「Vblock」の設計理念は「シンプルで長く使えること」、VCE連合がアピール


 EMCジャパン株式会社は15日、VCE(Virtual Computing Environment)連合に関する最新情報を説明した。

 VCEは、VMware、Cisco Systems、EMCの3社で設立した連合。仮想化に最適なコンピューティング環境の実現を目的とし、2009年には「仮想化/サーバー/ネットワーク/ストレージを統合し、完全にテスト済みで即座に利用可能なパッケージ」として「Vblock」を発表。海外・国内含め、積極的に展開している。


「Vblock」のコンセプトは「In」「With」「On」

米VCE サンタクララ・イノベーション・センター アプリケーションCenter of Excellence シニア・ディレクターのホン・クウェック氏

 Vblockの特徴は、非常にシンプルで長年使い続けられる設計思想にあると、米VCE サンタクララ・イノベーション・センター アプリケーションCenter of Excellence シニア・ディレクターのホン・クウェック氏は語る。

 Vblockのコンセプトは「In a Vblock」「With a Vblock」「On a Vblock」で表現される。内部にはサーバー・スイッチ・ストレージ・仮想化ソフトがシンプルに組み込まれているという意味の「In a Vblock」。そのほかに必要な機能は、3社や他社の技術も含め、仮想アプライアンスなどの形態で実装されるという「With a Vblock」。

 「In a Vblockの基本コンポーネントは世代間の互換性を重視し、With a Vblockで機能強化を図る。こうした構成により、全体としては、非常にシンプルな形を維持できる」(クウェック氏)。

 その上でさまざまなアプリケーションを稼動させる「On a Vblock」。「実際の用途を決めるアプリケーションが何よりも重要」(同氏)とのことで、紹介されたロードマップでも「Exchange 2010」「SharePoint 2010」「SAP」「Oracle Databsae」「IBM DB2」「Sybase」「Greenplum」「アプリケーション開発フレームワーク」など、多数のソリューションに関する方向性が示されている。

 「これらアプリケーションにおけるベストプラクティスを提示するのが目的だ。単に動作検証をするだけでなく、Vblockでこれらを稼動させる場合に、どのような設定が最も性能を引き出せるのか、スケールアウトやスケールアップにどう対応すべきか――そうした情報をホワイトペーパー化していく」(同氏)という。


導入事例も続々と

 発表から1年弱だが、海外では導入事例も増えてきた。とある金融業では、システムの統合・最適化のため、「Vblock 2」を4台導入し、インフラの仮想化を進めた。その効果が高かったため、追加で「Vblock 1」を3台導入し、デスクトップ仮想化も進めているという。

 また、ジーンズで有名な衣料品小売業では、巨大なSAP環境において、パフォーマンスや運用コストの削減のため、Vblockを導入。グローバルに22のデータセンターを持つ電気系製造業では、データセンターを3つほどに集約し、Oracleアプリケーションの最適化を図るため、Vblockを導入した。

 「9月14日には、アジアの電話会社として初めて、シンガポールテレコムとの契約を獲得。国内でも大規模な受注を獲得した」(同氏)という。

海外での導入事例

 国内では3社共通のパートナーが窓口となり、構築の支援などを行っていく。シスコ 専務執行役員 データセンタ/バーチャライゼーション事業統括の石本龍太郎氏は「3社で共同提案を進め、大きな反響を受けている。Vblockに似た製品はほかにもあるが、大きな違いは、ストレージ・サーバー・ネットワークのプロビジョニングが一元化された単一のコントロールポイントを持っていること。今後も3社連合で推進していくので、期待してほしい」とした。

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