ディーバ、IFRSのコンバージェンスに対応した連結会計パッケージ新版


代表取締役社長の森川徹治氏
IFRS適用にあたっては、ROIの高い“現実解”のソリューションを提供
IFRS対応のロードマップ

 株式会社ディーバは8月27日、連結会計パッケージの新版「DivaSystem 9.3」を発表した。国内会計基準をIFRS(国際財務報告基準)に近づける「コンバージェンス(収れん)」に対応しているのが特徴という。提供は11月末より開始する予定。

 IFRSの適用に関してはさまざまな議論があるが、代表取締役社長の森川徹治氏によれば、「先行したEU域内の状況を見ても、国内法や商習慣などの要請による、国内基準は残る可能性が高い」情勢とのこと。同社では、連結財務諸表においてIFRSが適用されたとしても、単体の財務諸表は国内基準が引き続き適用される可能性が高いとみているのだという。そして、こうした併存の体制で運用されるのであれば、管理会計はIFRSでの連結ではなく、簡易な連結を採用する“現実解”を選択する企業が多くなるのではないか、と想定する。

 そこで、「現実解を提供するため、お客さまに価値を感じてもらう領域を現在の事業範囲から拡大し、さらに多くのお客さまに提供できる仕組みを構築する」(森川社長)考えのもと、まずDivaSystem 9.3を発表した。この新版の最大の特徴は、2010年4月以降に開始する事業年度から適用されるコンバージェンスへの対応だ。コンバージェンスでは、企業のマネジメント層が経営意思を決定する際に用いる区分により、セグメント情報を開示しようという考え方「マネジメント・アプローチ」が採用されているため、新版では事業・地域マトリックスでの分析機能を強化。さらに、制度連結と管理連結、月次期別管理と四半期別管理などの比較分析業務が強化され、報告金額の際、為替の影響額、連結処理の差異といった数値責任について、原因分析が可能になっている。

 同社では、IFRSへの対応について、今後も継続して取り組むことを8月7日に発表しているが、それによると、2010年にはトライアル版を提供。「IFRSでは出力・レポート部分が大きくかわる」(森川社長)ことから、複数の会計基準で作成した連結財務諸表を、簡単に出力できるような仕組みを導入するという。続いて2011年には、IFRSでの連結決算処理を日本基準と同等水準で自動処理できるようにした「アドプション版」の提供を予定している。

 なおディーバはこれまでも、連結会計システムに特化したソフトウェア製品を提供し、最新の会計制度に対応してきたが、もともと企業内部の需要から導入されたERPとは異なり、連結会計システムは法制度など、外部からの開示要求に応えるために導入が進んできた経緯がある。そういう意味で同社は、IFRSによる国際化の動きをチャンスであるととらえており、今後も継続して機能強化を実施する意向だ。

 またこうしたIFRSの動きとは別に、「経営情報を活用するための、BI(ビジネスインテリジェンス)への投資意欲が高まっている」(森川社長)ことを踏まえて、連結経営ソリューションの拡充も図る。具体的には、他社製品を含めたBI製品との連携により、非財務情報を中心とした大量の情報の分析を可能にするなど、管理連結業務の高度化を実現するソリューションを開発する。一方では、グループ企業を含めたグループ全体について、より細かな財務・会計情報を共有できるソリューションも提供を計画しているとのことだ。


(石井 一志)

2009/8/27 15:08