東大と国立天文台が共同開発した「GRAPE-DR」が、Green 500で2位に
東京大学(以下、東大)は24日、東大と国立天文台が共同開発しているスーパーコンピュータ(以下、スパコン)「GRAPE-DRシステム」が、電力性能を競う性能ランキング「The Green 500 List」(以下、Green 500)において、世界2位を達成したと発表した。
GRAPE-DRシステム | 今回使用したGRAPE-DR 4プロセッサボード |
GRAPE-DRシステムは、HPLベンチマークで1ワットあたり1448.03メガフロップスの処理性能を達成し、6月にGRAPE-DRシステムが記録した815メガフロップスの省電力性能を、約1.8倍に向上させた。この数字は、トップの「Blue Gene/Q」(米国)が出した1684.20メガフロップスには及ばなかったものの、958.35メガフロップスの「TSUBAME 2.0」(東工大)を上回っており、国産スパコンとしては、高い省電力性能を発揮している。
東大では、この結果について、「リストの1位、3位のシステムは、冷却方式として水冷技術、あるいはラック単位水冷技術を用いているが、GRAPE-DRは空冷技術を採用し、不利な条件下にあるにもかかわらず、第3位に大きく差をつけた優れた省電力性能を示した」とコメント。また、90nm半導体技術を使い、2世代前の古い技術を使っているにもかかわらず、最新の半導体技術で製造したスパコンにならぶ省電力性能をマークした点について、「省電力スーパーコンピューティングへのGRAPE-DRシステムの基本設計の優位性を示したものだ」としている。
なお、Green 500は12月22日に更新されたもので、リスト中では、当初2位だったTSUBAME 2.0の上に、GRAPE-DRシステムが「2+」としてランクイン。電力性能を実験的に追求する小規模構成のスパコンも加えた「The Little Green 500 List」においても、GRAPE-DRシステムは2位に入っている。