富士通、医薬品業界向けクラウドソリューションを「tsPharma」ブランドで統一

8月9日に東京・蒲田で「富士通ライフサイエンスフォーラムin東京2010」開催


富士通株式会社 産業ビジネス本部 ライフサイエンス統括営業部 統括部長 大羽武利氏

 富士通株式会社は8月4日、富士通のライフサイエンス分野(医薬品業界)への取り組みに関する記者説明会を開催した。

 説明会で富士通株式会社 産業ビジネス本部 ライフサイエンス統括営業部 統括部長の大羽武利氏はまず、富士通は山本社長に交代し、全社をあげてクラウドを推進していくという方針のもと、医薬品業界向けの分野でもSaaS化を進め、「tsPharma」のサービスブランドで包括的に提供していくと説明した。

 医薬品業界の課題として大羽氏は、「現在日本の医薬品業界市場は世界で第2位で、6~7兆円規模となるが、国内市場は頭打ちの状況にあり、それに比べて欧米・新興国市場が急拡大しておりグローバリゼーションへの対応が急務となっている」と述べた。

 また、新薬開発には10~15年かかり、開発費は150~200億に上ると言われているが、業界で言われる「2010年問題」があり、大手医薬品メーカーで1000億以上の売上げを持つ、基幹となる大型製品が2010年前後に特許切れとなる。

 こうした背景から、山之内製薬、藤沢薬品工業が合併したアステラス製薬株式会社、大日本製薬と日本製薬が合併した大日本住友製薬株式会社、田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併した田辺三菱製薬株式会社、協和発酵とキリンファーマが合併した協和発酵キリン株式会社、第一製薬と三共が合併した第一三共株式会社など、業界では大型のM&Aが進む。規模拡大により、高騰する新薬開発費を負担できる体力を備えるとともに、新薬の創出力向上を図るのが狙いだ。

 こうした状況の中、各医薬品メーカーは、「すべてを自社でやりたいとは考えていない」という。「新薬の開発などに社内リソースを集中し、業務をアウトソーシングしたいという気持ちが強い顧客が多い」(大羽氏)。

 医薬品業界において富士通は、「川上から川下(創薬から市販後)までトータルソリューションを提供しており、医薬品業界専門のSEをグループ全体で300名を擁するなど国内最大規模の開発力をもつ」(大羽氏)。

 グローバルサポート事例としては、アステラス製薬の欧州子会社からITアウトソーシング契約を受託しており、欧州25カ国の拠点に対してサービスを提供、サービスデスクは約3000人の従業員を対象として12カ国語で運用している実績も持つ。

 今後はこうした実績をもとに「SaaSでは、国内市場の10~30%は取っていきたい」(大羽氏)とした。また、現在は主力である治験パッケージを米国で販売する活動を行っており、今年度中には成約したいと考えているという。他に韓国で治験パッケージが1社動いており、今後は世界最大のマーケットである米国をはじめ、欧州、アジアへとグローバル展開をしていく考えだ。

 なお、富士通は8月9日に蒲田の富士通ソリューションスクエアでライフサイエンスフォーラムを開催。「基幹系・営業系ソリューション」と「開発系ソリューション」の2つのトラックに分けてセミナーをおこない、富士通が医薬品業界に向けてSaaSで提供開始するソリューションを紹介する。

医薬品業界の課題と富士通の取り組み医薬品業界における富士通グループの強み医薬品業界の顧客向けサービス体制

 

医薬品業界向けアプリケーションマップ「tsPharma」構想による価値提供「tsPharma」構想の特徴
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(工藤 ひろえ)
2010/8/4 14:16