Biz∫に「連結クラウド」登場、グループ経営のIFRS早期対応を支援
株式会社NTTデータビズインテグラルは3日、IFRS対応新ソリューション「連結クラウド」を発表した。IFRSへの早期対応とグループ経営の見える化を実現する。提供開始は2011年第1四半期(4月~)を予定。
■単体決算と連結決算を一体化した初のソリューション
【左】ディーバ 代表取締役社長の森川徹治氏、【右】NTTデータ ビズインテグラル 代表取締役社長の中山義人氏 |
連結クラウドはディーバとの協業成果。ディーバの連結パッケージ「DivaSystem 9」と、新製品である「DivaSystem GEXSUS」をNTTデータビズインテグラルがOEM化し、既存の「Biz∫会計」と連動させ、NTTデータのプライベートクラウド基盤「BizXaaSプラットフォームサービス」上に実装して提供する。
構成要素は、グループ各社の個別会計を支える「Biz∫会計」、連結会計を支える「Biz∫連結」(DivaSystem 9)、総勘定元帳を統合する「Biz∫G元帳」(DivaSystem GEXSUS)、クラウド基盤「BizXaaSプラットフォームサービス」、ならびに専門家による「IFRS財務諸表組替サービス」となる。
特長は「単体決算と連結決算が一体となった初のソリューション」(NTTデータ ビズインテグラル 取締役営業本部長の田中秀明氏)であること。単体決算+クラウドに強みを持つNTTデータビズインテグラルと、連結決算+オンプレミスに強みを持つディーバが手を組むことで、「各企業のIFRS対応状況に合わせたさまざまな利用形態を実現した」(NTTデータ ビズインテグラル 取締役 営業本部長の田中秀明氏)という。
連結クラウドの概要。IFRS対応状況に応じた利用が可能となっている | 子会社と親会社それぞれのメリット |
■各企業のIFRS対応状況に応じた利用形態
Biz∫会計の特徴。SOA・SaaS対応の先進的なアーキテクチャを採用 |
連結クラウドでは、フロントエンドにBiz∫会計が、バックエンドにBiz∫連結があり、その間に連結企業グループ全体の会計情報を仕分けレベルで統合し、総勘定元帳を実現するBiz∫G元帳が用意される。
例えば、IFRS対応をSaaSで行う企業は、Biz∫会計を利用。そのデータをBiz∫G元帳で変換・統合し、Biz∫連結に流し込んで連結決算を行える。一方、IFRS対応し自社でシステムを所有する企業は、財務データをBiz∫G元帳へ直接投入し、連結決算に必要な機能だけを利用できる。
さらにIFRS対応不要の企業(IFRS用の情報提供だけでいい企業)の場合は、会計事務所などの専門家によるIFRS財務諸表組替のBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)サービスを利用して、連結決算のためのデータ変換だけを依頼することができる。
こうした仕組みにより、財務会計と管理会計の双方を満たすシステムを構築しているのが、連結クラウドの最大の特徴となっている。
Biz∫G元帳の概要。グループ会社のデータを仕訳帳レベルで統合する | Biz∫連結の概要。連結決算処理と帳票・レポーティング機能を備える |
■会計業務の親会社集中を回避できる
メリットは何と言っても、親会社に会計業務が集中するのを回避できる点だろう。連結クラウドには、IFRS対応状況で差のあるグループ各社が自身で会計、元帳の統一を行う仕組みが用意されている。この仕組みを親会社がBizXaaSプラットフォームの「プライベートクラウド」としてグループ各社に提供することで、会計業務を子会社に分散できるのだ。
NTTデータ ビズインテグラル 代表取締役社長の中山義人氏は、「Biz∫を提供してから1年強。全国30社以上のパートナーを獲得し、引き合い・受注も着実に増えている。さらに加速させる取り組みとして、IFRSという新領域に新ソリューションを提供する」。
「IFRSは2015年をめどに全面適用を控えている。グループ連携を強固にしたり、内部の取引を見える化したり、メリットは多々あるが、準備期間の短さをはじめ、どう対応したらいいかという課題に頭を悩ませるユーザーは少なくない。ITコストが膨大な額に上るとの試算もある。2014年ごろから会計システムの公開がピークとなり、SIerの手が足りなくなる状況も予想されるので、まず軽く安く対応していけるようにIFRSのための基盤を提供したかった」と、連結クラウドの狙いを説明した。
IFRS適用の取り組み実体のアンケート結果 | IFRS適用における問題点。特に準備期間の短さが課題に |
■ビジネススキームと獲得目標
価格は現在検討中。連結クラウドとしての提供以外に、Biz∫会計、Biz∫G元帳、Biz∫連結単体での販売も進める方針。
販売はBiz∫パートナーを経由して行う。対象となるのは約3800社の上場企業のうち、最も効果が期待できる子会社30社以上のグループ企業。目標として、2011年度第1四半期から3年間で親会社100社、子会社含め3000社への導入をめざす。