できる。これにより、1万台を超える端末が管理可能な拡張性を実現し、またマカフィーの別製品とePOを通じて連携させることで、ディザスタリカバリも実現するという。
Trust Digitalの技術を基にした同製品は、米国ではすでに出荷済みだが、国内では4月1日に発売する。まずは現行の英語版からリリースとなるが、準備が整い次第、日本語版も出荷する。
技術ロードマップとしては、3月~4月をめどにiOS 4.3やAndroid 2.3などに対応させるほか、エージェントソフトの日本語化を完了させる予定。さらに6月~7月にはWindows環境へのVDI対応や、データ漏えい防止機能(OS標準の暗号化機能を利用)の追加、SaaSでの提供(クラウド化)、サーバーソフトの日本語化を行う。
参考価格は11~25ライセンスの場合、1万8606円/ライセンス。
ライフサイクルをカバーする機能群 | 端末側での操作は簡単 |
エンタープライズ・アプリケーション・ストアを用意 | ePOで一元管理 |
■モバイルセキュリティ戦略
Androidを狙ったウイルス例 |
CSB事業本部長 取締役常務執行役員の田中辰夫氏は、同社のモバイルセキュリティ戦略をこう語る。「モバイルの進化とともにそれを狙う驚異も増加。2010年1年間で46%増となった。機密情報を盗み出し攻撃者に送信するGeimini、すべての通話を終了するSilentMutterなどAndroidを狙ったものが目立ったが、実際はどのOSも例外でない状況。また、端末の紛失・盗難も2010年に対前年比7%増で過去最高を記録するなど、モバイル端末におけるリスクは、マルウェア、紛失、脆弱性を突いた攻撃、故障など広範なものとなっている。こうしたことから、仕事とプライベートとモバイル端末を利用するすべてのシーンで安全な保護が求められる。当社は10年に及ぶモバイル分野での経験と実績、および業界で最も包括的なモバイルセキュリティ製品群で、これを実現したい」。
「今回発表したサービスは、個人データと機器を制御・保護するコンシューマ向けのものと、個人のデバイスを企業ネットワークに安全に接続させる企業向けのもの。これらによって個人と企業をつなぐモバイルセキュリティを提供する。ここまで総合的なソリューションを提供できるのはマカフィーだけというメッセージを、さまざまなマーケティング活動を通じて普及していきたい」。
モバイル端末の紛失も増加している | 個人と企業をつなぐモバイルセキュリティを提供。「総合的なソリューションはマカフィーだけ」 |