ダイナトレック、仮想統合BIツールの新バージョンを発表

大規模ユーザーにおける「統合情報系」の構築を実現


プロダクト・セールス部マネージャーの佐伯慎也氏

 株式会社ダイナトレックは23日、仮想統合ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「DynaTrek 4」の新バージョンとなる「Version 4.1」を、7月26日より正式に出荷開始すると発表した。

 「DynaTrek 4」は、独自技術である仮想データベースを採用し、ユーザーの利用する項目と分散した複数のデータソースの関係を定義する横断的なデータマップを登録。これにより、分散したデータソースを仮想的に統合し、ユーザーが必要な情報の見える化および分析を実現する。今回の新バージョンでは、大規模運用での信頼性や検索能力の強化、セキュリティの高度化、ユーザー検索機能のさらなる向上など、大規模ユーザー向けの機能を大幅に強化しており、大手企業における「統合情報系」の構築が可能となった。

 新バージョンをリリースする市場背景について、同社プロダクト・セールス部マネージャーの佐伯慎也氏は、「現在、BIツールを利用している大手企業の多くは、用途や検索対象システムごとに多数の情報系ツールが乱立しており、どのツールを使えば見たいデータを分析できるかがわからなくなっているのが実状。こうした課題を解消するためには、既存のデータ資産を生かしながら、分散した情報系ツールを一つのシステムにまとめ、統合情報系を構築する必要がある」と説明する。

 そして、統合情報系の構築にあたっては、パワーユーザー向けには「大量データを自在に検索できる高度な自由検索機能」、経営陣向けには「自社状況を一目で把握することができるダッシュボード」、エンドユーザー向けには「簡単な操作で必要な帳票を出力できる機能」を提供するとともに、「これらの機能を単一のBI基盤上で実現することが必須条件」であると指摘。「DynaTrek 4は、大手企業の大規模BIツールリプレースプロジェクトに採用され、実際に統合情報系を構築した実績をもっており、この開発成果をベースに、新バージョンの機能強化を行った」という。

「DynaTrek 4 Version 4.1」のアップデート内容

 具体的に、今回の機能強化では、まずパワーユーザー向けの機能強化として、大容量データの検索パフォーマンス向上を図った。メモリ・マネジメント機能の強化によって、従来のBIツールでは困難だった数百万件の大量データの連続出力について、複数ユーザーが同時多重で実行しても安定的に処理できるようになった。また、メモリ型高速エンジン、超並列検索エンジンなど最先端のデータベース・エンジンとの連携、および内部処理ロジックの改善により、数十億件オーダーのデータを数秒(インデックス検索時)から数分(フル検索時)で処理することが可能となった。さらに、上級ユーザー向けに、高度な検索条件設定機能を提供する。

 エンドユーザー向けの機能強化では、項目アラート表示などプレゼンテーション機能の改良を実施するとともに、組織内のグループでの共同作業を支援するため、グループ・ライブラリ機能、検索結果の共有機能などを追加している。

 経営陣向けには、ダッシュボードなどプレゼンテーション機能の向上を行った。近日中には、モバイル端末への対応も行う予定。

「DynaTrek 4 Version 4.1」のメイン画面「DynaTrek 4 Version 4.1」の検索結果画面

 あわせて、システム管理者向けの機能も大幅に強化しており、運用ログ出力方法の動的設定、SQLレベルでのアクセス・ログ出力、検索結果データの一定期間保持など、データセンターなどでの集中運用に対応できるようセキュリティおよび運用管理機能を向上した。また、ユーザーロールごとの参照権限設定やSQL選択条件の動的設定によって、大規模運用において必要とされるきめ細かなアクセス権限管理を実現している。

 このほか、接続可能なデータソースの種類も拡充。従来までは、JDBC(ODBC)接続が可能なデータベースへの接続に対応していたが、新バージョンでは、さらにSAP R/3や各種メモリ型データベースとの接続も可能となった。

柔軟な統合情報系の構築

 「DynaTrek 4 Version 4.1」の価格は、標準構成(1CPU・2コア、3データソース)で937万5000円(税別)。同社では、新バージョンのリリースを機に、「法規制などの環境変化に対応できる柔軟な統合情報系、およびグローバルビジネスに対応する統合情報系の構築、さらにはクラウド環境に移行したデータ資産のスピード統合を支援するBIソリューションとして、DynaTrek 4の新たな可能性を提案していく」(佐伯氏)考え。

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(唐沢 正和)
2010/7/26 06:00